【インタビュー】米倉利紀、『pink ELEPHANT』のコンセプトは「どこにも着地しない」

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■象の優しさと強さと繊細さは
■僕が理想とする人間像なんです

──「what did you do last night?」は、いつもとは違う香りや声色や洋服で、ある意味、作為的に主人公の気を引こうとしていますよね。

米倉:別に気を引いてるつもりもなくて、“新しい香水を買ったんだよね”ってだけなのかもしれないし、“新しい服買ったから着ただけ”かもしれない。これは勝手にひとり空回りしているラブソングなんですよ。でも、こういったことがカップルの喧嘩とか、夫婦のいざこざの原因になりがちだったりしませんか?

──はい。そうやって2人がもめるところまで、突き詰めないのが今作の特徴ですね。

米倉:例えばこの歌詞だったら、もっとエグく“この人、誰か他の人がいるんだな”ってところまで書くのもリアリティーがあるし、歌詞として物語が成立しやすいんです。でも、今回はそこまでいかない楽しさを味わいたかった。この曲の歌詞はサラッとラフに書いたものをそのまま歌っています。

──「GOOD MORNING」もそうですか?

米倉:実は曲を書き終えて先に歌詞を書いていた曲です。後に上がってきたアレンジを聴いて、「この歌詞じゃない!!」って歌詞を全部書き換えました。朝方、柿崎さんからアレンジが届いたので、自宅の屋上に上がって朝日を見ながら書き直しました。誰もいないなかで、ゆっくりと太陽が昇っていくのを見てたら、自分だけがこの太陽を独占してるような気持ちになって。始まりってすごく贅沢な瞬間なんだなと思って書いた1曲ですね。


──「elephant LOVE」は“象へのLOVE”を歌ったものですか?

米倉:“象へのLOVE”ではなく、“象のLOVE”を歌ったものです。なんで象が好きか?って話になるんですけど、象ってすごく情深いのはご存知ですか? 彼らは、一度受けた恩は一生忘れないんですって。仲間が出産をするとみんなでお祝いをしたり、誰かが亡くなるとみんなでお葬式をする。それぐらい心温かい。あんなに大きな図体をして、あんな可愛い手をしているのに、踏まれたら僕たちは生きてはいられないぐらい重くて。長い鼻をブォーンって振り回しながら、あんなに優しい目をしてて。その優しさと強さと繊細さみたいなものは、まさに僕が理想とする人間像なんですよ。僕、象関係の写真が掲載されているサイトをよく見ています。

──そうなんですか(笑)?

米倉:はい。めっちゃくちゃ可愛いんですよ。象のファンって世界中にたくさんいて、彼らがとらえた象のモーメントは見てるだけで本当に癒されますし、心あたたかくなって泣けてきます。それを見ているだけで日々のイライラが軽減されますよ。神ですね、象は。子象とかめっちゃ可愛い。一生懸命走っていると思ったら、急に転けたりするんですよ(笑)。それをお母さんが鼻で起こしてあげたりするシーンとかめっちゃ可愛いです。僕、動物園やサファリパークへ行っても、ずっと象の前にいますから。

──3月14日から始まる全国ツアー<sTYle72inc.presents toshinori YONEKURA concert tour 2020 -gotta crush on……volume.twenty-one-“pink ELEPHANT”>のツアーグッズは、米倉さんの象への愛が炸裂したものになりそうな気が、いまからしてるんですけど(笑)。

米倉:象だらけ、ピンクだらけです。

──今回はどんなツアーになりそうですか?

米倉:今回のツアーはコーラスもダンサーもいない。こういう編成は久しぶりですね。いままでの僕は歌うことに加えて踊ったりしながら“魅せる”ということにこだわってショーを作ってきました。もちろん、“魅せる”というこだわりは今回も今後もやるんです。だけど、今回は僕ひとりでステージング、歌で『pink ELEPHANT』に込めた優しさや強さ、繊細さを魅せられないか、という大きなチャレンジです。僕がそこに存在するだけで『pink ELEPHANT』の世界が想像できたり、僕の声があるだけでみなさんにたくさんの夢を見てもらえる。それこそ夢と現実じゃないですけど、米倉利紀という現実の人間が目の前に立っていて、発する声でみなさんを夢の世界に連れて行けるというのは、シンガーとしてなによりものギフトだと思っているので、楽しみながら全国を駆け巡りたいと思っています。

──衣装はもちろんピンク系ですよね?

米倉:そうなりますかね、きっと。

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