【インタビュー】米倉利紀、『pink ELEPHANT』のコンセプトは「どこにも着地しない」

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■真っ暗闇のような場所にいた僕が
■“次”という想いにたどり着いた

──ところで、ツアー中も筋トレをされるそうですが、それにあたって、ヴォーカリストとして気をつけていることってありますか?

米倉:首あたりは声が通過する道なので、あまり首を圧迫するトレーニングや肩のトレーニングは、すごく意識して気をつけなきゃいけないんです。僕は本番2日前からは絶対に首回りと肩周りの筋トレはやらない。やってしまうと、本番で一番リラックスさせた状態を作らなきゃいけない首回りが硬直してしまうんです。やるなら喉から一番遠い部位である脚とか、あとは呼吸が楽になるように胸や背中のあたりを軽くストレッチしたり。歌はかなり背筋を使うので、背中がパッと広がるようなストレッチを本番の1〜2日前はやるようにしています。

──歌のために筋トレをやり続けてるんですか?

米倉:歌のためというよりも、健康管理という意味でトレーニングをやっていますね。結果、その健康管理が歌に影響、戻ってくるんですけどね! 一番重要視しているのは下半身のトレーニングですかね。めちゃくちゃしんどいですし、地味なので、嫌いですけど(笑)。でも、ふくらはぎは第二の心臓っていうじゃないですか。それくらい脚全体のトレーニングを大切に考えています。生き物は下半身から弱っていきますから。

──「嫌い」という発言もありましたが、筋トレは……?

米倉:はい、大っ嫌いです(笑)。僕は朝、筋トレするんですけど、今朝も“本当に嫌だ”と思いながらジムに行ってきました(笑)。トレーニングも食事もそうですけど、ON/OFFが大事なんですよ。トレーニングは必ず週1日休みます。その日はストレッチもしないですし、食事もチートデイを週1〜2日設けてます。僕らは五感を使う仕事なので、自分を追い込むだけでは五感センサーが乏しくなっていくんですよ。例えば、ずっと会社にいる内勤の人よりも、外でいろんな人と話している営業の人のほうが話題豊富でイキイキしていたりしますよね。それぞれに大変さがあるとは思いますが、それと同じです。


──日々、ONだけでは息苦しくなるというのは『pink ELEPHANT』にも通じる生き方ですね。

米倉:前作『analog』でいろんなことをリセットして原点に戻ったわけですけど、突き詰めすぎて疲れちゃったところもあったんです。人間って、事実を知ることが怖いから、真実を突きつけられたときに逃げちゃう。だけど僕は、真実から逃げずに向き合って『analog』というアルバムを作った……すごく疲れました。そしてそのツアーで、さらに疲れました。でも、たくさんの想いを吐き出せたので、疲れた分だけ吸収することもできて。吸えるだけ吸って、新たに吐き出したものの中から、あまり真剣になりすぎずにふわっと選んだ曲たちなんですよ。“そういえば、こんなのあったな”ぐらいの感じで。そうして出来上がったのが『pink ELEPHANT』ですね。

──では最後に、今作についてのメッセージをお願いします。

米倉:前作『analog』では、「NOTHING LEFT」と「大切な日々」が重要な柱になり、キーになっていました。今作は、僕が理想とする人間像、人間力を象の性質にクロスオーバーさせ、 “こんな人間になりたい”“こんな人間力って素敵”という思いで作った「elephant LOVE」と、愛することの意味を歌った「HERO」が重要な柱、キーです。「HERO」は、この1年間に自分の身に起こった様々な出来事を受け、今の自分が次にできるのかを表現した曲です。自分をもう一度奮い立たせること、そんな自分を支えてくれているのは周りの環境……家族、恋人、友達だと思うのです。僕という人間が周りの人たちのどんな力になれるかわからないけれど、そっと手を差し伸べることがまた自分への栄養補給になるんじゃないか……完璧な人なんていないと思っていますし、ボロボロなときもあって良いと思っています。真っ暗闇のような場所にいた僕が、“次”という想いにたどり着いたときに書き、歌った曲です。この1年間、『analog』というアルバムとともに僕を支えてくれたみなさんに、今度は僕から、『pink ELEPHANT』というアルバムで恩返しができたらと思ってます。僕からの想いを受け取ってくれた次は、またみなさんから僕に恩返しをしてください(笑)。そしたら、また僕が恩返しをしますから。

取材・文◎東條祥恵

■24thアルバム『pink ELEPHANT』


2020年1月22日 Release
TKCA-74865 ¥3,000 (税抜)
01. merry-go-round
02. see EYE to EYE
03. LOVE GEAR
04. 愛日
05. 光芒
06. what did you do last night?
07. GOOD MORNING
08. ALL OR NOTHING
09. elephant LOVE
10. HERO

■全国ツアー<sTYle72inc.presents toshinori YONEKURA concert tour 2020 -gotta crush on……volume.twenty-one-“pink ELEPHANT”>

3月14日(土) 東京・新宿ReNY
3月15日(日) 東京・新宿ReNY
3月22日(日) 京都・MUSE
3月28日(土) 沖縄・TOP NOTE 沖縄
※EARLY SUMMER BREEZE SPECIAL
4月04日(土) 新潟・LOTS
4月12日(日) 福岡・Gate’s 7
4月18日(土) 熊本・B9 V1
4月19日(日) 鹿児島・CAPARVO HALL
4月25日(土) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
※toshi’s 28th anniversary bash!!!!! SPECIAL
4月29日(水) 石川・金沢 EIGHT HALL
5月04日(月) 東京・白金 SELENE b2
※GOLDEN WEEK SPECIAL
5月05日(火) 東京・白金 SELENE b2
※GOLDEN WEEK SPECIAL
5月09日(土) 広島・SECOND CRUTCH
5月16日(土) 大分・DRUM Be-0
5月17日(日) 宮崎・WEATHER KING
5月23日(土) 愛知・Electric Lady Land
5月28日(木) 大阪・梅田 CLUB QUATTRO
5月30日(土) 高知・X-pt.
6月06日(土) 福島・郡山 club #9
6月11日(木) 兵庫・神戸 CHICKEN GEORGE
6月20日(土) 青森・Quarter
6月21日(日) 宮城・仙台 darwin
6月28日(日) 岡山・CRAZYMAMA KINGDOM


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