【インタビュー】劇場版ゴキゲン帝国 白幡いちほ、ガチで取締役会長になったアイドルの野望

ポスト
■FC会員はゴキ帝をプロモーションしてくれる社員的な存在

――取締役会長としての初仕事は、ゴキ帝の代表曲であり、Tシャツのデザインにもなっている“人の金で焼肉食べたい”の習字を書きに行くことだったんですよね。

白幡:「人の金で焼肉食べたいTシャツ」が、CDを含めて、私たちのグッズの中で一番売れているんですよ(笑)。ある程度は売れるとは思っていましたが、こんなにも売れるとは思っていなかったですね。

――<アイドル横丁>や<TIF>の会場でも、着ている人をよく見かけました。

白幡:目立ちますからね。ゴキ帝ファンじゃなくても、面白Tシャツとして着られますからね。今までは、習字ができるメンバーやスタッフに書いてもらったんですが、今後のことを考えたら、自分で書いた方がいいなと思って。それで福井に行って、墨絵アーティストの上田みゆきさんに監修していただいて書きました。この習字を使ったグッズは永遠に売ることができるなって思っています。今のところ、ゴキ帝は音楽をメインにしていますけど、Tシャツ屋さんもやっていこうかなってガチで思っていて、いろんなTシャツを売りたいんです。


――確かにアパレルと音楽は親和性がありますよね。

白幡:そうですね。ゴキ帝は衣食住のすべてに関わりたいと思っています。

――飲食店経営も考えているのですよね?

白幡:アイドルですと、コンカフェ(コンセプトカフェ)をやっている方はいますが、私はそういうセクシーな感じではない飲食店ができたらと思っています。それこそ、ファン同士の交流の場が作れたらいいなと。アイドルと食や酒は近しいものだと思っていて、ライブに行ったら、1ドリンクでお酒を飲むし、終わったら仲のいい人たち同士で飲みに行って感想を語り合っています。もちろん1人で楽しむ人もいますが、こういう文化っていいなって思っていますし、音楽って人をつなぐコミュニケーションツールだと考えています。そういうのが楽しめる飲食店をやりたいです。

――ファンに対する想いが深いですね。

白幡:私たちが純粋に夢に向かって頑張っている姿を見て元気になってもらえたらいいなとか、それこそファンの方たちが自由に楽しめるライブフロアになってくれたらいいなって思っています。主役は私たちではなく、お客さんというか。だから飲食店やテーマパークをやりたいんです。アイドル現場に来ている方たちって、非日常を楽しむために、日常を頑張っているところがあると思っているので。あと、ライブチケットやチェキの年間パスポートも作りたいです。

――音楽自体もサブスクサービスが普及してきているので、そのアイディアは時代にマッチしていますね。

白幡:私たちのライブに本当に毎回いらっしゃる方がいるんです。私、声帯の手術で休んでいた時期があるので、私よりも来ているんじゃないかっていうレベルで(笑)。そういう人たちに対してお得なサービスがあった方がいいなって思っています。それこそファンクラブ会員向けのブログには、身内向けのことを書いていて、会費以上のことを教えますし、私たちもファンの方たちの意見を聞いています。その分、私たちの宣伝を一生懸命手伝ってほしいなって。ファンクラブ会員は、ほぼゴキ帝の一部ですね。口コミや宣伝はファンの人たちの力が一番強いので、ファンクラブ会員の方たちはゴキ帝をプロモーションしてくれる社員的な存在ですね。実はファンクラブイベントで宣伝会議をするのですが、それにはメンバーは参加しないんです。ゴキ帝の活動に対して本気で意見を言いたい人たちの集まりですね。

――外部社員を増やしていくようなイメージですね。

白幡:はい。会社を立ち上げた時に、株が欲しいってけっこう言われたんですが、株は私が100%持ちたいんです。権力を失うのが怖いとかじゃなくて、何かあった時に楽曲の権利などを自分が持てなくなると不自由だなって思っていて。そこは動かさないけど、ファンクラブに入っていただけたら、宣伝会議にも参加していただけますし、未発表のこともガンガン伝えていきます。だから、ファンクラブ会費が株券みたいなものですね。

――ゴキ帝はファンの口コミが大きなプロモーションになっていますが、その一方、SNSの口コミはコントロールできないところがあるので、一概にメリットばかりではないのでは?

白幡:そうですね。メンバーが脱退した時などは大変です。こちらの状況をわかってくれるかなと思っていても、運営批判が始まることもあります。ゴキ帝は、メンバーがやりたいことをやれているし、レッスンもちゃんとあるし、ライブの規模も徐々に大きくなっていっているし、そんなにNGなこととかもないんです。だから、すごくいい環境だと思うんですけど、やっぱりプロデューサーがいて、その方にメンバーがいろいろやらされていると思ってしまうファンもいるので、メンバーが自ら脱退の道を選んだとしても、盲目的に運営が悪いと思われてしまうことがあります。そういう時はSNSがすごく荒れるし、その批判を見たライト層のファンの方たちが“ゴキ帝って、よくないんだ”って思ってしまうことがあります。私としては事実と違うのになって思いますが、口コミを活用している分、そういう面も考慮しなくてはいけないですね。

◆インタビュー(3)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報