【速レポ】<京都大作戦2019>東京スカパラダイスオーケストラ、TOSHI-LOWや10-FEETを呼び込みながらも、ぶれないスカパラ節
続いての登場は、4月1日からデビュー30周年イヤーに突入した東京スカパラダイスオーケストラ。新曲「遊戯みたいにGO」をSEに、えんじ色のスーツ姿の9人が登場すると会場のボルテージが一気に跳ね上がって、谷中敦(B.Sax)の「楽しみにきたぞ!」という言葉から、「DOWN BEAT STOMP」がスタートした。
◆東京スカパラダイスオーケストラ画像
谷中、GAMO(T.Sax)、大森はじめ(Perc)はマイクを片手に声をあげ、あるいはダンスをしながらバンドと観客の熱を煽る。ステージのあちらこちらでお立ち台のようなものがあるのだが、ホーン隊やギターの加藤隆志はお立ち台に乗ってプレイしてみたり、アグレッシヴにステージを動き回ってダイナミックなプレイをしたりと、その迫力は凄まじい。立体的で、どの角度から見ても死角なし。かつ計算されたダンスのパフォーマンスかのように、きれいに全員のプレイする姿が大きく冴えて見え、そして細部にまで神経が行き届いていることも見てとれるステージングだ。
次の「野望なき野郎どもへ」では、ゲスト・ボーカルであるBRAHMANのTOSHI-LOWが登場。直前の凄まじいBRAHMANのステージとはまったくちがい、グレーのスーツを着たTOSHI-LOWがリズムをとりながら伊達な感じでステージに現れると会場は拍手喝采に包まれる。そして、パンキッシュな2ビートが加速するや、その歌は熱を発し、会場に興奮のうねりを産んでいった。パワフルで歌心があるメロディとボーカルが、まっすぐ刺さる曲だ。
毎回、ゲストに招く多彩なボーカルの個性を最高に引き立たせながらも、スカパラの曲だとしか言いようのない貫禄を放つ9人。それが30年というバンドの年輪ということなんだろう。コラボは毎回、互いへの深いリスペクトと音楽への愛情に溢れていて、それが印象深い普遍的な曲を生んでいるが、この「野望なき野郎どもへ」もまた然りだ。
また「でっかい声を聞かせてくれ」とスタートした「Paradise Has No Border」では、ホーンとギター、ベースなどのメンバーがステージ中央にぎゅっと寄せ集まって、音の壁でも作り上げていくようにその音を轟かせる。そして「今日はこの会場でどこかいちばん盛り上がってる?」と問いかけると、大きな歓声があがった方に向かい、ステージを右に左にと移動。そしてかっこよすぎるフォーメーションをビシッと決めてプレイするという、エンターテイナーぶりだ。そうやって会場の歓声を最高潮に引っ張り上げたところで、10-FEETの3人を呼び込むと、3人もまた「Paradise Has No Border」のキメ部分で、組体操の扇のポーズをするという、張り合いぶり。その後もプレイするメンバーの周りをヒゲダンスしながら練り歩いたりと、好き勝手に暴れていく。
曲が終わったところで谷中が改めて3人を紹介すると、「ありがとうな、ほんまありがとう、敦」と大先輩をつかまえて呼び捨てにするTAKUMA。今日はこんな調子でいくようで、谷中が「次の曲、TAKUMAだけ借りていい?」というと、KOUICHIが「おい、谷中!」とこちらは呼び捨て。そしてドラムの茂木のところに行って「欣ちゃん、一回どこうか」とドラムを陣取ると、「これ、左利き用やんけ!」とひとりボケツッコミをかまし、NAOKIは普段はあまり絡んだことのない川上に向かって「川上!……川上さん、ベース貸してもらっていいですか」とベースを借りるという茶番的なひとくだりがあったところで、みんなが待ってるあの曲いきましょうとプレイしたのは、10-FEETのアルバム『Fin』に収録された「HONE SKA feat.東京スカパラダイスオーケストラ」だ。続く曲「閃光」も10-FEETとのコラボ。プレイしているGAMOをNAOKIが背後から羽交い締めにするようにして抱えたり、大作戦ではすっかりおなじみの光景も繰り広げられ、3人は今回も大先輩のステージで、楽しそうに大暴れして去っていった。
「スカパラ、30周年になりました」と谷中が語る。この30年の間には10-FEETやTOSHI-LOWみたいな楽しい友だちもできたけれど、そればかりではいピンチもあったと、その長い時間での紆余曲折を語った。その中で彼らが集めてきた光を込めた「Glorious」は、どこまでも祝祭的なアンサンブルとなって会場に響きわたる。「最高だぜ、京都大作戦」と叫ぶそのステージの方から、熱波がくるのは気のせいか。そしてその勢いのまま、沖(Key)がアコーディオンを奏で、ロシア民謡「ペドラーズ」へ。激しいビートに、観客はステップを踏み、NARGO(Tp)はアグレッシヴなステージングで見せ、北原(Tb)はトロンボーンのスライドを大きく動かしながら、高いジャンプまで決める。ドラマー以外、ステージ最前列へと躍り出てプレイするその圧にほれぼれとするステージだった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN
【東京スカパラダイスオーケストラ セットリスト】
1.DOWN BEAT STOMP -new ver-2.野望なき野郎どもへ
3.Paradise Has No Border
4.HONE SKA
5.閃光 -short-
6.Glorious
7.ペドラーズ
■<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->
6月30日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月06日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月07日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
開場 9:30 / 開演 11:00 / 終演 20:00予定
この記事の関連情報
10-FEET、バンド史上屋内最大規模のライブ映像作品を12月発売決定。全31曲・約2時間半のライブ+ドキュメンタリー映像も
スカパラ、ニューアルバム『35』解説動画公開
スカパラ、デビュー35周年の締めくくりに横アリワンマン<DOWN BEAT ARENA PARTⅡ>開催
スカパラ、最新曲「教えてウロボロス feat.宮崎朝子 (SHISHAMO)」がドラマ『離婚弁護士 スパイダー』主題歌に決定
スカパラ、デビュー35周年記念アルバム『35』アートワーク解禁。収録内容詳細やCDショップ特典絵柄も解禁
【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2024>10-FEET、「ジャンルの壁や境界がない」
スカパラ、「散りゆく花のせいで feat.菅田将暉」ジャケ写&MVティザー公開
【ライブレポート】フェスの改革と変化。音楽フェス文化を次世代へつなぐ<フジロック>の現在地
【速レポ】<京都大作戦2024>10-FEET、今年も新たな伝説の1ページを加え閉幕「ほんまかっこよかったから、ライブもみんなも!」