【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>w.o.d.、ノイズを殺すノイズが一時も鳴り止まない
青く妖しいバックライトに照らされたステージに、腹を殴るようなベース音が響き渡る。そこに硬質なビートと刺々しいギターが折り重なった瞬間に、3ピースとは思えない轟音の壁が立ち上がっていく。ゆるりとステージに立つ自然体の佇まいが、一音ドンと合わせただけで豹変…その様に度肝を抜かれたかのように、ピット全体にピンと緊張感が走る。
◆w.o.d.画像
便宜上のジャンルだけで括ればラウドミュージック、パンク、ハードコアのバンドが多く登場するこのフェスの中では、異彩を放つオルタナティヴ/グランジサウンドだが、そのブチギレ感と毒々しさは、まさに“EVIL”の名に相応しいだろう。
残響の端々まで、徹底的に音の目つきが鋭い。さあこのまま突っ走れ…と思った刹那、なんと「スコール」を鳴らし終わった直後にスネアが壊れるトラブルが。ステージ全体がシーンと静まり返るが、そんなトラブルにもまったく動じない。というか、むしろその静けさすらw.o.d.の音の一部だと思えるほど、徹底的にノイジーであると同時にw.o.d.の音楽の真ん中には巨大な静寂がある。
たとえばサイトウタクヤ(Vo、G)が発する歌声は一見リラクシング、あるいは気怠さを醸し出すものだが、醒めた目で「めんどくせえ」と「くだらねえ」をブチまけながら突如ヴァーストしていく歌と音の砂嵐は、ノイズだらけの日々を殺して自分達だけの静けさを手に入れようともがいているようにも聴こえる。
たとえば疾走感溢れる「Wednesday」や「丸い真理を蹴り上げて、マリー。」でも輝いていたのは、攻撃性やアグレッションだけではない。走れば走るほど轟音が渦巻き、その奥に巨大なサイケデリアが生まれる。退屈や鬱屈に悲鳴を上げながらも、それをひたすら蹴り飛ばした先に“一瞬の夢”を求めるロマンこそがw.o.d.の心臓になっているものなのだろう。「みみなり」に煌めくメロディとしなやかなサウンドはまさにそういった光を感じさせるものだった。
アタマからケツまでMCもほぼなければ自己紹介もない。だが、むしろ「ノイズを殺すノイズが一時も鳴り止まない」ことこそがw.o.d.の音楽の本質なのだと突きつけるライヴ。1曲1曲の余韻に浸ることすら一切許さない緊張感に貫かれた、痛快なアクトだった。
取材・文◎矢島大地
撮影◎岸田哲平
【w.o.d.セットリスト】
2.Wednesday
3.丸い真理を蹴り上げて、マリー。
4.KELOID
5.みみなり
6.0
7.Fullface
8.lala
■<SATANIC CARNIVAL'19>
6月16日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
・物販開始 BOOTH AREA 開場 9:00
・LIVE AREA 開場 10:30 / 開演 12:00
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