【インタビュー】デビュー45周年の中村雅俊、「どう考えても頑張らなきゃいけない状況」
祝・デビュー45周年。役者と歌手の両輪をフル回転させ、昭和から平成、そして令和へと力強く歩みを進め続ける中村雅俊は今、7月6日(土)~31日(水)に明治座でおこなう記念公演に向けて着々と準備を進めている真っ最中だ。初の座長公演となるこの舞台は、第一部が鴻上尚史の演出による時代劇「勝小吉伝 ~ああ わが人生 最良の今日~」で、第二部が「yes! on the way」と題したライブ・ステージの二本立て。そして7月1日(月)には、55枚を数えるシングルA面曲を全て網羅した『yes! on the way』がリリースされる。
晴れ舞台を前に意気込む中村雅俊に、芝居のこと、歌のこと、これまでのシングル曲のことなど、様々なエピソードを語ってもらった。
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■「俺たちの旅」が売れたことで、ジョージ・ハリスンに会えたんですよ
── 45周年の明治座公演が、いよいよ2か月後に迫ってきました。いわゆる座長公演というのは初めてなんですね。
中村雅俊:そうですね。今いろいろと準備をしているんですけど、役者としてお芝居して、歌は歌でちゃんとやるという構成は、俺に向いてるなと思いますね。ホン(脚本)もできてるんですけど、面白いですよ。ちょっと荒唐無稽なところがあって、史実に忠実ではないかもしれないですけど、演出が鴻上尚史さんですからね。鴻上さんも初めての時代劇ですし、力が入ってると思いますよ。
── 芝居のほうは、「勝小吉伝 ~ああ わが人生 最良の今日~」。雅俊さんが演じる主人公は勝小吉。勝海舟のお父さんですか。
中村:子母澤寛さんという作家の『父子鷹(おやこだか)』という小説があって、映画や舞台でいろんな方がそれをやっているんですね。それは勝麟太郎(海舟)と勝小吉のお話で、北大路欣也さんが息子で、市川右太衛門さんがお父さんをやったり、当時の松本幸四郎さんと市川染五郎さんもやっていて、昔からの古典的なお話でね。今回はもうちょっとライトな感じですね。
── ずばり見どころはどこでしょう?
中村:ストーリーは言えないですけど、ここ(チラシを指して)にいる紫頭巾の謎の人物が…だとか、ひと騒動があったり、痛快な感じではありますね。
── 痛快娯楽時代劇。
中村:そうです。笑いもあるし、じっくりと構えて観てというよりは、割と気軽に観ていただけると思います。鴻上さんがそういう方ですからね。笑いを入れないと気が済まない方なので(笑)。
── 楽しみです。そして第二部は「yes! on the way」と題して、歌をたっぷりと。
中村:歌はできるだけ多く歌いたいので、かなり長いメドレーも考えています。それと今回はいっぱい楽器を演奏しようと思っていて、サックスを吹いたり、ピアノやギターを弾いたり。ライブは、毎年ツアーをやっているので慣れてる部分はありますし、その上で新しい何かを見せようと思ってますね。アレンジを変える曲も多いので、いつもとはまたちょっと違って聴こえるかもしれない。「ふれあい」も、ギターのイメージがありますけど、違う楽器を使ってみたりして、なかなかいい感じですよ。
── 先ほど「俺に向いてる」と言われましたけども、これだけ長い間、歌とお芝居を両輪にしてきたアーティストは本当に希少だと思います。
中村:まあ歌に関しては、あてにしてなかったんですけどね(笑)。だって、そうそう売れるもんじゃないじゃないですか。それが最初のデビュー曲(「ふれあい」)がいきなりミリオン・セラーで、オリコンで10週間1位になっちゃった。そしたらもう、それ以上ってなかなか望めないじゃないですか。
── ものすごいハードルの上がり方。
中村:実際にそれを超えた曲はないんだよね。「心の色」はオリコンで1位になってるけど、ミリオン・セラーまでは行ってない。「俺たちの旅」のほうが売れてるんですよ。「俺たちの旅」は2位止まりだったんだけど、あの時「およげ!たいやきくん」が初登場1位で、まあ凄かったから。でも、2位だったけど、「俺たちの旅」が売れたことで日本コロムビアからヨーロッパ旅行をプレゼントでいただいたんですよ。それがあったから、ビートルズのジョージ・ハリスンに会えたんですよ。
── その噂は耳にしたことがありますけど、本当なんですね。
中村:レコードがヒットしたっていうんで、8人ぐらいで行ったんですよ。パリに行って、それからロンドンに行って、ちょうどその頃、ジョージ・ハリスンがダーク・ホースというレコード会社の社長になって、そこと契約しているスプリンターというグループがいて、彼らが日本でレコードを出す時に、俺が作詞をしたんですよ。それが縁でスプリンターの連中と仲良くなって、ロンドンで彼らと逢ってメシ食ってたら、「マサトシ、これからボスに連絡するけど、ボスがOKと言ったら会う?」って。「ボスって…ジョージ・ハリスン?」「そうそう」って、そして電話から戻ってきて、「ボス、OK!」って。それで翌日、ロンドンから1時間ぐらいかけてジョージ・ハリスンの自宅へ行って、2時間くらいお話しさせてもらいました。そこで撮ったツーショット写真を、もう色褪せちゃったけど、未だに飾ってますね。
── 歌をやってて良かった。
中村:ね。今思うとコロムビアも、あの頃は太っ腹だったね。今はそうそう、ヨーロッパ旅行をプレゼントしないでしょ?
── スタッフが苦笑いしてますけれども(笑)。そういえば、45年間ずっと日本コロムビアなんですね。
中村:そうそう、ずっとコロムビアなんですよ、「ふれあい」から。もうベテランですよ、45年も同じレコード会社にいたら。ずいぶん長いことは間違いないですね。
── その、日本コロムビア45年間在籍の記録でもあるわけですね。今度出るCD4枚組の45周年シングル・ベスト『yes! on the way』は。
中村:そうそう。これ、俺まだサンプル盤をもらってないんですけど、一回頭から45年間の軌跡をじっくり聴いてみたいですよ。俺は俺なりのいろんな思い出とか、歴史を感じると思うので。
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