【インタビュー】琴音、少女と大人の境を超え優しい雨のように心に沁み通る1stシングル「今」
■優しくていい子だけど心に傷を負っている子が多いんです
■そういう子たちも元気づけられるような歌が作れればいいな
──話を今に戻して「今」の話をしましょう。1stシングルのリード曲になった「今」は一番新しい曲ですか?
琴音:そうです。
──何を歌おうと思って作った曲ですか。
琴音:私はぼーっとしてる時は周りを見てしまうんです。観察というほどでもないですけど、みんなが何をやっているか無意識に眺めている時に“あ、この子、今、自分の主張を隠したな”とか“無理してるな”とか。周りに合わせるためにスッと変える瞬間とかがけっこう見えるんです。
──ああー。学校とかで。
琴音:学校でみんなと話してる時に時々そういうことがあって。大体そういうことをやる子って決まっているんですね。自分も今はいい仲間にも巡り合えて自分の言いたいことを言えるようになったんですけど、周りの目に怯えてる時期や自分の人格を取り繕っているような時期もあったし。そうしたほうが周りの子が喜んでくれたので、ひょうきんなことを言ったりして無理やりやたら明るくふるまってみたりとか小さい頃にはあったので。でも今ぐらいの年齢になっても、そういう面影が見える子はけっこういるので、それがしんどいんだったら良くないなと思って、それで曲を作ってみようと思ったのがきっかけです。そういう人は自分の立ち振る舞いに悩むことがあると思うし、今は高校3年生で来年にはみんな違う場所に行くので、そこでまた悩んだり疲れたりするだろうし。と思った時に、それを発信することでしんどいなと思っている人が“自分を主張しよう。ありのままで行こう”と思ってくれれば嬉しいのと、あとは自分自身の記録というか“私もこういう時期があったな”という、成長記録みたいなものの一つでもあるかなと思います。
──40、50になってもそういう人はいますよ(笑)。それは元々の性格だったり環境がそうさせてしまったり。
琴音:もちろん、自分を隠さなければいけない場は人によってはあると思いますし、自分を隠して生きていくほうが平和的な人もいるでしょうし、そのほうが周りに迷惑をかけないとか居心地がいいとかは否定はしないです。“そのままでいいよ”という歌詞は、ありのままでいいということと自分を偽っているそのままでもいいよ、と。
──ああそうか。人によって解釈は変わる。
琴音:歌はその人の解釈次第だと思うので。この曲を聴いていただいて、何か考えることとか苦しい人を元気づけられたらと思います。何か感じ取っていただければ嬉しいかなと思います。
──カップリングの2曲も、新しい曲ですか。
琴音:いえ、3曲目の「Aries」はスナックで歌っていた時からあった曲です。自分のことをめちゃめちゃ応援してくれてた大好きなひいおばあちゃんが亡くなった時に作った曲です。みんなから愛されているひいおばあちゃんだったんですよ。亡くなる前の数年は私のことがわからなくて“だあれ?”と言われたりとかしたんですけど、でもやっぱりわかるんです。おばあちゃんが“琴ちゃんだよ”って言うと“ああ、琴ちゃん”って。自分が保育園の頃から遊びに行くといつも“歌って”と言ってくれて、歌う曲は年々変わっていくんですけど、童謡からポップスになっていったり、それを全部喜んで聴いてくれて。もう直接聴かせられなくなると思うと寂しいですけど、届いているといいなと思います。
──なんだか、あなたの周りには優しい人しかいないなあ。
琴音:この前、衣装さんにも言われました。友達の話をしたら“琴音ちゃんの友達の話って、めっちゃいい子ばっかりだから、ちびまる子ちゃんかなと思った”って(笑)。親や友達、人間関係はいいご縁に恵まれているとすごく思います。自分はけっこうふらふらしているというか自由なところがあるので、人付き合いに疲れてくると一人でどこかに行っちゃったりするんですけど、それでも“あれ、どっか行っちゃったね”“あ、戻って来たね”みたいな(笑)。仲間意識で嫌な束縛をしあったりするわけでもなく、あたたかい感じの人がいっぱいで。でもそういう子たちって、苦しいことや悩んだことが過去にけっこうあったりするので。すごく優しくていい子だけど心に傷を負っている子が多いんです。特に自分の友達はわりとそういう子が多いので、そういう子たちも元気づけられるような歌が作れればいいなと思いますし、友達からも影響はすごく受けてます。
──いいなあ。そういう歌をどんどん書いてください。2曲目の「飛行機」は自作ではなくて、柴田聡子さんと岡田拓郎さんが書いてくれた曲。
琴音:普段自分が作る曲とテイストがだいぶ違うので面白いなと思います。前にも他の方に楽曲をご提供いただいたことがあったんですけど、こういう音楽もあるんだという、個人的に勉強になるなと思いますね。自分の中では、シンガーソングライターとはまた別のジャンルだと思って歌っています。どういうふうに歌えばいいんだろう?って、歌手に徹する感じです。
──今後、そういうのもあり?
琴音:そうですね、全然なしではないです。
──いいシングルですね。色がよく出ている。これから大きい会場でやりたいとか近未来の夢はありますか。
琴音:うーん、今はたぶん探してるのかな。元々歌を歌う人になりたいと思ってたんですけど、それが早い段階である意味叶ってしまったので、何ができるのかを考えている感じです。とりあえず今はお客さんもたくさん増えたので、精一杯やることが一番かなと思いますね。あとは、自分の表現をちゃんと伝えられるように頑張っていけたらいいのかな、みたいな。
──たとえば、武道館のステージに立ってる自分とか想像できる?
琴音:いやー、どうなんですかね。ライブでご一緒したバンドさんには“武道館行きたい!”とかそういう方がたくさんいらっしゃって、うわーすげーと思いましたけど(笑)。正直、今の段階ではこぢんまりした場所で歌っていた時期が圧倒的に長いので、そっちのほうがイメージしやすい。でももちろん、たくさんの方に聴いていただけるならそれはいいことだと思いますし、いろんな人が“いいな”と思って聴いてくださればいいなと思います。でも、そうですね、探し中です。
──ゆっくり探してください。今年の夏はどんな活動を?
琴音:今年の夏は、けっこう詰まっています。インストアライブがあるのと次の制作もあるので。今のところ夏休みの半分ぐらいはほぼ東京に行く感じになっていて、後半もちょいちょい入って来ると思うので忙しくなりそうです。
──せっかく高校最後の夏休みなのに。
琴音:でも平日はけっこう遊んでるほうだと思います。仲のいい友達と集まってお茶したりしゃべってぐだぐだしたり。そういう空間も楽しいですし、親も“いいねえ”と言ってくれるので、楽しくやっていこうかなと思います。
──シンガーソングライターは今の気持ちを歌う人だから。来年になって卒業したら歌うことも変わるだろうから、すごく楽しみ。その頃また来ますよ。定点観測させてください。
琴音:はい。お待ちしています(笑)。
取材・文●宮本英夫
リリース情報
■2019年8月7日(水)リリース
■初回限定盤(2CD): \1,800(+税) / VIZL-1617
■通常盤(CD): \1,200(+税) / VICL-37485
■CD収録内容:
[CD収録曲]
1.今
2.飛行機
3.Aries
[初回限定盤収録CD]
「1st note TOUR 2019 -明日へ- 2019.4.3」
1. 願い
2. 戯言~ひとりごと~
3. 夢物語
4. 記憶
5. しののめ
6. 大切なあなたへ
7. 音色
8. ここにいること
ライブ・イベント情報
11/23(土祝):名古屋クラブクアトロ(愛知)
11/30(土):新潟LOTS(新潟)
12/1(日):仙台HooK(宮城)
12/7(土):Music Club JANUS(大阪)
12/8(日):福岡ROOMS(福岡)
12/21(土):Veats shibuya(東京)
12/28(土):Veats shibuya(東京) 【追加公演】
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