【インタビュー】MOSHIMO、新体制初アルバム『噛む』で新たなステージへ

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■この世の中に噛みついて、食い下がっていきたい

──1月にまず配信で出したのが、アルバムのラストを締めるロックバラード「誓いのキス、タバコの匂い」。

一瀬:バラードを最近やってないねということで、まずバラードを先に出しました。昔はバラードをけっこうやってたけど、MOSHIMOは楽しい曲を前面に押し出していたから、バラードでMVを撮ったのはMOSHIMOになって初めてかもしれない。

岩淵:ライブ全体を通して見た時に、ずっと楽しいだけじゃなくて。それは人生もそうなんですけど、ライブを自分の人生にたとえた時に、ライブバンドとしてお客さんと苦楽を共にして、いいことも悪いことも長く一緒に生きていたいなと思うからこそ、ライブもただ楽しいだけが正解じゃないし、いろんな表情を出したいなと思って、ミドルバラードを歌いたかったんですね。女性として表情豊かな人でいたいし、そういう人のほうが魅力を感じるし、人間、ずっとニコニコしてるわけでも、ずっとメソメソしてるわけでもないじゃないですか。だからこそ、ライブではそれを出して行きたいと思ってます。

一瀬:ちなみに「誓いのキス、タバコの匂い」は、MVも自分の中にイメージがあったんで、自分で撮りに行きました。

──あのMV、いいね。池上線の石川台駅が映ってたけど。

一瀬:坂道を上るシーンをワンカットで撮りたくて、Googleストリートビューで調べて目星をつけて。三か所ぐらい行こうとしてたんですけど、最初に行った場所がすごく良かったので、そこで撮りました。でもメイクの感じが微妙だったんで、後日録り直しに行った。1月の朝、5時くらいで、寒かったです。

岩淵:疲れてて、顔がめっちゃやつれてた。レコーディング中でもあって、超絶不健康な生活してたんですよ。それが顔に出てた(笑)。



一瀬:話はそれますけど、僕ら、ミュージックビデオ運があんまりないんですよ。アルバム1曲目「もっと」のときは、海岸にロケに行ったら、台風並みの風速18メートルの風が吹いてて、ドラムセットが飛ばされて(笑)。翌日出直したりとか。「命短し恋せよ乙女」は沼津の廃校で撮ったんですけど、めちゃくちゃ猛暑で、冷房もなくて、屋上までみんなでアンプを手運びしたりとか。「触らぬキミに祟りなし」の時は大雨がじゃんじゃん降ったし、とにかくミュージックビデオ運がないバンドです(笑)。

岩淵:「触らぬキミに祟りなし」は、死ぬかと思った。大雨で、気温二度で、シースルーの服着て震えてた。みんなに「顔色悪い」って言われるんですけど、どうしようもなかったんですよ!

一瀬:すいません、話が脱線しました(笑)。

岩淵:「シンクロ」のミュージックビデオも撮っていて、リリース日(3月18日)にアップします。それも自分たちで撮ってます。

一瀬:「シンクロ」は、ワンルームの部屋を借りて、男の子に出演してもらって、歌詞に沿った内容になってます。シュールでコミカルな感じ。

▲一瀬貴之(G)



岩淵:「シンクロ」の最後のサビは、その時あった思いをぶちまけました。

──「シンクロ」は、終わりかけの恋を描く設定っぽいけど、それだけじゃないというか。それこそ、生きてる中で感じてるフラストレーションをぶちまけてる感覚があって。

岩淵:恋愛と人生はイコールで繋がる部分がすごくあるな、と思っていて。恋をして、失敗するから、相手を思いやる気持ちが出てきたりとか、譲れないものがわかったりとか、いろんなことが繋がってるなと思うんですね。だから自然と、恋愛じゃないところで感じたことも、恋愛の詞として書けちゃったりするんですよ。

──ああー。それってMOSHIMOの、ポチちゃんの特徴かも。

岩淵:恋の話って、一番盛り上がるじゃないですか。結婚も、離婚も、結局恋愛から発展して、人生になっていくわけで。…今話してて思ったけど、ほんとに全然恋愛じゃないところで、恋愛の詞が書けちゃったりするんですよね。「あの時あんなこと言われた。腹立つ!」って、わーっと書いたりとか。それこそ「シンクロ」の最後のフレーズとか、いろんな人たちと関わって、いろんなことが変化したタイミングで、「きっと私はこう言われたかったのかな?」と思う面もあって書いた言葉だし。すごい前向きなことを言ってないとダメだと思ってたから、「好き」とずっと言ってたけど、死ぬほど大っキライだと思う瞬間もあって…たぶんそれを書いたのかな。

──「嘘つき、でも好き、やっぱキライ!!!」のとこね。すごくポチちゃんらしい。そしてアルバムタイトルが『噛む』。

岩淵:この世の中に噛みついて、食い下がっていきたいから。私、過去には引きこもった4年間もあって、ネガティブな人の気持ちもすごくわかるんですよ。悲観的なものにずっと引っ張られるのは良くないけど、絶対に負けちゃダメだ!と思って、そういう苦しさを噛みしめなきゃいけないし、噛みついて食いちぎらなきゃいけないという意味も込めての、『噛む』というタイトルです。

▲MOSHIMO/『噛む』

──4月18日からはリリースツアーが。3月中旬現在、世間はいろいろ大変な状況だけど、今のところ「やります」ということで。

岩淵:私、ライブがないと死に等しいんですよ。今ほんとにヤバいです。それは良くないと思って、朝、走ってきました。

──エネルギーが有り余ってる。それを全部ライブにぶつけちゃってください。そして9月12日には、バンド史上最大キャパのZepp DiveCityに挑む。

岩淵:最初は「自信ないなー」とか言ってたんですけど、ここで規模を下げちゃうと「あー、その程度ね」ってなっちゃうから、やらないでダメよりも、やってダメのほうが納得いくし、やろうぜ!って。ちょっと高めの目標を掲げると、それに対して自分も動くし、何より楽しいし、ここで止まりたくないし。

一瀬:去年はマイナビBLITZ赤坂ですごく楽しいライブができて、お客さんも楽しんでくれて。オープニング映像を作ったり、ライブペインティングをやったり、そういうアトラクション的なことを、Zeppでもできるんじゃないかと思うし、みんなで作れるライブになると思うので、ぜひ各地から来てほしいと思います。

岩淵:昨日寝る前に、1月6日の恵比寿LIQUID ROOMでのライブが終わったあとの動画を、たまたま見てたんですよ。そしたら「Zepp DiverCity(TOKYO)」という文字が出た瞬間にお客さんが「うわー」って歓喜してる姿を見て、あらためて「たるんでる場合じゃない」と思いました。3月のライブは中止や延期になったけど、せっかく『噛む』というアルバムを出すから、もっと聴いてほしいし、ライブに繋げていきたい気持ちがすごくあります。みんながそのくらい喜んでくれるということは、自分たちと同じ熱量で応援してくれてる人たちだから、絶対に裏切りたくないと思ったし、あらためて気合いが入った瞬間でした。

取材・文◎宮本英夫

NEW ALUBUM『噛む』

2020年3月18日(水)発売
KONS-001 
¥2,000+税

M1.もっと
M2.熱帯夜
M3.TOKYO
M4.シンクロ
M5.バンドマン
M6.誓いのキス、タバコの匂い

<NEW ALBUM「噛む」RELEASE ONEMAN TOUR>

2020年
4月18日(土)東京・下北沢SHELTER
4月25日(土)愛知・E.L.L
4月26日(日)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
5月23日(土)宮城・仙台CLUB JUNK BOX
5月31日(日)北海道・BESSIE HALL
6月14日(日)広島・SECOND CRUTCH
6月20日(土)福岡・DRUM LOGOS
6月27日(土)新潟・CLUB RIVERST
9月12日(土)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)

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