defspiral始動10周年2マンライブ企画第1弾。MUCCと振り返る12年前のアメリカツアー

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defspiral始動10周年に向けて、縁あるバンドを迎え開催される<defspiral presents CARNAVAL to 10th ANNIV. 2MAN LIVE SERIES 「The STARS」>の第1弾、MUCCとのツーマンライヴが1月23日、TSUTAYA O-WESTで開催された。

◆ライブ画像(10枚)

この2バンドの関係性が強まったのは、遡ること12年前。defspiralが前身バンドのthe Underneath時代に、MUCCらとアメリカツアー<ROCKSTAR TASTE OF CHAOS 2008>へ参加したことに起因する。defspiralとMUCCは1か月半、異国の地で苦楽を共にした、いわば戦友同士。

帰国後、MUCCはアメリカツアーで得たものを9thアルバム『球体』で開花させ、方やthe Underneathはアメリカツアー後に惜しまれつつも解散、その後、新体制でdefspiralをスタート、と別々の道を辿ったものの、あの共通体験が両者にとってバンド人生におけるターニングポイントとなっていることは間違いない。


そんな彼らが、10余年の時を経て今こうして再び同じステージに戻って来るのだ。2019年、<defspiral“TO THE GALAXY TOUR”>の札幌公演にMUCCのミヤ(G)が飛び入りしたことを除けば。ちなみに、何故ひと昔以上も前のことを今さら書き立てるのか?というと、実は今回のツーマンライヴにおいて、あのアメリカツアーがキーとなっていたからである。

トップバッターのMUCCは、2019年から引き続き、アルバム『壊れたピアノとリビングデッド』を引っ提げてのツアー真っ只中ということもあり、セットリストはSE「壊れたピアノ」にはじまり「サイコ」「アメリア」「ヴァンパイア」「積想」「カウントダウン」と新譜の曲が大半を占めていた。

その内容はバンド的にごくごく自然なものであり、それに加えライヴの定番曲「大嫌い」「蘭鋳」が演奏されたことも取り立てて書くほどのことでもない。だが「塗り潰すなら臙脂」「ファズ」「リブラ」が組み込まれていたのは、今回の肝だったように思う。


というのも、この「塗り潰すなら臙脂」以下3曲は、先述した2008年のアメリカツアーで演奏されていた曲だから(※「蘭鋳」もアメリカ・ツアーのセット・リストに入っていた)。さらには「リブラ」がメニューのラストに配置されるているのも“あの時”と同じ。これは、defspiralの前身バンド、the Underneathに対する敬意の表れと解釈しても間違いではないだろう。

「defspiralの10周年をお祝いしに来ました。俺たちは俺たちのやり方で、defspiralをお祝いしたいと思います」ということをライヴ初っ端で言い放った達瑯(Vo)。あれから12年、その間の成長と進化の跡を新譜で魅せつつ、重低音を開場に轟かせ、相変わらず悪態をつき自分たちの容姿を卑下してdefspiralをイケメンと持ち上げて笑いを誘う。そんなMUCCらしさが貫かれたステージからは、溢れんばかりの愛が感じられた。

続いて新衣装をまとった主催者・defspiralが颯爽と登場。MUCCが残した余韻を1曲目「AURORA」の演奏で一気にdefspiralの色へと塗り替えていく。序盤から要所要所でいつも以上にフェイクをするTAKA。始まって早々、緊張感は高揚感へと変化した模様。


「ようこそ東京!」と会場を煽った後の「Arcoromancer」のイントロではFREAKS(=defspiralファンの呼称)も夢烏(ムッカー:MUCCファンの呼称)も関係なく、みんな拳を天に向かって突き上げる。さらに疾走感あふれる「PULSE」をたたみかけ、色っぽい歌詞に合わせたセクシーなTAKAの唄と悩ましげな仕草で観ている者の気持ちをもてあそべば、その場にいるすべての人を手の内に収めたも同然。表現におけるTAKAのエロティシズムは、もはや罪の域である。

高揚した空気を自ら沈めるかのように、広大な世界観の「STARDUST」、囁きと叫びが交互に繰り返される「LABYRINTH 」も披露される。1曲中で描かれる感情の起伏と、曲の並びから連想されるストーリー、そんなシアトリカルなライヴを展開できることもdefspiralの強味かもしれない。


とりわけ「PHANTOM」の演奏では、そのドレッシーな衣装のせいも相まって、これはミュージカルなのか?と思ったほど。その一方で今夜のMASATO(G)、RYO(B)のステージングは、いつもに増して激しく荒々しかったのは、MUCCに触発されたところも大きかったのでは?と思う。

「今年、defspiralが10周年迎えることになりまして、5月の10周年に向けて、ツーマン企画をしたわけですが、MUCCが参加してくれて嬉しいです。MUCCとの思い出といえば、僕らがdefspiralの前にやってたthe Underneathというバンドで2008年、アメリカを37か所、一緒に回ってきたことがいちばんに挙げられるんですけど。そのツアーでMUCCは「リブラ」を最後に演奏していて。その「リブラ」の演奏を聴きながら僕らはスタンバイしてたなと、さっき「リブラ」を聴いて、その時のことが思い出されました。あれから12年経ち今、僕らはdefspiralなんですけど、当時、アメリカツアーでやってた曲をやりたいと思います」


そうTAKAが言って「BITE THE BULLET」とタイトルコールするとワッと沸き立つ会場。イントロが始まると同時に、すぐに暴れモードへと変わる。その勢いのまま「SILVER ARROW」「SALVAGE」とたたみかけ会場のボルテージを上げていき、オーディエンスの心をさらっていった。ラスト曲に入る前、「5月26日、10周年を迎えるまで1本、1本、大切に頑張っていきたい」と語ったTAKA。MC後、「ESTRELLA」で美しく鮮やかな未来への希望を残して、彼らはステージを後にした。

会場からアンコールを鳴り止まなかったものの、今回、再びステージに上がることはなく、こうしてステージ上で繰り広げられた両者のガチンコ勝負は幕を閉じた。余談ではあるが、関係者席には、MUCCのライヴを観ているdefspiralの姿があり、出番を終えたMUCCがメンバー全員揃ってdefspiralのライヴを食い入るように観ていた姿があったことを記しておこう。

もしかしたら、互いのステージを観ながら、12年前の、あのかけがえのない経験を懐かしみ反芻しつつ、二度とない、このメンバーでのツーマンライヴを記憶にとどめようとしていたのかもしれない。


こうして<defspiral presents CARNAVAL to 10th ANNIV. 2MAN LIVE SERIES 「The STARS」>の第1回は幕を閉じたわけだが、第2回以降も、そのラインナップをみれば今後も熱戦が繰り広げられることは疑う余地もない。

そしてツーマンライヴで英気を養ったdefspiralは、4月5日より<defspiral CARNAVAL to 10th ANNIV. ONEMAN TOUR 2020 『DEAR FREAKS』>をスタートさせる。ツアーファイナルは5月26日、TSUTAYA O-WEST。その日はdefspiralが10周年を迎える日であり、25年間、一緒に音を奏でてきたMASAKI(Dr)の脱退前、最後のライヴになる。後悔のないよう、これからのライヴ1本1本を見逃さず、しっかと胸に刻んでいこうではないか。

文◎増渕公子[333music]
写真◎上野宏幸

<defspiral CARNAVAL to 10th ANNIV. 2MAN LIVE SERIES 「The STARS」>

2020年01月23日(木)渋谷TSUTAYA O-WEST 【 defspiral / MUCC 】
2020年02月17日(月)渋谷TSUTAYA O-WEST 【 defspiral / lynch. 】
2020年02月18日(火)渋谷TSUTAYA O-WEST 【 defspiral / THE MICRO HEAD 4N'S 】
2020年02月25日(火)新宿BLAZE 【 defspiral / D'ERLANGER 】
2020年02月27日(木)新宿BLAZE 【 defspiral / メリー 】

■開場/開演
18:15 / 19:00

■チケット
オールスタンディング
前売 ¥5,500(税込/D別)
当日 ¥6,000(税込/D別/前売り完売の場合、当日まで未定)

<ZEPPET STORE, shame, defspiral presents「 3.2.1 」>

出演 ZEPPET STORE / shame / defspiral
日程 2020年03月08日(日)
会場 下北沢GARDEN
開場/開演 16:30 / 17:00

<defspiral CARNAVAL to 10th ANNIV. ONEMAN TOUR 2020 『DEAR FREAKS』>

2020年04月05日(日)渋谷REX
2020年04月11日(土)西川口Hearts
2020年04月12 日(日)柏ThumbUp
2020年04月23日(木)姫路Beta
2020年04月24日(金)姫路Beta ( MASAKI BD Special! )
2020年04月26日(日)大阪RUIDO
2020年04月27日(月)名古屋ell.FITS ALL
2020年05月04日(月・祝)静岡Sunash
2020年05月09日(土)仙台space Zero
2020年05月15日(金) 新横浜 NEW SIDE BEACH!!

FINAL
10th ANNIVERSARY LIVE 『DEAREST FREAKS』
2020年05月26日(火)渋谷TSUTAYA O-WEST 17:45/18:30

◆<defspiral CARNAVAL to 10th ANNIV. 2MAN LIVE SERIES 「The STARS」>特設ページ
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