【インタビュー】下山武徳(SABER TIGER)、豪華ミュージシャンが客演した渾身のソロ・アルバムを発表

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■DOUBLE-DEALERはデビュー20周年
■島くんに作曲もお願いして、木本さんと礒田に声をかけた


――ドラムで言うと、現SABER TIGERの水野泰宏くんや元SABER TIGERでDOUBLE-DEALERでもある礒田良雄くん、さらに元ANTHEMのMADこと大内貴雅さんも参加しています。

下山:ドラマーに関しては全然悩むこともなく、僕の交友関係の中で選ばせてもらったんですけどね。DOUBLE-DEALERはデビューして今年で20周年なんだけど、DOUBLE-DEALERとしてやることはできないから、DOUBLE-DEALERを好きな方が喜んでくれるようなものが、さりげなく1曲あるといいなと思って、島くんに作曲もお願いして、木本(高伸)さんと礒田に声をかけたという。

――それが「Sun Down」という曲ですね。

下山:そう。「これぞDOUBLE-DEALERみたいな曲でいいよ」って島くんにも言ってたんだけど、もう伝統芸ですね、あれは(笑)。一発で島くんってわかる。自分で言っておいて、「DOUBLE-DEALERじゃん、これ」って突っ込んだけど(笑)。

――ははは(笑)。まさにDOUBLE-DEALERのメンバーで、DOUBLE-DEALERらしい曲をやっている。

下山:うん。これで正解だったと思いますよ。ドラマーで言うと、地元札幌の偉大なる先輩の本間さんは、日頃から仲良くさせてもらってて……本間さんって凄いドラマーですけど、バラードを叩くことって、LOUDNESSでもANTHEMでもあまりなかったじゃないですか。ただ、浜田麻里さんのバンドでバラードを叩いていたときの本間さんが、僕にはすごく印象深くて。だから、恭司さんのバラードを本間さんが叩いたら夢があるなぁというのも、最初の頃から思ってたんだよね。MADさんは、まぁ、仲間はずれにするとスネるから仕方なく(笑)。いや、ソロ・アルバムを作るって話をしたら、「俺もやりてぇよ」って言ってくれてたんだけど、あの方も忙しいですから、何曲もとなると大変なので、1曲だけ、活きのいいやつをより活きをよくして欲しいなと思って、速めの曲を選んだんですけどね。

――「The Last Surviver」ですね。同じ時代を歩んできたとも言えるBLINDMANの中村達也さんの書いた「Grace Of My Heart」もまた興味深いですね。

下山:そうだね。もう付き合いが長いけど、一緒にバンドとかでやったことも、レコーディングで絡んだこともなかったので、絶対に声をかけようとは思ってたね。かつて、BLINDMANが一回解散したじゃないですか。ちょうど同じようなタイミングで僕もSABER TIGERから抜けたけど、そのとき中村くんがREDRISEというバンドを始めるに当たって、僕に歌って欲しいって、札幌までわざわざ来てくれたんだよね。

――そういう話もありましたね。

下山:うん。ところが、僕はすでにSIXRIDEを始めることになっていて、残念ながら当時は一緒にできなかったんだけど……でも、さすが中村達也節というか、こういうところを狙ってきたんだなと思ったね。バラードを書きたいと言ってくれてたんだけど、そのときすでに恭司さんとYUHKIくんからバラードが来ることになってたので、今回はこういう曲になったんだけどね。でも、1曲だけというのがもったいないし、できればもうちょっと彼の曲を歌いたかったな。うん、また機会はあるでしょう。

――中村達也らしさはありつつ、BLINDMANの楽曲ともまた少し違う。やはり歌い手が変われば曲も変わってくるということなんでしょうね。その点では、SHARAさんが書いた「Chaos Region」も個性的ですよね。

下山:たとえば、ギター・ソロの音一発で、あぁSHARAさんだなってわかる。あの安心感のある音は何なんだろうね? プレイの派手さよりも、トーン一発で個性が出せるって、凄いことだと思いますよ。SHARAさんとはアコースティックではいつもやってるし、CDも何枚か出してるし、思うがままに書いてくださいと。ただ、せっかくのメタル・アルバムなので、かなりヘヴィなやつを聴きたいなぁと、それだけお伝えしたんだけどね。俺的にはSLYみたいなものが来たら、てらちんさんに弾いてもらおうと思ってたんだけど、意外と最近のEARTHSHAKERみたいな曲が来ましたね。この重たい感じの曲なら、ベースはマー師匠がいいかなと。シャラさんらしい曲だよね。

――ええ。イントロのギター・ストロークだけでわかりますよ。Atsushi Mashiroくん(Cerebellar Rondo)というギタリストは、島くんに関わりがあるプレイヤーなんですか?

下山:弟子? 高知から出てきて、島さんを慕って、島さん家の近所に部屋を借りるぐらい、島さんに憧れてるギタリスト(笑)。僕も結構古い付き合いなんですよ。彼は高知でSINGLE DEALERっていう、DOUBLE-DEALERのカヴァー・バンドをやってたわけ。DOUBLE-DEALER、CONCERTO MOON、SIXRIDEが大好きという、なかなか面白いヤツなんだけど、すごく上手な子なんで、みなさんにご紹介できたらなと思ってね。彼もせっかく自分のバンドでCDを出したところだし、その勢いで俺にも曲を書けよって言ったら「わかりました!」って張り切ってたんだけど、全然曲が届かなくて、あるとき「死んでお詫びします」みたいな辛気臭い電話が来て(笑)。だから、とりあえず……高知で毎年11月にやってる『下山ロックフェス』というのがあってね。いろんな地元のバンドさんが出るんだけど、ヴォーカリストは全部俺っていう(笑)、非常に重労働なイベントなんだけど、Mashiroも毎年出てるんで、今年も来いと言ったの。そしたら、「アニキに合わせる顔がないので断ろうと思ってる」とか言ってるから、そういうときこそ会いに来いよと言ってね。そこで当日、実際に会って話しているうちに、楽屋で「ちょっと曲のアイディアが出ました!」って。そういうところで生まれた曲なんだよね。


■このソロ・アルバムを一つのステップとして
■いろんなアイディアもまた生まれてきた


――いい話じゃないですか。歌詞は遠藤フビトさんが書かれていますが、どのような心持ちで歌のレコーディングには臨んだんですか?

下山:今回は英詞ということもあって、歌詞については信頼して任せているんだけど、録音する日に初めて見て歌うというパターンだったのもあって、歌詞に対する思い入れはまったくないし、そこには気持ちの込めようがないから、楽曲に対して、言葉を表現するというよりも、自分の思いをどんな色でどういう表現をするかといったことを考えてたね。

――切迫したスケジュールの中での作業ですから、声の瞬発力みたいなものがそのままパッケージされた歌にはなっているんでしょうね。

下山:まぁ、初めて目にした歌詞を突然歌うわけだからね。しかも、島くんとMashiroくんの曲だけは、メロディもお任せされてたんだよね。だから、メロディはない、歌詞はあるという状況で、いきなりマイクの前で歌う……まぁ、DOUBLE-DEALERのスタイルです。DOUBLE-DEALERはそういう録り方をしてたんで。

――結果的にDOUBLE-DEALER的な2曲がそういう録り方だったのは面白いですね(笑)。

下山:そうなっちゃうよね(笑)。とはいえ、フビトがディレクションをきちんとやってくれるんで、最終的には整うんだけどね。本来なら、事前に仮歌を録ってとか、そういうやり方をするところだけど、今回のようなやり方でもできると思ったんでしょうね、お互いに。

――さて、レコーディングに参加したほとんどのメンバーが顔を揃える特別なライヴが、東京・赤羽ReNY alphaで行われることも決定しています(公演日は2020年5月30日から2021年1月17日に延期)。これは観るべきライヴですね。

下山:これだけのメンバーを1日に集めるのが難しいのはわかると思うけど、忙しい中、みなさんにスケジュールを合わせてもらってね。セットリストに関しても、すでに結構考えててね。このアルバムの曲はもちろんだけど、参加してくれたみなさんのキャリアの中の曲もやりたいなと思ってて。いろんな人たちに協力してもらって実現できることだけど、僕が一番楽しみですよ(笑)。

――従来からのファンのみならず、これだけいろんな人が参加していることもあって、下山武徳の歌を聴いたことがない人たちが初めて触れる機会にもなりそうですね。

下山:そうだね。このアルバムをキッカケにSABER TIGERも聴いていただければ嬉しいですし。SABER TIGERの活動に向けても、このソロ・アルバムを一つのステップとして、いろんなアイディアもまた生まれてきたところもあるんだよ。まだ具体的なことは公表できないけど、全部が一つの線につながるように、活動していきたいなと思ってます。

取材・文●土屋京輔




リリース情報

4thソロ・アルバム『THE POWER OF REDEMPTION』
2020年5月13日(水)発売
Walkure Records
【Deluxe Edition】CD+DVD WLKR-0047 ¥3,800+TAX
【通常版】CD WLKR-0048 ¥3,000+TAX
収録曲(共通)
1. Future Of The World
2. Shape Shifter
3. Chaos Region
4. Sun Down
5. Life After Life
6. Beneath The Wave
7. Grace Of My Heart
8. The Last Survivor
9. Whisper In The Dark
※<Deluxe Edition>に付属のDVDには、下山武徳のインタビューの他、本作に参加したミュージシャンやSABER TIGERのメンバーの特別インタビューを収録。

参加ミュージシャン
山本恭司(BOWWOW、WILDFLAG)- Guitar
石原愼一郎(EARTHSHAKER)- Guitar
島紀史(CONCERTO MOON、元DOUBLE-DEALER)- Guitar
中村達也(BLINDMAN)- Guitar
Atsushi Mashiro(Cerebellar Rondo)- Guitar
阿部雄太郎(ASTRAL WIND)- Guitar
YUHKI(GALNERYUS、ALHAMBRA)- Keyboards
横関敦(元BRONX)- Guitar
SYU(GALNERYUS)- Guitar
山下昌良(LOUDNESS)- Bass
寺沢功一(BLIZARD)- Bass
木本高伸(元DOUBLE-DEALER、元SABER TIGER)- Bass
本間大嗣(元FLATBACKER?E・Z・O、元LOUDNESS、元ANTHEM)- Drums
大内貴雅(元ANTHEM)- Drums
礒田良雄(元SABER TIGER、元DOUBLE-DEALER)- Drums
水野泰宏(SABER TIGER)- Drums
原澤秀樹(MAHATMA、ALHAMBRA)- Drums

ライブ・イベント情報

公演名:『THE POWER OF REDEMPTION』Release Live!
日程: 2021年1月17日(日)
会場: 赤羽 ReNY alpha
時間: 開場 16:45 / 開演 17:30
料金: 6,000円(オールスタンディング/ドリンク代別途)
[ お問い合わせ ]
ネクストロード 03-5114-7444
http://nextroad-p.com

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