【特集】神宿が新境地へ、羽島みき＆塩見きらインタビュー＋ツアー初日レポ

＜神宿全国ツアー2019-2020 “GRATEFUL TO YOU”＞
2019年11月15日（金）東京・六本木morph-tokyo

この日は塩見きら加入後、現体制では初となる全国ツアー＜神宿全国ツアー2019-2020 “GRATEFUL TO YOU”＞の初日。会場となった六本木morph-tokyoは神宿にとって、2015年2月1日、＜神が宿る場所〜みんなでMorphであたたまろう〜＞と題したワンマンライブで200人以上の観客を動員してCDリリースを決め、ファンの呼称“舁夫”（読み：かきふ／神輿を担ぐ人を指す名称）を初めて発表した思い出の場所でもある。

メンバーの楽屋の前には4年半ぶりにこの場所に戻ってきた神宿を讃えるメッセージボードが用意され、それを見た5人は大感動。今回は、こうして現体制となった神宿で改めて全国の思い出の場所を巡り、5周年で幕張メッセに立たせてもらえたことに対する感謝の気持ちを伝えて回るという、いわばお礼参りのツアーとなっている。

ツアーで回る会場は、どこもキャパ的には小さなハコばかり。この日も当然チケットは激戦となり、そのなかでプラチナチケットを引き当てた舁夫たちが開演前から場内をパンパンにうめつくしていた。そして、今回のツアーもフロアには女性専用エリアが設けられ、そこには神宿と同年代の女の子たちが集結。女子力高めなかわいい系のファッションやルックス、楽曲で、昔から同性のファン率も高めな神宿のライブは、男性の声に女の子たちの「かわいい！」というファンコールが混ざり、なんとも言えないほっこりとした微笑ましいムードを作り出す。

開演時間を少し過ぎ、会場が暗転。メンバーがなかなか現れないと思っていたら、ステージのスクリーンを通して、いきなり新曲「ボクハプラチナ」のMVが流れ出した。突然のフルバージョン解禁のサプライズに、場内はフリーズ。いままで見たことがないような神宿に目を奪われ、声も出ない。身体も動かせない。MVを見終わった瞬間、大人カッコいい新境地に達した神宿の姿を目の当たりにしたオーディエンスが、思わずため息を漏らす。

そんな衝撃的なオープニングのあと、この日のライブは「はじまりの鐘を鳴らせ」で明るく元気に幕開け。いつもの神宿が、リボンの部分がメンバーカラーになった紫をベースにした新衣装で登場すると、場内は大歓声に包まれる。背中ツンツンのキュートなダンスが印象的な「ビ・ビ・ビ♡」からのキラーチューン「KMYD」で、舁夫たちが全力でシンガロングをステージに届け、場内はすでに終盤のような熱狂に包まれる。



そして、5人で挨拶をしたあとは「JAPAN TOUR初日、見ての通り新衣装でございます」とMC担当の羽島めいがまっ先に新衣装について話しだし、今回は「手袋とかしてお嬢様っぽい」と解説すると、一ノ瀬みかがすかさず「あー、オタクがみんな好きなやつだよね」とクールに言い放つ。その横で羽島みきが小山ひなに向かって「やっとお姫様になれたね」と語りかけ、2人でいちゃいちゃ。塩見きらはというと「カワイイ！」と声をあげる観客に向かってにっこり笑顔を注ぐ。このやんわりとどこまでもフリーダムなトークに癒されたあとは羽島めいが「この場所で初披露した曲を」と伝え、狂おしいほどせつない表情で最後に投げキッスをおくる「あの娘にばれるような・・・」、エフェクトした声で表情まで抑制し、ロボットダンスを踊る「ぱらしゅ〜と☆らぶ」を続けてアクト。歌唱力、表情一つとっても4年半前とはまったく違うアプローチで、いまの神宿の成長ぶりをたっぷりと見せつけていく。

このあとのMCでは、4年半前のワンマンライブを振り返り、一ノ瀬みかが当時のライブのタイトルは毛布とmorphをかけていたと明かし、羽島めいがそこから「お隣さんともあったまるようなこの近い距離感で、ここから声出していけますか？」とフロアを煽り、ライブは神宿きってのカッコいい系パワーチューン「全身全霊ラプソディ」から後半戦へと突入。さらにそこに「春風Ambitious」〜「お控えなすって神宿でござる」の連続投下で、場内はジャンプやコール、振り真似で大盛り上がり。問答無用の一体感が生まれる。そうして、間奏で羽島めいが美しいバレエの舞を見せる「はじまりの合図」で本編をきっちりと締めくくっていった。


アンコールに応え、ツアーTシャツに着替えて再び舞台に現れた5人は、「必殺！超神宿旋風」でミュージカルのようなセリフ回しや、メンバー同士のわしゃわしゃしたコンタクトで場内を大いに楽しませる。「一言言っていい？　まだ足りなくね？」と羽島めいの言葉にみんなが一斉に賛同。そうして「Summer Dream」が始まると、会場に集まった全員で勢いよくタオルを回して、どこまでも大はしゃぎ。

この日最大の一体感が場内に渦まいたところで、羽鳥めいがフロアの興奮を落ち着かせるように、静かな口調で「感謝の気持ちを歌います」と伝え、「それから」へ。5人がサークルになり、メンバー1人づつボーカルリレーをしながら歌い継ぐこの曲は、サビで5人の声が一つになり、ユニゾンで歌い上げるシーンは何度見ても感動的。こうして、アンコールラスト、ありがとうの気持ちを感動的な歌で届けてライブは終了。

最後に一ノ瀬みかが「最初の気持ちを忘れちゃいけないと思ったし、今日ここでみんなと重ねた気持ちも忘れない」とライブの感想を伝えると、小山ひなは「思い出のある六本木morph-tokyoでJAPAN TOURを始められて嬉しいです」と言葉を続けた。それを聞きながらフロアを見ていた羽島みきは「神宿って愛されてるんだなって思いました」としみじみと語り、羽島めいが「2回目の六本木morph-tokyo。4年半ぶりにこの景色を見てるんですけど。出会い、別れ、いろいろあるけど、それでも変わらずみんなが神宿を応援してくれたら嬉しいし。私たちは何年たっても、どこのステージに立っても、みんなのことを変わらずずっとずっと大切にしていきます」と感謝の気持ちを言葉にして届け、ツアー初日のライブを締めくくった。


この後も神宿の全国ツアーは年をまたいで2020年まで続いていく。そして、2020年1月15日にはニューアルバム『kamiyado complete best 2018-2019』、さらにリメイクベストアルバム『kamiyado complete best 2014-2015』『kamiyado complete best 2016-2017』を同時発売する。この勢いのまま2020年、全国に神宿旋風を巻き起こす。

撮影◎本間裕介
取材・文◎東條祥恵

▼新曲「ボクハプラチナ」配信リンク
https://kamiyado.lnk.to/platinum