【インタビュー】CID、「人気があるからっていうだけの理由でそのサウンドやジャンルを追い求めない」
7月11日、SEL OCTAGON TOKYOのスペシャルイベント<ROPPONGI MUSIC WEEKS 2019 SUMMER>に、グラミー賞アーティストのCIDが登場する。
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CIDは2014年にグラミー賞でBest Remixed Recordingを受賞、また今年のグラミー賞でも自身が手がけたLSD「AUDIO(CID remix)」が再びノミネートされるなど、ハウス界で注目のアーティスト。今回、CIDへのオフィシャルインタビューを掲載する。
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──Lana del Reyの「Summertime Sadness」のリミックスでグラミー賞を受賞しました。そのときの反響はやはり大きかったですか?どんな反響がありました?
CID:あのリミックスがあそこまで大きくなるなんて、本当にびっくりしたよ。Cedric Gervaisとあのリミックスをやったんだけど、多分1日か2日でやったと思う。いいものができたとは思っていたけど、作ったときはどれほど反響があるか見当もつかなかった。まずBeatportで知られるようになって、そこからクラブで広がったんだ。それで何か月かしたら、アメリカのポップミュージックのラジオで何度も流されるようになった。あの年は大反響のリミックスがほかにもいくつかノミネートされていたから、僕たちは自分たちのリミックスが受賞できるか全く分からなかった。受賞したのは本当にすごく驚いたよ。
──「Summertime Sadness」のリミックスはCedric Gervaisとともに制作されましたが、どんな経緯で手掛けることになったのでしょうか?また、どのようなリミックスを目指していたのですか?
CID:Cedric Gervaisはとても早い時期に僕を見つけてくれた。おかげでプロデューサーとして成長できたよ。「Summertime Sadness」のリミックスの話が出たときには、すでに彼と数年間仕事をしていたんだ。人生のあの時点では、ただ自分にできる限りの最高の音楽を作ろうっていう以上の目標は特になかった。結局それでこの業界で知られることになったんだけどね。グラミー賞受賞は素晴らしい経験だったし、いつか1人でノミネートされるように自分自身の音楽に専念することを始めるにあたって自信をくれたよ。
──今年もLSDの「AUDIO」でグラミー賞にノミネートされましたが、リミックスをする際の秘訣は?どうしたらグラミー賞にノミネートされるんでしょう?
CID:リミックスをするのに決まったやり方なんてない。リミックスをやる人の中には曲を完全に作り変えようとする人もいれば、オリジナルの曲の根幹を使おうとする人もいる。そしてそれをその人のサウンドやスタイルに合わせるんだ。僕の場合は、何をやるにしても、リミックスでもオリジナルでも、僕のDJのセットに合うことが条件だ。つまり僕にとって重要なポイントは、ポップミュージックか何か曲を選んで、クラブで僕のセット中に流せるものに変えることかな。グラミー賞にノミネートされるようなリミックスを作ろうってしっかり計画をする人はいないと思う。音楽にはたくさんの要因が集まっていて、世間が曲やリミックスにどう反応するかは決して分からない。でも1つ重要な要因は、リミックスするアーティストだと思う。LSDの場合はDiploとSia、Labrinthが後ろにいた。みんなそれぞれとても大物だよね。リミックスに興味を持ってもらうのに、曲にこの人たちの名前が入っていたのはとても大きいよ。
──HEXAGONやSize Recordsといった名門レーベルから楽曲を数多く発表されていますが、オリジナル楽曲はどのようにして作っているんですか?何かモチーフになるようなものがあるんでしょうか?
CID:僕は常に、自分がかっこいいと思う曲、そしてより影響力のあるDJがプレイするような曲を作りたいと思っているだけなんだ。Sizeから初めて曲を発表したときは、Steve Angelloが愛するようなものを作ることが目標で、彼のレーベルと契約したいと思っていた。今は自分自身のレーベルに乗り出したから、ハードルはそれくらい高くしようとしている。作っているものが、自分のセットに合って、僕がどのショーでもプレイしたいと思える音楽だっていうことを確認しながらね。
──これまでに影響を受けたアーティストは?
初期はDaft PunkやArmand Van Helden、Fatboy Slimあたりのアーティストだったよ。DJ、プロデューサーとしてとても刺激を受けたんだ。僕が最初に始めた頃はソーシャルメディアが普及していなくて、DJと僕を繋ぐものはリリースされたレコードしかなかった。そこで気づいたんだ。ニューヨークにプレイしにきている海外のDJは彼ら自身の音楽を通して有名になったんだって。そして僕はそのときにプロデュースの道に本気で飛び込んだ。
──現在のダンスミュージックシーンに関してどんな印象を持っていますか?
CID:音楽にとっていい時代だと思う。ファンはストリーミングでずっと簡単に曲を見つけられるようになっているし、アーティストが出した昔の曲も詳しく調べることができる。しかも、EDMのサウンド人気が落ち着いてきているから、ダンスミュージックのアンダーグラウンドのスタイルを見つけることに人々がより興味を持っているんじゃないかな。
──今回は東京の新たな人気スポット、SEL OCTAGON TOKYOでのプレイとなりますが、どんなプレイを披露してくれるのでしょうか?
CID:SEL OCTAGONでプレイすることに、とってもわくわくしているよ。色々ととても素晴らしいクラブだって聞いているからね! 僕自身の曲をたくさんプレイするのを期待してもらって間違いないし、制作中の新しい未発表のものも楽しみにしていてもらいたいな!
──将来の夢や今後の展望を教えてください。
CID:今、僕の新しいレーベルのNight Service Onlyにたくさんのエネルギーを注いでいる。僕の大きな目標は、僕自身のレーベルの名前を冠したパーティーやフェスのステージを持てるところまで持っていくことができるようになることなんだ。
──CIDのようなアーティストを目指す日本の若者に、いいアーティストになるためのアドバイスをください。
CID:そのときに1番人気があるからっていうだけの理由でそのサウンドやジャンルを追い求めないこと。自分が本当に愛して、情念を持っている音楽を作るんだ。プロデューサーなら、忍耐が必要だね。最高のレベルに達するまで、自分のサウンドを作り上げることに集中する。影響力のあるDJに興味を持ってもらいたいなら、ユニークで目立つものを作ることが絶対に必要だよ。
──最後に、日本のファンに向けてメッセージを。
CID:東京は世界の中でもお気に入りの都市だから、戻ってくるのを僕がどれほど楽しみにしているか想像できると思う。ダンスフロアでみんなに会えるのが待ちきれないよ!!
<ROPPONGI MUSIC WEEKS 2019 SUMMER>
6月14日(金)Vicetone
6月21日(金)DJ ATL
6月22日(土)Justin OH
6月28日(金)BLINK
6月29日(土)Mosimann
7月6日(土)Kim Lee
7月11日(木)CID
「SEL OCTAGON TOKYO」店舗概要
営業時間: 月曜日~水曜日 :バー営業(19~23時30分)
木曜日~土曜日/祝前日:クラブ営業(22~28時30分)
※営業日・営業時間は開催イベントによって変更になる可能性がございます。
収容人数: 700人
◆「SEL OCTAGON TOKYO」オフィシャルサイト
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