【レポート】Chrumi「日本のテクノアーティストが誕生した瞬間を感じる素晴らしい一夜」

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ジャパニーズテクノレーベルSPECTRAに所属するアーティスト、Chrumiによるデビューアルバム『Quiet Liquor』のリリースを記念した、全5箇所のリリースツアーファイナルが2019年9月6日に渋谷CLUB ASIAにて開催された。

この日のラインナップもSPECTRAのアーティストを中心としたメンバーで構成され、本パーティーの主役であるChrumiは、彼女自身初となるライブセットを披露した。SPECTRAオーナー兼プロデューサーのHiroyuki Arakawaのノウハウを継承し、見事自身の作品群に昇華させたこの夜のライブはすべての来場者の心を掴んでいたと言えるだろう。



メインフロアはHiroyuki Arakawaの海外ツアーでフロントアクトを勤めた2名、MIOと続いてDAN CLOWLEYのDJによって早い時間から、多くの来場者が集まり、盛り上がりをみせていた。また、他のどのラウンジフロアもテクノに染まった、洗練した雰囲気に、来場者は長い時間滞在しており、今回も良い夜となるポテンシャルを早い時間から感じることができた。



Chrumiのライブセットがいよいよスタート。機材はMacBookとNovation Launchkey 49 MK2、オーディオインターフェースというシンプルな構成だ。アルバムに収録されていないアンビエントなオープニングから、徐々に自身のアルバム収録曲に紡いでゆくアレンジ溢れるシームレスな展開となった。キックが4つ打ち始めたのは、ライブ開始からおよそ13分後、「Cheek」が流れた瞬間だった。この後、メイントラックの「Quiet Liquor」がかかるまでに、この曲予期させるようなフレーズが何度か訪れる、期待感をもたせるライブフローは初めての公演とは思えないクオリティと言える。終盤にめがけてBPMを徐々に上げていき、見事に本アルバムでも異色であった「VANITY」まで完璧な展開でフロアをピークに導いた。


彼女の初ライブ終了時は、フロアから多くの拍手に包まれ、達成感溢れる彼女の笑顔にフロアがひとつになった。物販ブースも賑わっており、終始笑顔が絶えることはなかった。その後、SPECTRAから来年リリースを控えるMAREAMのDJに続き、Hiroyuki Arakawaのライブセットと、ピークタイムが3時間にも及んだがフロアの熱が下がることはなく、パーティの終了時間までSPECTRAの世界観を堪能することができた。



パーティ終了後のステージでは、Hiroyuki ArakawaがChrumiに今後の意気込みをインタビュー。最後まで笑いと感動に溢れていた。この日の東京は、テクノ激戦日ともいわれていた状況にもかかわらず、根強いSPECTRAファンが集結。レーベルに対するファンの信頼が証明された瞬間であり、オンリーワンのテクノレーベルとしての可能性を十分に感じ取れた。Hiroyuki Arakawaにピックアップされてから2年もたたずにして、自身のアルバムとツアーを敢行した彼女は、さらなるネクストステージにむかう。日本のテクノアーティストが誕生した瞬間を感じる素晴らしい一夜であった。



Photo by Yoshia & Hajime Ishimaru

◆ SPECTRA オフィシャルサイト
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