【特集 vol.4:対談】植田真梨恵×阿部真央、「迎合しないし、できない。そういう人、好きなんです」
■好きなものを100%の状態で出すことって
■幸せなこと、表現する者として──阿部
植田:阿部さんの曲は、メッセージ性が強い曲が多いので。私の曲は、“メッセージ性……?”って、インディーズ時代はずっと思い続けていました。
阿部:真梨恵ちゃんは音楽性が、私より全然高いんだと思う。音の作り方とかもそう。ドラムの乾いた音が好きだったりとか、ウェットな曲に振る時も、アレンジで“どウェット”なところまではいかないというか。メロディラインを聴いてても、セブンスとかマイナーとか、“そこでそう落ちていく?”みたいな、すごく面白いメロディを書くから。さっき自分で、「美しいJ-POPを書けてるとは思わない」と言ってたけど、私は逆に、“音楽好きがクセになるようなメロディラインを生み出すことに、ものすごく長けてる人なんだろうな”って勝手に思ってたんですよ。また分析癖が始まってるけど。
植田:嬉しいです。
▲植田真梨恵×阿部真央 画像ページ (※画像8点) |
植田:ぶっ(笑)。あー、言ってもらってしまった。
阿部:私もそう思う時があるので。つまんないなーみたいな。それはたぶん、歌が唄えるからなんだろうなと思います。歌が上手い人って、難しい曲を好きになるから。私も歌が好きだから、難しい曲を聴くとチャレンジしたくなるんです。“そういうところが出てきちゃうのかな?”って、勝手に思ってますけどね。
植田:そうですね。やっぱり私は、自分がヒット曲を生み出すのは難しいと思っているので、だとしたら、私自身が“何よりもこのメロディが絶対にいいのだ!”というメロディと歌詞で勝負するしか方法はないと思っていて。100%好きな状態でリリースしたいということは、強く思ってますね。
阿部:超幸せですよね。迎合しないし、できない。そういう人、好きなんです。でもやっぱり……ごめんなさい、私ばっかりしゃべってる。
植田:ううん。どうぞどうぞ。
▲阿部真央 画像ページへ (※画像7点) |
植田:はい、そう思います。さっきも少し話に出たんですけど、阿部真央さんの単独ライブを、この間初めて見させていただいたんです。神戸ワールド記念ホールのツアーファイナルを。その時に、こんなに人の気持ちとか、全ての状況とかを察しながら、ああいう大きな場所で、ちゃんと一人の女性として、対みんななんだけど、対一人という向き合い方をされていて。“友達のような距離感で、この人は歌を生業にして、私たちにパワーをくれている”というパワーの交換みたいなものをすごく感じて。それが阿部真央さん一人の力でその場に充満していたことが、すごく人柄の出たとても素敵なライブであって、それと同時に“わかるなー”という気持ちも強かったんですよね。おそれながら。すごくいい経験をさせていただいたから、今日対談でお話ができて本当に嬉しく思っているんです。
阿部:ありがとうございます。
▲植田真梨恵 画像ページへ (※画像7点) |
阿部:こういう大人っぽい歌、すごくいいなと思いました。歌声の良さが、より引き立つなと思って。私、4曲目がすごく好きなんですよ、「さなぎから蝶へ」。『F.A.R.』という作品を聴いて、“旅立つ女性”みたいな、“生ぬるいところから次の場所に行くんだ”みたいな。人としてというより、女性の成長という切り取り方にすごくシンパシーがあって、一昔前のすごく元気な感じもいいんだけど、私は今の真梨恵ちゃんに合ってて素敵だと思う。CMになってる「勿忘にくちづけ」(シングル曲/『W.A.H.』収録)は、その最たるものだと思うんですよね。大人にならないと歌えないし、歌ってもしっくりこない。こういう儚い感じというのは、私には絶対出せないものだから、そこがすごく好きなんですよね。さっきも言ったように、歌声がもう武器だから、特徴的な歌い方に加えて幅がぐっと広がったみたいな、私はリスナーとして、さらに魅力が増している感じがめっちゃしました。
植田:まさか今日、こんなに私の声や歌の話をしてもらえるとは思ってなかったです。
──すごいインタビュアー。
阿部:私が(笑)? でも、思いませんか? めっちゃいいなと思う。この引き出しは、植田真梨恵のもう一つの武器になるんだろうなって、勝手に思ってます。
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