【インタビュー】レニー・クラヴィッツ、『Raise Vibration』を今改めて語る「向かうのは俺にとっての真実」
■こんな暗闇と混乱の中にあっても
■人間は前進できると信じたい
──「It’s Enough」には強烈なメッセージが込められていますよね。メッセージ性への拘りとは?
レニー:多くの曲にメッセージを込めているんだけど、特に愛なんだ。でも、それはいろんな多くの違った形で表現される。曲によって政治的だったり、社会的だったり、個人的なものだったり。だが、愛こそが根源であり鍵なんだ。
──我々は年齢と共に情熱を失ってしまいがちですが。
レニー:俺は違う。いっそう情熱的になっている。
レニー:俺は気にしない。他人がどう考えるかを気にしていては、どこにも行き着けないよ。なぜなら誰もが異なる意見を持ってるから。つまり君の意見、彼の意見、誰かの意見って、いろいろと耳を傾けることは大切だけど、その後にどこへ向かうのかを決めるのは自分自身なんだ。俺が向かうのは、俺が正しいと思う道であり、俺にとっての真実なんだ。
──そんなふうに最初から考えていたわけじゃないですよね?
レニー:いつもそうだよ。クリエイティヴに関してはいつも俺がコントロールしてきたし、いつも聴こえてきた音楽を創造してきた。
──自身を活動家だと思っていますか?
レニー:活動家? そういう部分はあるかもね……うん、そういう部分はあるかも。俺は自分なりの見解を持った人間だから。俺たちの多くが活動家だよ。
レニー:その通り。でも、そのムーヴメントは俺の中にあるものであり、俺から始まっている、俺自身のムーヴメントなんだ。誰もがそれぞれのムーヴメントを持っていて、それがひとつになった時、いっそうパワフルなものとなる。つまり一人一人が始めなきゃいけなくて、そこから広がっていく。
──アメリカもしくは世界の現状も関係していますか?
レニー:そうだね、世界は凄く興味深い状況にあるよ。ネガティヴな見方や事柄が蔓延している。でも俺は、こんな暗闇と混乱の中にあっても、人間はなんとか前進できると信じたいんだ。俺は楽天家であり続けたいし、いつも最善を望んでいる。だってこんなに本当に多くの素晴らしい人々がいるのだから。正しいことをしようと望んでいるし、それに反対する人々と闘っている。
──あなたの音楽からネガティヴなものを聴いた覚えがありません。そんなふうにポジティヴでいる秘訣とは?
レニー:そんなふうに育てられたからだと思うな。とても尊敬する人物がいるよ。俺の祖父で、とてもポジティヴな人だった。彼は争っている時でさえ、相手を否定しないんだ。彼独自のやり方で争って、ポジティヴな雰囲気で成し遂げる。彼からは多くを教わったね。
──レニーにとってはポジティヴであるのは自然なことだと?
レニー:たいていそう。難しいこともあるけどね。折り合いを付けるのが難しいことって時にはあるから。そういう障害を乗り越える方法を見出さなきゃね。
──「5 More Days ‘Til Summer」のリミックスが、本日公表(取材は2019.10.5)になりましたよね。
レニー:ああ、確かそうだよね。夏にはちょっと間に合わなかったけど、ここなら大丈夫。ここは真夏だし (※この日、東京[@Jing Harajuku]は季節外れの夏日だった)。
──あのビデオが大好きです。裏話を教えてもらえますか?
レニー:酒場で出会った男の話なんだ。一度もバケーションに行ったことのない年配の男性。自分のために割く時間や余裕がなくて、夜勤をこなして、昼間は寝る生活。妻もいなければ、子どももいない。ずっと働きづめっていう。そしてついに人生で初となるバケーションに行って、初めて世界を冒険するわけさ。
──いい話ですね。
レニー:うん、そうそう。実在する人が基になっている。
──さて、アルバムがリリースされてから1年が経ちましたが、ずっとツアーをされてますよ。
レニー:ずっとツアーをしてきたし、2020年もこのアルバムのツアーを続けるよ。だからそのツアーでは日本にも戻りたいなと楽しみにしているんだ。以前はもっと頻繁に来てたからね。日本で丸1ヵ月間とか全国ツアーをしたこともあるよ。北海道かな? 日本の最北から……。
──沖縄まで?
レニー:いや、そこはまだ行ったことないけど、日本列島なら最北から最南端まで、広島、名古屋、大阪、東京とか回ったことがあるよ。最高だった。また同じように、あちこちに舞い戻れると嬉しいな。まず東京からスタートして、いろいろ行けると思うけど、また日本としっかり繋がりたいとすごく思うんだ。日本が大好きだし、デビューしたての頃に初めて来日した当時から、すごくいい思い出ばかりなんだ。
──例えばどういう思い出あるのか教えてもらえますか?
レニー:俺は駆け出しのアーティストだったから、まるで違った惑星に行くかのようだったよ。祖父を連れてきたこともあるし、父を連れてきたこともある。楽しいことばかりさ。素晴らしい人ともたくさん出会ったよ。日本の文化も大好きなんだ。日本の独創性、アートやデザインも大好きだよ、全てがね。食べ物もそう。さっきも言ったけど、日本に来る時はいつも他の惑星に行くみたいな感じで、ここでしか体験できないことを体験できる。それから、来日する度に俺はいつも洋間ではなく、日本間に宿泊するよ。毎日和食を食べて、すごく自分が快適でいられる場所なんだ。ずっとここにいられる、ここに住めるよ。すごく自分に合ってるんだ。
──日本で音楽も作れます?
レニー:日本でレコーディングしたことはないけど、やったらすごく面白くなると思うな。
──普段はバハマで音楽制作ですよね?
レニー:そうなんだけど、レコーディングならどこでも構わないよ。
──夢を見れるなら、ですね?
レニー:その通り。
──最後に、日本のファンにメッセージをお願いできますか?
レニー:昨日もホテルに多くのファンが来てくれているのを目にしたし、みんなの変わらぬサポートにはとても感謝している。すぐにまた戻ってくるよ。約束する。再会して、またみんなで一緒に“Raise Vibration”しよう!
取材・文◎村上ひさし
撮影◎Nadine Koupaei
■11thアルバム『Raise Vibration』
WPCR-18076 ¥1,980+税
01. We Can Get It All Together
02. Low
03. Who Really Are the Monsters?
04. Raise Vibration
05. Johnny Cash
06. Here to Love
07. It's Enough
08. 5 More Days 'Til Summer
09. The Majesty of Love
10. Gold Dust
11. Ride
12. I'll Always Be Inside Your Soul
13. Low (David Guetta Remix) ※BONUS TRACK
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