【インタビュー】ハードコア・スーパースター「僕らは決して安全策は取らない」
スウェーデン出身のスリージーなバッドボーイズ・ロックンローラー、ハードコア・スーパースターが久しぶりに日本へ戻ってきた。
様々な紆余曲折を経てデビュー20周年を迎え、日本でも根強いファンを獲得してきたハードコア・スーパースターだが、3年ぶりのニューアルバム『You Can't Kill My Rock'N Roll』を引っさげ、10年ぶりの単独公演にて再びその勇姿を見せてくれた。
ソールドアウトとなった東京公演は、長年待っていた場内の熱量に応えるべく、動き続けるヨッケ(ベルグ / Vo)を中心に弾けるロックンロールを炸裂させた。シンプルで堅実な演奏陣と哀愁を帯びた独特の歌声は同系バンドの中でも相変わらず群を抜いて際立っている。ショウ中に解体されていくドラムセットの演出や、新旧織り交ぜた選曲で常にシンガロングさせ、オーディエンスをステージへ飛び入りさせアルコールを振る舞うなど、爆走ロックンロール・パーティーは躍動感と多幸感に包まれるものとなっていた。
東京公演のステージ前にヨッケ・ベルグ(Vo)とヴィック・ジーノ(G)の二人がインタビューに応じてくれた。
──7年ぶりの日本、単独公演では10年ぶりになりますね。
ヴィック:10年ぶり?そんなに経ったっけ?
ヨッケ:ヘッドライナーはそうだよね、前回はマイケル・モンローと一緒だったからね。本当に嬉しいよ。
──デビュー20周年になりますが、これまでの道のりはいかがでしたか?
ヨッケ:長い長い学習の道のりだったよ。良いことも悪いことも色々とたくさん学んで、それでバンドが成長できた。ヴィックも加入してもう11年だよ。コイツが入ってくれて本当に良かった。
ヴィック:僕にとってもこの11年はとても素晴らしい時間だった。アルバムも全てが順調に売れるわけではないし、ヨッケの言うように浮き沈みはあったけれど、どんな時期でもこのバンドにいて凄く楽しいし、ニューアルバムを作る毎に新しい経験もできている。ハードコア・スーパースターは、ニューアルバムを作る時にいつもみんな子供に戻るんだ。だから凄くエキサイティングでいられるんだよ、子供の心に戻れなくなってしまうと何かを失ってしまうんじゃないかな。
ヨッケ:コイツは18歳だからさ、簡単にそう思えるのさ(笑)。
──ヴィックが加入して、バンドはどう変わりましたか?
ヨッケ:ヴィックはエネルギーをたくさん持ち込んでくれた。単に若いということではなくて、特にライブで毎回思うのは、「コイツばかり目立たせてなるものか!」ってね(笑)。俺も負けられない、いつも戦争みたいさ(笑)。
──最新作『You Can't Kill My Rock'N Roll』は、新たな挑戦にも感じますし、ルーツ的な作品にも感じますね。
ヴィック:その通りだよ。とても素晴らしい考察で、同感だよ。ハードコア・スーパースターであることを忘れずに、そして新しい影響も常に恐れずに採り入れて進化させて行けるようにやっているんだ。僕らは決して安全策は取らない。やってやる!という気持ちでいつも臨んでいるよ。
──エンジニアが変わりましたが、ディーノ・メダンホジッチを起用した狙いは?
ヨッケ:ディーノはもともとヘヴィメタルやハードロック畑の人ではないんだ。ポップミュージックやハウスミュージックを手掛けてきた人で、彼なら今までとは違うサウンドにしてくれるんじゃないかと思った。もっとビッグなサウンドに期待してお願いしたんだ。新進気鋭のエンジニアで、実績を作っているところさ。
ヨッケ:彼はまだ27歳なんだよ。
──スウェーデンのザ・プードルズの作品も手掛けてますよね。
ヨッケ:そうだね。スマッシュ・イントウ・ピーシズのニューアルバムもそうだよ。
──洗練された音作りで、エアロスミスのようなグルーヴ感も感じました。
ヴィック:ワオ!凄く嬉しいよ。「My Sanctuary」とか「Hit Me Where it Hurts」とかもろにエアロスミスっぽいのがあるよね。エアロスミスはいつも好きで聴いているし、自然とそうなっちゃったよ。他にもクイーンやZZトップ、スウィートなんかの影響もきっと入っているよ。
ヨッケ:これは俺たちの人生のサウンドトラックなんだよ(笑)。
──今回新たな試みはありましたか?
ヴィック:ミックスの作業がこれまでと違うやり方だった。ツアー中にディーノがミックスして、それをツアー中の僕らがチェックし、話し合ってまた送り返すという繰り返しだから、バンドの全体のアグレッションやトーンが決まるまでしばらく時間がかかった。こういうやり方は初めてだったからチャレンジではあったね。ライブの後にスタジオミックスを確認する作業って、全く異なる音を聴いての作業だから大変なんだよ。
──今後の予定は?
ヨッケ:スウェーデンで2回ショウをやって、その次にはヴィックの故郷であるマルメとイエテボリもある。今年はそれで終わりかな、来年はいま色々とブッキング中だけど忙しい年になりそうさ。ずっとサポートしてくれた日本のファンのみんなには感謝だよ。もう21年近くになるね、本当にありがとう。
ヴィック:また日本に呼んでくれて本当に嬉しいよ。アルバムの反響も凄く大きくてとてもありがたいよ。
──また日本での活躍を楽しみにしています。
ヴィック:そう言えば、日本にはカミカゼっていう強いカクテルあるでしょ?あれは飲まない方がいいな(笑)。後悔しているよ(笑)。朝起きたら、工事現場に置いてある三角形のコーンが部屋にあったんだよ、。どうやってこれが部屋に来たのか全くわからないんだ(笑)。
──ヴィック自身で運んだのでは(笑)?
ヴィック:いや、僕はもう歩けなくて担いで帰ってもらったんだ。きっと僕が寂しいと思って誰かがそうしたんだな。そいつはナイスガイだ(笑)。全部カミカゼのせいだけどね(笑)。あれは注意だ、飲み過ぎないようにするよ、もう学んだよ。
取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:Takumi Nakajima
<HARDCORE SUPERSTAR ~ You Can't Kill My Rock'N Roll Japan Tour 2018 ~>
1.AD / HD
2.Electric Rider
3.We Don't Celebrate Sundays
4.Liberation
5.My Good Redemption
6.Bring The House Down
7.Wild Boys
8.Someone Special
9.Touch The Sky
10.Last Call for Alcohol
11.You Can't Kill My Rock'N Roll
Encore
12.Have Mercy on Me
13.Dreamin' In a Casket
14.Standin' on the Verge
15.Moonshine
16.Goodbye
17.Above the Law