【レポート】Hiroyuki Arakawa、『LENS』リリースツアー

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石野卓球や砂原良徳、ケンイシイといった国内のテクノスターだけでなく、シークレット・シネマやフランク・ムラーといった海外のビッグネームから支持を集めたHiroyuki Arakawaがリリースしたアルバム「LENS」。国内外全16箇所に及ぶリリースツアーの佳境ともいえる、彼のレーベルパーティ<SPECTRA LABEL SHOW>によるリリースパーティが2019年5月3日に渋谷CLUB ASIAにて開催された。

この日のラインナップはHiroyuki Arakawaを中心に、多くのレーベルアーティストで構成された内容だ。 SPETRAというレーベル内の、アカデミックに洗練したアーティストたちを固定することにより、レーベルが提供するクオリティをキープする……そんなレーベルコンセプトが完全に来場者の心をつかんだように思う。レーベル色が100%来場者に伝わった事実が、Hiroyuki Arakawaの特別なライブセットによって、色濃い盛り上がりをみせたことで裏付けられた。


メインフロアでプレイする初期メンバーであるHOWAKO、先日デビューアルバムを同レーベルからリリースしたばかりのChrumi、さらにラウンジのDJによって早い時間から会場の熱量が感じられた。見所となるHiroyuki Arakawaと本アルバムでコラボレーションしたShinya Miyachiとのライブセットの時間に向けて、期待感を高まる。ピークに向かう時間帯には200名に近い来場者で、会場となったCLUB ASIA全体が活気付いており、Hiroyuki Arakawaの登場と同時に、フロアから声が上がった。


『LENS』収録曲と最新の制作した楽曲を、アレンジを加えながらフロアの熱量を下げることなく盛り上げる。アルバムには収録されていない、ミニマルな展開をもったライブセットから始まり、シンセやリズムパターンのループで構成をつくり、ファンにとっては聞きなじみのあるアルバムを織り交ぜていく展開が、フロアをピークに向かって導いていった。


後半のライブでは今回のコラボレーション企画でもある、Shinya Miyachiが登場し、アルバムより「LENS」、「ELECTRIC GUITARIST」、「NORDCULTURE」を含めた楽曲を生演奏する、近年の日本のテクノイベントでは稀なアプローチで会場を盛り上げていった。Hiroyuki Arakawaは基本トラックを構築し、Shinya Miyachiがエレキバイオリン、エレキギター、MOOGシンセ、電子ピアノといった楽器を操り、二人のマリアージュはステージ上で圧倒的な存在感を放つ。来場者には、本アルバムの10曲目でコラボレーションのクレジットが書かれていただけのShinya Miyachiは、なじみのない存在ではあったものの、ライブ終了時にはSPECTRAやHiroyuki Arakawaファンの心を完全に掴んでいた。


その後、SPECTRAに加入したばかりで<S2O>の出演経験をもつMAREAM、SPECTRAに所属する一方で<06S>のドラムンベースアーティストでもあるNAlliがクローズまで会場の足を止めさせなかった。また、ラウンジのDJ陣も秀逸で、長く滞在できるようにSPECTRAの世界観を場の空気を読んだDJで最後まで退屈させない空間を作っていった。


また、Hiroyuki Arakawaのリリースツアーは5/31と6/1に釜山で2公演、また7月にはオーストラリアでのツアーで千秋楽を迎える。レーベルショーとしては、Chrumiのアルバムのリリースツアーを絡めた、6/29渋谷ICON LOUNGE、9/6渋谷ASIAを控えている。今を駆け抜ける、日本のテクノレーベルとして、可能性を十分に感じ取れた一晩だった。


Photo by 義亜
Movie by Masayoshi Fujieda

◆ SPECTRA オフィシャルサイト
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