【ライブレポート】KNOCK OUT MONKEY、<BACK TO THE MIXTURE>東京公演で「カッコよく暴れろよ!」

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KNOCK OUT MONKEYが11月11日、渋谷WWW Xにて<KNOCK OUT MONKEY TOUR 2018-2019“BACK TO THE MIXTURE”>の8本目となる東京公演を開催した。ツアーの折り返し地点を過ぎて、ますます上昇気流を描き続ける彼らのステージをレポートしたい。

◆KNOCK OUT MONKEY 画像

9月19日に2ndミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』をリリースしたKNOCK OUT MONKEY。アルバムタイトルから彼らのルーツの一つになっている1990年代のミクスチャーロックに回帰した作品をイメージするリスナーもいるかと思うが、同作はそういうアルバムではない。様々なジャンルの要素を融合して新たな魅力を備えたロックを生み出すというミクスチャーロック本来の手法を活かして、KNOCK OUT MONKEYならではの音楽をつくるというスタンスを形にした作品である。つまり、彼らは過去を振り返るのではなく、未来を見据えているというわけだ。そんな姿勢が奏功して、『BACK TO THE MIXTURE』はオリジナリティーや説得力を備えた楽曲が並んだ好盤に仕上がっている。



最新作を完成させた現在のKNOCK OUT MONKEYは、10月6日から始まった全国ツアー<KNOCK OUT MONKEY TOUR 2018-2019“BACK TO THE MIXTURE”>の真っただ中にいる。彼らの新たな魅力を味わえると同時に、ライブ映えする楽曲が揃ったミニアルバムを引っ提げたツアーということで、各地で観応えのあるライブを行っていることは想像に難くない。11月11日に東京・渋谷WWW Xで行われた東京公演を体感して、それを確信できた。

男性客が多いライブ特有の“ウォーッ!”という熱い歓声が湧き起こる中、KNOCK OUT MONKEYのメンバーがステージに姿を現し、ライブはパワフルな「It’s going down, No doubt」からスタート。亜太とナオミチが生み出す肉感的なグルーブとdEnkAが奏でるソリッドなギター、そしてw-shunの力強い歌声が一体になった爆音は心地好さに溢れている。客席のボルテージも一気に高まり、オーディエンスが息を揃えてジャンプを繰り返すサビでは会場がグラグラ揺れるほどの熱い滑り出しとなった。





その後も勢いを保ったままキャッチーなメロディーとメタリックなギターを配した「Scream & Shout」や、高速ビートで疾走する「Our world」、ハイエナジーなミディアム・チューンの「For the future」などを相次いでプレイ。フィジカルなステージングを展開しながらプレイするメンバーの姿とハードなサウンドに応えて、客席ではモッシュやクラウドサーフ、サークルモッシュなどが絶え間なく起こる。オープニングからわずか数曲でライブ後半を思わせる盛り上がりを見せることに、圧倒されずにいられなかった。

w-shunの「カッコいいライブするから、カッコよく暴れてこいよ!」という挨拶を挟んだ後は、サンバテイストを活かした「旅人」や、ウォームな「実りある日々」、タイトルどおりの“航海感”を味わえる「Sailing day」などが演奏された。幅広い楽曲をライブでもしっかり聴かせる演奏力や表現力の高さはさすがだなと思いながら観ていると、「Sailing day」の途中からdEnkAがボーカルを取るスタイルで「Scream & Shout」を炸裂させた。w-shun とはテイストの異なるdEnkAのワイルドな歌声に客席からは大歓声があがり、歌い終えた彼に向って温かみに溢れた拍手が起こっていた。こんなふうに、“音楽で遊ぶこと”でオーディエンスを楽しませることも彼らの大きな魅力といえる。



ライブ中盤ではハード&キャッチーな「BREAK」や「FAKE」を聴かせた後、レゲエ感覚の歌中とメロディアスなサビを融合させた「Tears」を披露。いわゆる王道的なバラードとは異なるアプローチでいながら強く心に染みてくる辺りも実に見事で、オーディエンスは身体を揺らしながら彼らのエモーショナルな音世界に浸っている。ハードチューンに限らず、「Tears」のような曲でも一体感を見せる場内を見てKNOCK OUT MONKEYのライブはバンドとオーディエンスが一緒になって非日常の空間をつくり上げる好例であることを実感できた。

その後は、メンバー達の素顔に触れられる長いMCへ突入。ギターのチューニングをしているw-shunを照明さんがスポットライトでいじったことに対して、「俺ね、ずっと言いたかったことがあんねんけど、KNOCK OUT MONKEYの裏方は、俺らをリスペクトしてなさ過ぎ! ホンマな、いじりがハンパないし」というw-shunの言葉に、亜太が「あの……たぶんな、他の現場はギスギスしてんねん」と柔らかくフォローを入れるシーンから始まり、亜太がベースを持たずに喋っているのを見て、ナオミチがいきなり曲を始めるカウントを出して亜太を慌てさせたり、「今回のツアーは面白過ぎるからな、一回も打ち上げしてないねん。広島でしただけやんな?」と語るw-shunに「やってんじゃん!」というツッコミが客席から入ったりという和やかなやり取りに、場内は笑顔で溢れていた。カッコよく曲を聴かせるだけではないことも含めてKNOCK OUT MONKEYはライブを観ないと本当の魅力がわからないバンドだ。





パワフル&ソリッドな「Paint it Out!!!!」で幕を開けたライブ後半では、アグレッシブな歌中と明るいサビの対比が光る「sunshine」や、ラテンノリを活かしたハイテンションチューンの「Flight」、力強さと爽やかさを湛えた「JET」などが演奏された。激しさを押し出したライブでいながら、暴力的なアティチュードやネガティブな感情などを押し出したハードネスではなく、“アッパーの最上級”という感覚のテイストはKNOCK OUT MONKEYの大きな特色といえる。前向きな彼らのライブは爽快感に溢れているし、終始パワフルでも観ていて疲れることがない。オーディエンスがクラウドサーフやリフトからのダイブ、モッシュといった怒涛のリアクションを見せつつ場内がヒリヒリすることはなく、アッパーな空気感で盛り上がっていることが印象的だった。

バンドとオーディエンスが一つになったことを感じさせる中、KNOCK OUT MONKEYは「Black or White」をプレイ。“ここまでアクセル全開状態で突っ走ってきたと思ったのに、そこからさらに加速するのか”と思わせる形で「Black or White」を畳み掛け、場内は完全燃焼という言葉がふさわしい熱狂的な盛り上がりとなった。


『BACK TO THE MIXTURE』で新たな顔を提示して、その魅力をライブでも余すことなく見せつけたKNOCK OUT MONKEY。今回のライブは楽曲やメンバー達のプレイの上質さ、ホットなステージングなどに加えて、迷いのなさを随所で感じさせることが心に残った。その結果、現在のKNOCK OUT MONKEYのライブは、一点の曇りもない快晴を彷彿させるものになっている。“自分達なりのミクスチャー”という道を見つけたことで、今後の彼らはより強固かつ魅力的な存在になっていくに違いない。それを強く感じさせる、充実感に溢れたステージだった。

取材・文◎村上孝之
撮影◎村上龍介

■<KNOCK OUT MONEKY TOUR 2018-2019 “BACK TO THE MIXTURE”>

10月06日(土) 千葉 LOOK
10月07日(日) 愛知・名古屋 ElectricLadyLand
10月13日(土) 広島 SECOND CRUTCH
10月14日(日) 福岡 DRUM SON
10月27日(土) 京都 KYOTO MUSE
11月04日(日) 香川・高松 DIME
11月10日(土) 静岡・浜松 FORCE
11月11日(日) 東京・渋谷 WWW X
11月23日(金・祝) 宮城・石巻 BLUE RESISTANCE
11月25日(日) 北海道・札幌 BESSIE HALL
12月01日(土) 富山 SOULPOWER
12月02日(日) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
01月06日(日) 大阪 BIGCAT
※全公演ワンマン
▼チケット
¥3,500(税込 / オールスタンディング / ドリンク代別途)
一般発売:8/25(土)〜


■ミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』


2018年9月19日発売
¥1,800+税 / JBCZ-9081
01. Black or White
02. It’ s going down, No doubt
03. sunshine
04. Sailing day
05. Tears
06. FAKE
【Extra Live Track】
07. RIOT (Live)
08. One world (Live)
09. 旅人 (Live)
10. Greed (Live)
※収録全10曲

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