【インタビュー】COMEBACK MY DAUGHTERS、EP『WORN PATH』にサブスクの影響とバンドの変化「僕らが腑に落ちるリリースの仕方」
■前のヴァージョンよりさらに元気良くはできない
■そういうんじゃないっていうのを提案したかった
──曲を作っているのは、高本さんとCHUN2さん?
高本:いや、将人も作ってます。
CHUN2:1曲あります。
高本:「SAME OLD SAME OLD」が、そうですね。けっこうしっかり作ってきましたね。難しかったですもん(笑)。
──難しかった? どんなところが?
高本:基本的に、僕は誰が作ってきても歌メロは自分で考えちゃうんですけど、この曲、歌メロがすでに将人が作ったデモに入ってたんです。しかも、すごく曲の雰囲気に合っていて良かったので、「この歌メロ、いいじゃん。このまま行ってみようよ」って歌ってみたら全然違ったんですよ(笑)。それで、ヴォーカリストとして、“ええ?!”ってなって。もちろん、キーも違いますし、将人の声に合うメロディーを作っていたっていうのもあったんでしょうけど、全然良くならなくて、デモをコピーするところから始めて、物真似みたいに歌うところからやっていきましたね。
▲2019年11月17日@新代田FEVERワンマン |
高本:今回はデモのほうが良かったんですよ。いろいろ試してみたんですけど、僕の要素はあんまり要らないなってなりました。だから、デモよりも悪くならないように心がけましたね。そこも含め、今はメンバー間がいい感じなんですよ。おのおののキャラが立っているんで、これがカムバックって感じなんでしょうね。これでバンドがあんまりうまく行ってなかったら、たぶん強引に変えてますね、コード進行から。自分で歌メロを作って、「ごめん。俺の歌だとこうなっちゃうんだよね」っていうふうにしたほうが早いんですけど、「SAME OLD SAME OLD」はデモを一聴したとき、将人の良さも入ってるし、今までの自分たちにない良さもあったから、どうにかプレイヤーとして再現したいと思いながら、録ってみたらヘボかった。それで、“やべえ!どうしよう!?”って(笑)。
CHUN2:いや、全然悪くなかったんですよ。でも、TK (=高本)なりに腹落ちするところまで持っていきたいっていうのがあったんでしょうね。ギリギリまでがんばってましたね。
高本:でも、すごく楽しい経験でしたね。
──今回、リード曲というのはあるんですか?
高本:特にないんですよ。サブスクって、そういうのないですよね。聴く人たちがプレイリストを自由に作れる時代になって、バンド側が一生懸命考えた曲順はどうでもよくなってきてっていうのも、“それはそれでいいじゃない”とちょっと思ってたところもあって。僕自身、自分の好きな洋楽のアルバムの曲順がすべて完璧だとは思ってないですから(笑)。今、僕らはこんな感じでやっているんで、あなたにとって好きな曲を自由に決めてくださいってことでいいんじゃないですかね。
──では、1曲ずつ聴きどころを聞かせてください。「I WAS YOUNG」は今回、録り直すにあたって、アレンジは変えているんですか?
高本:天然で、それぞれに変わっているところはあると思います。ただ、こういうアレンジにしようって変えていると言うよりは、ライヴでずっとやっていたんで、ライヴアレンジになっているという感じですね。
──2016年に豊洲PITで開催された<CRAFTROCK FESTIVAL'16>で初めて聴いたのかな。あれ、違うかな?
高本:作った当時と言うか、最近もそうですけど、合唱するみたいにみんなで歌っているような曲を、すごくやりたいんです。この曲はどうしても日本語でやってみたかったんですけど、ただ、日本語でコーラスするってイメージが湧かなくて、そこは1990年代スタイルに倣って、サビだけ英語で。で、USインディ~オルタナっぽい感じと、あとは、あんまりパワー系にならないように。YOUTH LAGOONの2ndアルバムみたいな雰囲気を意識してました。
──みんなで歌うっていうのは、2010年代の前半ぐらいかな、欧米のインディシーンでけっこうトレンドでしたよね。
高本:そうですね。ライヴ映えして、すごく良いじゃないですか。この曲も、そういう光景にならないかなって。でも、それは今も継続していますね。機会があれば、今もそういう曲を作りたいと思います。
──逆に「LINGERING OUT」は、前のヴァージョンに入っていた掛け合いのコーラスが入っていないですね。
高本:薄く入っているんですけどね。まぁ、歳取ったヴァバージョンと言うか(笑)。
CHUN2:「これが今、しっくり来るんじゃない?」みたいになりました。以前のアレンジは、ちょっとがんばっちゃっていると言うか、今回は歳相応と言うか、背伸びしていない感覚と言うか。より家でやっているような感覚で、もっと素の感じに近いアレンジになりましたね。
高本:一般的には、一度リリースした曲は、パンチがあるような元気な曲だったらなおさら、それを上回ろうとするっていうのがあると思うんですけど、そういうのは一切要らなかったですね。そういうんじゃないっていうのを提案したかったって言うか、「そういうんじゃないアレンジもいいじゃない?」「それはもうあるじゃない」って。前のヴァージョンは前のヴァージョンで、すごく良かったと思うから、あれよりさらに元気良くはできないなっていう。そういうんじゃなくても、再録したい曲があってもいいじゃんって感じですかね。「LINGERING OUT」に関しては、いろいろ言われましたけど、僕らはそうでした。
──そして、2曲目の「STRAY BIRD」は、例えが古くて申し訳ないですけど、THE BYRDS風のフォークロックで。
高本:でもまぁ、そうですね。CHUN2にアルペジオを弾いてもらいたくて、作ったような曲なので。ただ、僕なりにこだわったのは、誰にも気づいてもらえないかもしれないけど、1990年代のエモ感が若干入ってるんですよ。それを自分のためにすごく意識して、熱くなりすぎないように、平熱で、平熱で、でも感情的になっているみたいなものを心がけました。
CHUN2:歌い方が囁き系っていうのは、新しいのかなって聴きながら思いましたね。それがすごく良かったです。
──渡辺さんのベースラインもすごく歌っていて。
高本:それも彼に弾きたいように弾いてもらっただけで。それがすごく良かったんですよ。
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