【インタビュー】the shes gone、キラキラと輝くサウンドと柔らかい歌声で恋愛のときめきを綴るミニアルバム『DAYS』
■悩むのは苦しいけど悩まないことは一番良くない
■ちゃんと向き合って前に進めている証拠だよと言いたかった
――そもそもthe shes goneというのも、相当切ないバンド名ですよね。彼女は行ってしまった、ということでもあるし。
兼丸:僕が、初めてできた彼女に振られて、その時にback numberを聴いて、今までわからなかった歌の意味が初めてわかったんです。「青い春」が好きで、受験の時に聴いていたんですけど、それ以外の曲は正直よくわからなくて。それまで恋愛経験がなかったから。でも初めてそういう経験をした時に、“こういう気持ちのことを言ってたんだ”って初めて共感できた。その時に僕も、恋愛じゃなくてもいいけど、寄り添って支えてくれるような、“わかるよ”って言ってくれてるような曲が書きたいと思って、バンドで歌う内容はそういうものにしようと決めたのは、そこから来てる気がします。
――それすごく大切な話。結成前の話ですか。
兼丸:そのこと自体は全然前の、高校時代のことです。まだ曲作りはやっていなかったんですけど、数年経っても、この気持ちを忘れちゃいけないなというのが自分の中にずっとありました。
――わかる気がする。ものすごく個人的な話って、普遍性につながりますよね。
兼丸:そうですね。自分とは違うストーリーでも、すごく鮮明に描かれていれば、世界観が勝手にわかった気になるのが楽しいから。それを自分の生活に重ねて、こういうことなんだなって発見したりするんですよね。
――リード曲の「甘い記憶」は、字面だけみると完璧にハッピーなラブソングですよね。可愛い君にメロメロという感じ。
兼丸:一番だけ聴くと、ずっとハッピーですね。
――あまりにハッピーだから、もしかして全部空想だったら怖いなとか。
兼丸:夢オチかもしれない(笑)。
――まさかの(笑)。ちょっと「高嶺の花子さん」っぽい関係だし。
兼丸:まさに「高嶺の花子さん」に近いかもしれない。言うなれば、高嶺の花だった人に手が届いたという、そこからスタートしている歌なので。その、僕が初めて付き合った人は、僕にとってすごく高嶺の花だったんですよ。僕と付き合っていていいのかな?と思う人だったので。こういうことって、ある人はあると思うんですよね。でもずっとハッピーなことはないという、自分がこの主人公の立場になった時、そう思ったんです。理想の彼女と付き合えたけど、自分は本当に見合っているのか?って。そこまで書いてないですけど、服装だったり、お金だったり、毎回デートでおごれるわけでもないし、デート・プランを提案できるわけでもないし、なのになんで付き合ってくれてるんだろう?って、絶対思うだろうなと思ったら、バーッと書けました。
――めちゃリアル。「化物」も大事な曲で、バンドとして化けていくぞという決意に聴こえる。
兼丸:「化物」は、前のドラムが通っている大学の学園祭で歌ってほしいというオファーがあって書きました。僕が大学4年生の2月ぐらいに話をもらって、一番就職で悩んでる時期だったので、それしか頭になかったんですよ。だから不安要素や決意の気持ちが入っているんだと思います。“箱入りの根性を出す時が来た”とか、普段は根性出すことがあまりないので(笑)。細かい表現は個人的なことが多いですね。でも「化物」という曲は何に当てはめてもらっても良くて、恋愛の歌詞もそうですけど、理想とは違うことで悩んでしまっているから、途中で不安な要素が出てきてしまうということですね。でも最後に“それはちゃんと向き合えてる証拠だよ”と言えたから、肯定してあげられたと思います。
――自分に向けて言ってるから、他人にも伝わるんだと思う。
兼丸:自分が共感できることは、聴いてる人も共感してくれるんじゃないかと思うので。悩むのは苦しいけど、悩まないことは一番良くないし、それはちゃんと向き合って前に進めている証拠だよと言いたかったんです。最後の最後に“さぁ化けにいこうか”っていう言葉が出てきて、タイトルが「化物」になりました。
――恋歌と、自分を見つめる歌と。the shes goneの2大テーマですか。
兼丸:自分を見つめる歌は、書くのに時間がかかりますね。自問自答だから。ほかの曲は、たとえば「甘い記憶」の“君を包む何かになれたらなぁ”とか、ふわっとしたニュアンスなんですけど、自問自答系の曲は、光とか空とか、大きなものを出しがちになっちゃうんですよね。そこに逃げるのも嫌だったので、そういう言葉を入れずに書きたいなと思いました。光という言葉を使って歌っても、結局答えを出せていないと思ったので。
――誠実な曲。今の年齢だから書ける曲でもあるのかな。
兼丸:それはありますね。何も知らないからこそ書けている部分はあります。
――リアルな恋歌はthe shes goneの大きな武器として。こっちの歌詞も突き詰めてほしいと思います。
兼丸:いつまで葛藤してるんだよって思われるのも恥ずかしいですけど。こいつ何歳だよって(笑)。
――新たな旅立ちの季節、3月にはリリース・ツアーも決まりました。どんなものにしたいですか。
兼丸:アルバムと同じですけど、その人にとってそれぞれのDAYSになればいいなと思っています。それぞれに人にとって素敵な日になればいいし、いい意味で、素敵な日でなくてもいいと思っていて、全部引きずって見てもらっても全然いい。僕らの音楽は、その瞬間だけは現実を忘れさせてやるよというよりは、あなたのためにちゃんと歌いますという気持ちを届けるものだと思うので。初めてのツアーですし、ライブ経験が浅かったぶんいろんな発見もあると思うので、模索しながら成長できればと思います。
取材・文●宮本英夫
リリース情報
2019年1月23日(水)発売
UKCD-1180 1,800円(税別)
収録曲:
1.想いあい
2.甘い記憶
3. 化物
4.サプライズ
5.緑とレンガ
6.shower
7.最低だなんて
8.ラブストーリー
ライブ・イベント情報
※各公演ゲストバンドあり
2019/3/16(土) 愛知 名古屋 ell.SIZE
2019/3/17(日) 大阪 心斎橋 Pangea
2019/3/24(日) 東京 下北沢 SHELTER
●the shes gone「DAYS」発売記念インストアイベント
2019年2月3日(日)16:30スタート
開催場所:タワーレコード渋谷店4Fイベントスペース
イベント内容:アコースティックミニライブ&サイン会
2019年2月9日(土)18:30スタート
開催場所:ヴィレッジヴァンガード大阪アメリカ村店
イベント内容:アコースティックミニライブ&サイン会
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