【インタビュー】トリート「初期の頃にペースが戻った」

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2017年に27年ぶりとなる単独来日公演を果たしたトリートが、再来日を果たしてくれた。世界各所でのツアーも好評価を得ており、2018年にリリースされたニューアルバム『ツングースカ』は母国スウェーデンはもちろん、イギリスチャートでも高ランクをマークする好調ぶりを見せている。

◆トリート映像&画像

メロディアスなハードロックバンドの中でも特にライブバンドとしての評価が高いトリートだけに、今回のステージにも期待が膨らむファンで場内はオープニングから終始大合唱に包まれていた。職人気質の高い演奏陣がしっかりと織り成す数々の楽曲は、どれも叙情性とフックがあり、バラードでなくアップテンポなものほど感涙にむせぶ。CDよりもむしろライブでこそ各パートのバランスの良さが際立つ、重鎮といえる存在だ。

来日公演では途中ギタートラブルもあったものの、再結成後の曲を中心としたセットと、イントロを変えたバージョンで披露してくれた「Get You on the Run」や久しぶりにプレイされた「Party All Over」といった見所も満載で、彼らが醸し出す変わらぬアットホームな雰囲気も、心地よい空間を生み出していた。

以下は、東京公演前にロバート・アーンルンド(Vo)、アンダース・ヴィクストロム(G)、ポンタス・エグベリ(B)、パトリック・アッペルグレン(Key)、ジェイミー・ボーガー(Dr)のメンバー全員が同席してくれたインタビューである。



──過去最速1年での再来日となりましたね、今のお気持ちを。

全員:ファンタスティックだよ。

ポンタス:前回が楽しくて素晴らしかったから、早く戻って来たかったしね。

ジェイミー:次は半年後かもよ(笑)。

──アルバムリリースも、前作から2年というペースは一時期のトリートからすると凄い事ですよね。

アンダース:初期の頃にペースが戻ったって事だよね。初期は4年間で4枚出していて、今はライブアルバムを含めると2年間で3枚になるから、『ゴースト・オブ・グレイスランド』から戻ったね。

ポンタス:ライブのペースも上がってきたから、活動的に慣れているんだ。

──バンドがここまでアクティブでクリエイティブになれたのは、前回のツアーの手応えでしょうか?

ポンタス:それはあったと思う。もちろん、アルバムの売れ行きもあるよね。

ロバート:ライブの反響とともにプロモーターからの声がかかるようになったからね。


──ニューアルバム『ツングースカ』は、歴史的なツングースカ大爆発(1908年シベリア上空に落下した隕石による爆発)とのことですが、このタイトルの意味する事を教えて下さい。

アンダース:この史実というよりも、ビッグバンのような大きなエネルギーの爆発の比喩なんだ。響き的にもいかにもロックで、映画のタイトルにもなりうる感じでしょ?この響きに惹かれたんだよね。非常にパワフルな事が起こっているという意味で、それはこのアルバムのことなんだよ。

ポンタス:諸説ある事件で、科学者も解けなかった未解決事件じゃない?それを僕たちがアルバムで解いたわけさ。

ロバート:深いものがあるから、それは歌詞に散りばめられているよ。

パトリック:その為にはアルバムを買わないといけないということさ(笑)。

──それはバンドの完全復活の意味もありますか?

アンダース:そうだね。でもそれは『クーデ・グラー~最後の一撃~』『ゴースト・オブ・グレイスランド』と『ツングースカ』の3枚で完成したってことだよ。ここに来て復活が完成したということさ。このあたりから選曲したライブでこれからも充実させて行きたい。ただ、選曲するのも大変だけど。






──前作『ゴースト・オブ・グレイスランド』は、バンドのルーツ的な作品とのことですが、『ツングースカ』からは新しい面も感じられますね。

ポンタス:『ツングースカ』は2018年のトリートを表しているよ。もちろん以前からの伝統的なトリートもあるし、更に新しさも生まれた。ライブを頻繁にやるようになって、その成果も反映されたと思う。

アンダース:以前からのトリート要素は自然と滲み出たものだよね。2017年に制作を始めた時に、実はヨーロッパツアーの予定があったんだけど、あえてツアーを延期して制作に専念したんだ。その選択が凄く良かった。だからこのペースでアルバムが出せたし、ライブも充実している。バンドがとても良い形で活動できているよ。

──制作面で新しい試みはありましたか?

アンダース:プロデューサーもアルバムのアートワーク、ビデオスタッフまで全て同じメンバーのチームで特に変わってはいない。それが今後も続くかはわからないけど、今のチームはとても良いんだろうと思う。周りから作品のプロダクションについてはとても褒められているからね。


──コンセプトアルバムかと思いましたが、結果的には再結成後のアルバム3枚でひとつのコンセプトになったわけですね。

アンダース:大当たり、まさしくその通りだよ。僕らが好きで聴いてきたレッド・ツェッペリンやディープ・パープル、AC/DCとかは好きになったらアルバム1枚ではなくて丸ごと全部聴いてきたから、トリートもアルバム1枚ではなくてこの3枚丸ごとにしたくてね。たしかに『ツングースカ』がコンセプトアルバムじゃないかと思った人は多かったみたいだね。色々な感情があってひとつのストーリーにする事はできないんだ。それぞれの3枚だけど、結果的にはこの3枚でひとつのコンセプトになったのは間違いないよ。

──次はまた新しい挑戦になりますか?

パトリック:いつもチャレンジだよ(笑)。

アンダース:常にチャレンジの連続ではあるけど、次のアルバムは今回よりも大変になるとは思えない。今回の方がペースも早かったし大変ではあったかな。でも大変でいいと思う。そんな簡単に楽にできてしまったらバンドは成長しないよ。長年トリートをやっていて常にベストを尽くしているし、ライブは一瞬で終わるけどアルバムは残るものだからね。


──ロバートの歌声も一層若々しい印象でした。

ロバート:ありがとう。普通に生活しているけど、この歳になってもまだ声が出る。同年代のシンガーでは出なくなっている人もいるよね。特別なケアはしていないし、本当にラッキーに思うよ。

──今夜からのツアー、セトリにはサプライズはありますか?

アンダース:アルバムをリリースした翌日にドイツのハンブルグでフェスに出演したけど、本格的なツアーはここ日本からになるから、前回の来日公演のセットとはかなり違うよ。もちろん同じ曲もあるけど、曲順も違うしできるだけの曲を入れたいと思った。新曲はまた色々と入れ替える予定だよ。日本のライブではかなり久しぶりに披露する曲もあるから、そのあたりがサプライズになるかな。

ジェイミー:日本でどの曲が人気があるかは把握しているから、きっと喜んで貰える内容になっているよ。

──それは楽しみです。






アンダース:日本は住みたいくらい大好きさ。ファンもとても忠実で嬉しいよ、新しいファンがまた増えてくれるといいな。

ロバート:ライブを楽しんでね。僕らもベストを尽くすよ。

全員:日本のみんな、いつもありがとう。


取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:Yuki Kuroyanagi

<TREAT ~ TUNGUSUKA Japan Tour 2018 ~>

2018年10月4日
@Shibuya Club QUATTRO
1.Skies of Mongolia
2.Nonstop Madness
3.Best of Enemies
4.Ready for the Taking
5.Inferno
6.Ghost of Graceland
7.Riptide
8.We Own the Night
9.Papertiger
10.Party All Over
11.Rose of Jerico
12.Roar
13.Get You on the Run
14.Conspiracy
~Encore~
15.Progenitors
16.Build the Love
17.World of Promises
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