【インタビュー】Czecho No Republic、ラ・フランスと『La France』の関係

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Czecho No Republicが、今年2枚目となるEP『La France』をリリースした(2019年11月6日)。2018年に4人編成となり、今年7月にはメンバーの武井優心(Vo&B)とタカハシマイ(G&Syn&Vo)が結婚するなどバンド内外を取り巻く環境の変化を経て、彼らはどんな思いで活動をしているのだろうか。偶然とは思えないような符号があったというタイトル曲のエピソードをはじめ、『La France』収録曲を紐解きながら、バンドの今を語ってもらった。

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■超かっこいいことを言うと「弘法筆を選ばず」

──まず、2019年はここまで振り返ってどんな年でしたか?

武井優心(Vo&B:以下、武井):「落ち着いて、やれることを確かめる年」でした。慌てたり、誰かを妬んだりとかじゃなくて、自分たちのできることと向き合うというモードでしたね。背伸びをしたりできないことをやるんじゃなくて、地に足をつけてこの4人で一番楽しく魅力が出ることとは何だろう?って考えていました。その結果、良い感じの年になったと思います。

タカハシマイ(G&Syn&Vo:以下、タカハシ):自分たちらしさを改めて考えて、今売れている音楽やまわりの人たちがやっている音楽とかじゃなくて、本当に自分たちが良いと思えるものをちゃんと表現できた年だったと思います。

──そういう、バンドとしての姿勢みたいなものは、みんなで話したりするものですか?

武井:いや、そういうのは基本的に後付けなんですよね。たまにお互いの意思を確かめるような会話で「俺はこういうモードだ」っていうことを打ち出して。あんまりはっきりしたことは会話して決めすぎない方がいいような気がするんです。自分たちの状態を言葉で表現することは難しいんですけど、今、ライブがすごく良いんですよ。ライブの空気感というか、テンション感、自分が出している音は気持ち良いので、「良いライブができるようになってきている」という気持ちは各々あると思います。

砂川一黄(G:以下、砂川):色んな部分で決心とか覚悟が必要な1年だった気はしますね。4人編成になってまだ間もないし、足並みをそろえてやっていかないといけないな、ということは今年の頭に思いましたし、2人(武井とタカハシ)の結婚発表もありましたし、環境が大きく変わりつつあったので。そういう色んなことがあっても、ちゃんと1本筋を通して、チェコというバンドをしっかり続けるというか守るというか。そういう気持ちでやってきた1年でした。

山崎正太郎(Dr:以下、山崎):「再構築の年」でした。メンバーが変わったり、2人の結婚があったり。今回のEPと前回のEP(『Odyssey』)、さらに前回のアルバム(『旅に出る準備』)と比べても音楽性が違っていて。音楽的な部分でも再構築して、4人で何ができるのか、どういう風にやれば正解なのかということを見つめ直した年かなと思います。だから、個人的には時が経つのが早かったですね。あっという間の1年に感じました。

▲Czecho No Republic /『La France』

──自分が最初にチェコの音楽を聴いたのは2012年の『ダイナソー』なんですけど、そのときの曲調とか雰囲気を「すごく若いな」って感じたんです。それを思い出しながらEP『La France』の曲を聴いたら、「もっと若いな」と思ったんですよ。

一同:(笑)。

武井:若返っちゃった(笑)。

砂川:「大人の感じが出てきましたね」とか言われると思ったんですけど(笑)。

──若いというか、新鮮な感じを受けたというか。それはバンドが新しいモードにあるからそう感じたのかなって思ったんですけど、『La France』の曲を書くにあたって“新しいCzecho No Republic”みたいなことは意識していたのでしょうか。

武井:日記のように曲を書き溜めてストックしていて、次の音源をどうしようかっていうときに、バランスをとって出しているんですが、最近は「こういうものにしよう」というのはそれほどなくて。まあ、意識しないふりして、「ああいう曲が増えてきたからこういう曲もほしいな」とか、帳尻合わせをどこかでしているとは思うんですけど。基本的には、その時々に書きたい曲を書いていくというのを繰り返しています。でも前と一番違うのは、「誰かみたいなこういう曲を書きたい」とか「こういう楽器を使ってやりたい」とか、そういったエゴがなくなってきました。超かっこいいことを言うと「弘法筆を選ばず」。「なんでもいいや」みたいな感じですね(笑)。前は「この音とか手法は一度使ったから使いたくない」って思ってたんですけど、それがなくなってきたんですよ。例えば、砂川さんのギターとかタカハシのギターとかも、良い意味でパターン化してきていて、それは武器になっていくんじゃないですかね。同じことを敢えて何回もやるっていう。だからメンバー間の話も早くなってきたし。

──試行錯誤はするけれど、悩まないみたいな感じですか。

武井:もう最近は、自分が作った時点で答えが出ちゃってる感じはします。

▲武井優心(Vo&B)

──そういう意味でいうと、今作にも迷いはなかった?

武井:迷いがなさすぎて、クリエイターとして失格感があるぐらい。マイキングとか全然興味ないし(笑)。例えば砂川さんに「この曲はギターで録ろうと思うんですけど」って言われても、「なんでもいいんじゃん?」みたいな(笑)。

砂川:ははははは(笑)。お互いに、任せるところは任せるっていう感じなんじゃないかと思います。

タカハシ:昔の方がわりと、自由じゃなかったかもね?今の方が、砂川さんにフレーズを任せていたりとか、メンバーの意見を取り入れることが多くなったというか。

武井:取り入れられてるか?(笑)。

タカハシ:わかんないけど(笑)。

山崎:昔の楽曲は、たぶん武井の中で鉄壁でできていたので。

タカハシ:うん、そう思う。

山崎:昔は、「音色は絶対これ」みたいな。デモの時点でもうできちゃっているので、その音色にしないとできあがらないというのが武井の中にあって、それを再現するのが難しかったこともありました。今作もそうですが、最近は武井のマインドが柔らかくなってきたというか、だいぶコリが和らいだというか。そんな気はしますね。

──その結果、弘法筆を選ばずという。

武井:かっこよく言うと、ですよ?(笑)。いい加減になっているという感じはあります。こだわるところはこだわって、任せるところは任せて。デモを作るときにものすごく真剣に作るので、そこまでいったら満足するんですよね。

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