【インタビュー】Lucky Kilimanjaro、聴く人の生活に新しい気づきと希望とパワーを与える音楽の力
■僕は人間のポジティブな面をひたすら追い求めたくて
■そこをふくらませるアーティストでありたいと思います
──「初恋」は恋の歌だけどワードはけっこう硬くて、「何かを得るためにバランスを諦めた」という表現がすごく印象的です。
熊木:僕の中での主題はそちらなんです。恋が失われたけど、また新しい恋を初恋のような気持ちでということ。「何かを得る時には何かを失う」ということで、後悔しないでどんどん新しい気持ちを大事にしようという歌です。「初恋」というタイトルにしたのは、こういう2ステップの洋楽っぽい曲に情緒を足したくて、タイトルをつけました。
──あと、なんといっても「HOUSE」が最高。インドア派のアンセムですよ。
熊木:実際、ライブでもすごい盛り上がって頂けるんです。インドア派の曲なのに(笑)。夏フェスでもこの曲をやって、みんな踊ってくれたんですけど、アウトドアの夏フェスで♪ここから出れない~って歌ってるのをおかしいよと思いながら(笑)。この曲は完全に僕というよりは、「こういう人いるよね」ということで、友達にも多いし、うちのドラムもわりとこういうタイプで、13時に起きたりするんですけど(笑)。そういうのを思い浮かべて、ゆるい気持ちで書いたんですけど、みんな共感してくれて。
──ゆるいけど、これは世代の象徴だと真面目に思いましたよ。「退勤→速攻帰宅」「NETFLIXでこもる」「部屋で踊るハウスミュージック」とか。キャッチーな歌詞がずらり。
熊木:今の世代の考え方の一つなんだなと思いますね。
──それをアッケラカンと明るいハウスビートに乗せて歌うのが素敵だなあと。昔はインドア派って、引きこもりとか暗いイメージがあったけど、今はそこから生まれるクリエイターもたくさんいるし。
熊木:僕もそういうことを歌いたくて。今は家で曲も作れるし何でもできるから、家ってイケてるんじゃない?ということを、ちょっとふざけつつ歌っている歌です。でも常に今を切り取りたいと思っているし、ポップスである以上今の人のために歌いたいと思うので、そこの空気を良くしていくことを徹底したいと思っています。
──家だからハウスミュージック。誰もが思っていたけど誰もやらないアイディア(笑)。
熊木:ここまで安直でいいのかな?と思ったんですけど(笑)。それぐらいのほうがいいんだなと改めて実感しました。何を言っているのかが誰でもわかるし、インドアの要素と踊る要素をしっかり組み合わせれたのも良かったです。ふざけて書いた割には、良いテーマになったと思います。
──インドア派とはいえ、すごく人生に前向きなのがいいなあと。
熊木:聴いてくれる人が明日から良い生活が送れることが、僕の一番目標としていることで、バンドをやる上で義務だと思っていて、それが自分を救っているとも思っているんです。前向きなことを思ってはいても、嫌なことがあるとふっと違う考えがよぎったりするけど、でも自分がこういう曲を書いてライブで歌うことが自分の救いにもなってるのかなと思ったりします。歌詞は「良くしていきたい」という思いのままに書きますね。
──そこがこの手のサウンド…とか言うと大雑把だけど、こういうダンスポップミュージック的な楽曲の歌詞としては圧倒的にフレッシュに感じていて。ある意味青春パンクやギターロックにも通じるような。
熊木:そういう感じもありますね。僕は人間のポジティブな面をひたすら追い求めたくて、そこをふくらませるというか、そういうアーティストでありたいと思います。
──ラッキリの曲は、どれもそういう、あらためて気づくような新鮮さがあって。トラックはループ中心でメロディもAメロとサビの繰り返しみたいなシンプルな構造で。
熊木:展開は多くないですね。
──ビートはシンプル、コードもシンプル、メロディも素直、歌もコブシとかつけずにストレート。なのになぜこんなにキャッチーな曲がじゃんじゃん生まれてくるのか?と。すごいなあと素直に思います。
熊木:僕はいろんなことができるタイプじゃなく、たとえばソウルフルに歌えるわけでもないですし、自然に自分の中で一生懸命やっていたらこういう形になったという、自分でも説明できないんです。ダンスミュージックが好きだからループさせようとは思っていたんですけど、「何でこういう形にしたんですか?」と聞かれても「わかんないです」ってなっちゃいますね。ただ、色がないという色が一番格好良いかなと思うので。そこにちゃんと人が集まってくれるなら、それでいいなと思います。
──そして11月23日、渋谷WWWでの初ワンマン・ライブ。告知しようと思ったら、もうソールド・アウトしちゃっていました。
熊木:ちょうど「HOUSE」のシングルを配信した頃、先行販売の段階でほとんどなくなっちゃって。「初恋」や「FRESH」を聴いてライブに行こうと思った人は、ソールドじゃん!と思ってるだろうなと思って、嬉しい反面申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも、今も来年のために曲を書いてますし、ライブもどんどんやっていきたいと思っています。
──バンドとしての近未来の夢は。
熊木:聴いてくれる人が「ラッキリ聴いたら気分良くなるよね」とか、そういうものが浸透していって、たとえば僕らが1万人、2万人集められるようになったら、その空気が社会的に広がっていくかなと思っていて、そういうことが起きるといいなと思っています。僕らの音楽から少しでも世の中の色が良くなっていけばいいなと思っていて、まずはその空気を感じたいと思います。そのスタートとして「風になる」はすごく良かったと思うし、その空気がどんどん大きくなるのが夢ですね。あとは、水道橋の学校のサークル出身なので、東京ドームでやってみたいです。
──ああー、場所近いから(笑)。
熊木:それと僕は埼玉出身なので、さいたまスーパーアリーナも。大きな景色は見てみたいと思います。
──今日お話しさせてもらって、バンド名に「ラッキー」が入っている意味がわかった気がする。
熊木:元々そういうポジティブな意味合いがほしくてラッキーという言葉をつけたので。そのままちゃんとバンドの形になって良かったなと思います。今になって整合性が出てきた気がしますね。
取材・文●宮本英夫
リリース情報
2019.10.02 Release
MUCD-1473 \1,600(TAX OUT)
1.FRESH
2.風になる
3.初恋
4.HOUSE
5.Do Do Do
ライブ・イベント情報
11月23日(土) Shibuya WWW
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