【インタビュー】WOMCADOLE、激しさと抒情性を併せ持った独自のロック感に磨きをかけた2ndシングル「ライター」

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■「ノスタルジックアパート」はタバコの匂いや温度も表現できた
■一つ新しいところに行けたことを感じています


――「ライター」のカップリングはハードネスと翳りを融合させた「追想」と、せつないスロー・チューンの「ノスタルジックアパート」という2曲。

樋口:僕が書く曲はイメージしやすいと思うんですよ。イメージカラーでいうと、「追想」はドロドロした赤……それこそ血のように、ねっとりと熱い赤です。で、「ノスタルジックアパート」は、黄ばんだ壁みたいな色ですね。でも、今まで風景や情景は描けていたけど、匂いは表現できていなかったんです。「ノスタルジックアパート」は、聴くとタバコの匂いが香ってくるものになっているし、温度も表現できたというのがあって。夕方のちょっとひんやりした温度を書けたという意味で、また一つ新しいところに行けたことを感じています。

――「ノスタルジックアパート」は同棲がテーマになっていて、70年代フォークのオマージュのようでいながら、今の時代を感じさせるものになっていますね。というのは、70年代の人達はタバコをベランダで喫ったりしませんでしたから。この曲の“君の嫌いなタバコはベランダの隅で”という一説に、現在の同棲のリアルを感じました。

樋口:この曲は“ノスタルジック”という言葉がついているけど、昔の恋愛話ではなくて、現代を描きたかったんです。“ベランダで”という言葉は無意識だったけど、そういうところで時代性を感じてもらえるなら良かったですね。もう1曲の「追想」の歌詞は、言ってしまえば“愛してる”には二つあるんですよ。正真正銘のしっかりとした“好きだ”という感情と、口だけの嘘くさい愛と。「追想」はどちらかというと、嘘くさい“愛してる”を描きました。愛しているんじゃなくて、愛されたいだけという。この曲は自分自身の実体験がもとになっています。


▲「ライター」【初回限定盤】


▲「ライター」【通常盤】

古澤:「追想」は、樋口がイントロを持ってきたときは今の感じではなくて、どちらかというと現代のロックに寄っていたんですよ。楽曲は真っすぐな感じなのに、歌詞はねっとりしているという矛盾があったんですよね。それで、どこかに重さを入れたがっている節があったので、思いきって重たいフレーズを考えまして。それをメンバーに振ったところ、最初はみんな「どうなんやろう?」みたいな感じだったんですよ。それで、明日またスタジオに入ったときにどう感じるかで判断しようということにして、翌日音を合わせたらフィットした感覚があったので、活かすことにしました。あとは、僕はサビ裏はオクターブを弾くことが多いんですけど、今回は普通のメインコードとは違うコードを弾いたりして、より広がりを出すことを意識したアプローチになっています。

安田:「追想」のドラムは、大前提としてBPMが200なんです。テンポが速いから、もうメチャクチャ大変という(笑)。曲調的にも疾走感がありつつドロドロ、バチバチ、グシャグシャしているイメージがあったので、ここはもうどれだけ派手に手数を詰め込むかだなと思って。それで、要所要所にコンビネーションを入れたり、途中で一瞬ギター・リフだけになるところもチャイナ・シンバルの裏打ちで重みを出したりしました。音色的にも「ライター」「ノスタルジックアパート」よりもアタックを強くして、「ライター」とはまた違った疾走感を出すようにしました。そんなふうに、「追想」のドラムは、僕のメタル好きな部分が色濃く出ています。

黒野:この曲のベースはもう1ミリも考えなかったというか、パッとできました。“100パーセント俺”みたいなベースになっています。こういうふうに色気があって、ちょっと薄気味悪い感じはメッチャ好きなんですよ。根がヴィジュアル系なので(笑)。特に、ベースでチョーキングをしているところがあって、それがこの曲のドロッとした感じに合ったなと思いますね。

樋口:歌は、カップリングも「ライター」と一緒です。2曲とも満足するまで歌い倒しました(笑)。特に、「ノスタルジックアパート」の歌録りは印象に残っていますね。歌いながら、もう泣きそうでした、気持ち良すぎて。歌っているときに、ずっと鳥肌が立っていたんですよ。そういうときに録れた歌というのは、すごく良いんですよね。「ノスタルジックアパート」は一度ライブでやったんですけど、本当にヤバかった。この曲はライブも楽しみにしていてほしいです。

古澤:「ノスタルジックアパート」は、樋口が原曲を持ってきた時点ですごく素直なリフがあって、あとのギター・パートは頭から最後のギリギリくらいまで、ほぼほぼ僕が考えました。


▲黒野滉大

――サビ裏やギター・ソロはファズ?

古澤:ずっとファズです。ロシアン(・ビッグマフ)のゲインを下げて、サステインだけ若干上げたセッティングにしたので、ファズ感は薄いですよね。“トン”と弾くと、“トォーーーン”と伸びる音をイメージしていたんです。アナログシンセっぽい音というか。“ノスタルジック”という言葉がタイトルにあるので、ビンテージ感のあるカラッとしたリードギターを弾きたいという気持ちがあったし、僕はシューゲイザーも好きなんですよ。シューゲイザーのファズ感はガッツリしたファズと軽いファズの両方あるんですよね。で、「ノスタルジックアパート」には軽いファズ感が合うんじゃないかなと思って音作りをした結果、そういうセッティングになりました。

安田:「ノスタルジックアパート」は、バンド・インしてから後のAメロはボーカルとアルペジオ・ギターとドラムだけになります。そこでありきたりなビートを叩いたら全然面白くないと思って。この曲が持っている生活感を出したくて、バックビートはちゃんと2拍4拍にあるけど、それ以外にハットとタムとかを入れて“人が生活している感”を表現しました。他のパートはギターもファズで音を伸ばしたりしているので、バラードらしいドラムを叩いています。

黒野:この曲はメロディーがあるところは、ベースは何もしていないです。メロディーがないところだけ、効果的に動くということを意識しました。ただ、動かないといっても平坦に弾くのは違う。サビのルート弾きは少しハネ気味にして、人間味を出すようにしました。安田君のドラムと一緒にグルーブする感覚が、すごく気持ち良いんですよ。だから、決してベースが派手な曲ではないけど、「ノスタルジックアパート」は弾いていて楽しいです。


▲安田吉希

――12月から1月にかけて行う2マン・ツアーも楽しみです。

古澤:今度のツアーでは「ライター」と「追想」「ノスタルジックアパート」は必ず毎回やると思うんですよ。その結果、最後の大阪梅田CLUB QUATTROで、どういう曲になっているのかが楽しみです。3曲が育っていくのをフワッと受け止めるのではなく、しっかり感じながらツアーができるといいなと思っています。

安田:今回の2マン・ツアーは、自分達が間違いなくカッコいいと思ったバンドしか呼んでいないんですよ。それに、バンドごとに特徴があって、それぞれの武器を持ったバンドと各地でライブをするということで、同じライブは絶対に2回はないと思う。それぞれの土地や、一緒にライブをするバンドによって僕らの内容も変わってくるだろうから、そういう変化を楽しみたいですね。毎回空気感が違うライブになるし、古澤君も言ったように曲が育っていくというのあって。だから、それこそ来れる人には全部観てほしい。全通してもらっても飽きさせない自信はあります。

黒野:今までのツアーと違ってワンマンではないし、3~4バンドの対バンでもなくて全部2マンなので、1対1ですよね。爆発力がすごいことになると思うので、期待していてほしいです。それに、対バンのお客さんも含めて、今度のツアーで初めてWOMCADOLEを見る人がいっぱいいると思うんですよ。そういう人達を、ガッツリ掴んでやろうと思っています。

樋口:ツアーはマジでクソ楽しみです。「ライター」の歌詞に“大きな炎をあげれる戦場まで”という一説があるんですけど、自分達にとっての戦場はライブハウスで、そこでしっかり向き合って戦いたい。もう火花バチバチのヤツ。俺は、そういうのが好きなんですよ。“てめぇが起こした炎なんだから、てめぇで消すんじゃねぇぞ”と思っているし。自分がその場にいる全員の心に火を点けて、みんなが熱々に炎を燃やしている状態で戦いたいと思っています。

取材・文●村上孝之

WOMCADOLEは、カラオケの第一興商が強力プッシュする12月度D-PUSH!アーティストに決定しており、「ライター」は楽曲配信されており歌唱が可能だ。また「ライター」のミュージックビデオは、カラオケ背景映像に今だけクリップ(期間限定映像)として順次配信。さらに、カラオケ演奏の合間に放映される音楽情報コンテンツ「DAM CHANNEL」内のD-PUSH!コーナーにゲスト出演し、パーソナリティとのトークを楽しませてくれる。DAM express(目次本)D-PUSH!ページでは、ここでしか読むことのできないインタビュー記事とともにアーティスト写真、ジャケット写真が掲載される。そしてリリース情報、インタビュー記事が同社が運営するwebサイト「DAM CHANNEL」(http://www.clubdam.com)でも掲載される。カラオケ店やWEBで、WOMCADOLEとの出会いを楽しんでほしい。


リリース情報

「ライター」
初回限定盤(CD+DVD)UNCR-08~09 \2,200(税抜)
通常盤(CD)UNCR-12 \1,000(税抜)
【CD】
1.ノスタルジックアパート
2.追想
3.ライター
【DVD】
2018年1月28日大阪江坂MUSE
「瀧昇 二〇一八 三本目 同一平面爆発編」
1.人間なんです 
2.ドア
3.黒い街
4.夜明け前に
5.絶望を撃て
6.少年X
7.月
8.独白
9.馬鹿なくせして
10.アオキハルヘ
11.アルク
12.唄う
13.綺麗な空はある日突然に
14.ワンダー

ライブ・イベント情報

リリースツアー「己の炎を絶やすなツアー」
2019年
12/5(水)MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
ゲスト:ircle
12/14(金)北海道札幌COLONY
ゲスト:Mol-74
12/21(金)新潟CLUB RIVERST
ゲスト:KAKASHI
12/22(土)長野松本LIVEHOUSE ALECX
ゲスト:GOOD ON THE REEL

2019年
1/17(木)東京渋谷CLUB QUATTRO
ゲスト:tacica
1/18(金)愛知名古屋CLUB QUATTRO
ゲスト:Saucy Dog
1/31(木)大阪梅田CLUB QUATTRO
ゲスト:ハルカミライ

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