【インタビュー】MINT mate box、バンド感やライブ感に一層の磨きが掛かった3rd E.P.「ideal」
MINT mate boxが3rd E.P.「ideal」を完成させた。前作「beside」から約8ケ月を経てリリースされる同作はMINT mate boxならではの心地好さを継承しつつ、バンド感やライブ感がアップしていることがポイント。さらに、楽曲やアレンジ、メンバーそれぞれのプレイなどに一層の磨きが掛かっていることからも、彼らが確実なパワーアップを果たしたことが伝わってくる。バンドの状態がいいことを感じさせるMINT mate boxの3名をキャッチして、「ideal」について語ってもらった。
■今まではかわいいポップな曲というイメージがすごく強かったけど
■自分達はロックバンドだということを打ち出したいと思うようになった
――「ideal」を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?
やすだちひろ(以下、やすだ):今作は、制作を始めようと決めずにスタートしたんです。前作の「beside」は、リリース以降ライブを重ねていく中で、今の自分達にはどういう曲が必要だろうとか、どういう見せ方の曲を足していきたいだろう、ということを考えながら曲作りをしていたんですね。そうやって曲が増えていって、今のMINT mate boxを表現するのにピッタリな6曲ができたのでE.P.をリリースしようということになりました。なので、最初にこういう作品にしようという構想があって、それに沿って曲を作っていくという作り方ではなかったんです。
――たしかに「ideal」は、バンド感やライブ感がよりアップしていますね。では、曲が揃っていく中で、キーになった曲などはありましたか?
やすだ:一番ライブを想定して作ったのは「シャッター」だったと思います。今までのMINT mate boxは、”かわいい””ポップな曲”というイメージがすごく強かったけど、自分達はロックバンドだということを、打ち出したいなと思うようになって、それを形にしたのが「シャッター」です。
mahocato:「シャッター」は、最初のデモとは、最終的に全然違ったものになりました。この曲は今作の収録曲の中では一番長くやっていて、「beside」の制作時に既にデモがあったんです。その後私達がライブを重ねていく中で、もっとダイナミックにしたいとかそういった欲が出てきて。それに、その頃から音色の違いとかも徐々にわかるようになってきて(笑)。
やすだ:そうそう(笑)。
mahocato:そういうところを踏まえて試行錯誤の後、レコーディングして、一度ミックスまでしたのを、もう一回やり直したりしたんですよね。それくらい、この曲はこだわりました。
KJ:「シャッター」は今、話があったとおりライブをしていく中で、ああでもない、こうでもないとアレンジが行ったり来たりしていて。最初はギターも今とは全然違うリフを弾いたりしていたんですよ。それで何度かライブもしたけど、なにか違うなという話になって、今の形にしたんです。そんなふうに、「シャッター」は実戦を通してブラッシュアップしていって、その結果、今までのMINT mate boxにはなかったテイストの楽曲になりました。新しいということでいうと、僕の中では「3cm」も新鮮でした。この曲はギター・アプローチが新しいという印象があるんです。今までは「シャッター」や、前作の「ラブラブファイヤー」みたいにリフで押していくものが多かったけど、「3cm」は本当にミニマムなアレンジという感じで、その中でギターをどう活かすかというのがあって。それを、プロデュサーのヤマモト(ショウ)さんと何度も話し合いながら詰めていったんです。ギターがメインという感じではなくて楽曲に溶け込んでいるけど、出るところは出るという、いいところに落とし込めたかなと思います。
▲mahocato(Vo./Gt.)
やすだ:「3cm」はヤマモトさんとの普段の何気ない会話の中で、「髪の毛って何センチくらい切ったら、気づいてほしいの?」みたいな話になって、それが元になって作った曲です。なので、歌詞がすごくリアリティーがあって、いいなと思いますね。あと、3センチというのはすごく小さい単位ですけど、だからこそMVは壮大な雰囲気にしたいねという話になって。それに、「3cm」は、サウンド的には今作の6曲の中で一番バンド感やライブ感から離れている曲だと思うんですけど、私達は”バンドだ”ということを表現したMVにしたかったんです。なので、敢えて演奏シーンをフィーチュアしたMVにすることにして、今までで一番大きなステージで撮りました。想像していたよりも大きくて、屋根が開いて野外ステージになる会場だったんですけど、撮影当日に雨が降ってしまって開けられなかったんです(笑)。
KJ:そう(笑)。
mahocato:「閉めよう、閉めよう」っていって、早々に閉められた(笑)。
やすだ:なので、その分ドローンを飛ばして壮大な映像になるように撮影しました。今まで見たことのない角度から演奏シーンを見てもらえるMVになっているので、ぜひ観てほしいです。
mahocato:「3cm」は、単位でいうと小さいけれど、”3cm”を”3cm”と思わないで壮大な曲にしようということで、実は歌の音域が今までで一番広いんですよ。しかも、Bメロで高キーが出てくるという初めての体験でした。いつもはサビで一番高いキーを歌うことが多かったんですけど、この曲はBメロで、逆に、サビは低いところから入りトップのキーまで上がっていくという。、今まで出したことのないハイトーンだったので、サビをイメージどおりに歌うのに苦戦して、何度も歌って練習しましたね。結構難しかったんですけど、やり遂げることができて、すごく達成感がありました。私の中で特に印象が強い曲は、「カセットテープ」ですね。これまでは、メンバーとプロデューサーのヤマモトさんだけで制作にあたっていたんですけど、今回「カセットテープ」は、廣瀬成仁さん(フレンズ/nicoten)にアレンジをお願いしました。自分達だけでは考えつかないようなアレンジを提案いただいて、それに挑戦できたというところで印象が強いですね。
やすだ:廣瀬さんにはベースのフレーズもいろいろ相談しながら作っていきました。なので、今まで弾いたことのないフレーズをたくさん取り込めた曲になっているし、音作りも相談しながら詰めていったんです。「カセットテープ」は、ベーシストとして新しいことに挑戦できた曲ですね。
KJ:この曲のギターも今までの自分の中にはなかったアプローチというか。こういうストレートなロックサウンドのアレンジは、今まで自分が弾いてきたギターとは違うアレンジなんですよ。なので、最初に聴いた時は、「なるほど、そうくるか…」って思いましたね。なので、みんなと同じように、僕の中でも新鮮さがありました。
▲やすだちひろ(Ba.)
やすだ:私は1曲あげるとしたら、歌詞を書いた「君のことで悩みたい」です。MINT mate boxは本格的な活動を始めてから2年弱、いろいろな経験を通して、いちバンドとして見てもらえるようになったり、受け入れてもらえるようになったりして、MINT mate boxとしてのあり方がようやく整ってきたなと思うんですね。でも、結成してから今に至る間は、悩んだり、本当にこれでいいのかなって葛藤した時期があって。「君のことで悩みたい」の歌詞は、その頃の気持ちを書いた歌詞なんです。“君のことで悩みたい”の“君”はメンバーや周りの支えてくれる人達のことで、特定の誰かを指しているわけではなくて。悩むということはネガティブなイメージだと思うんですけど、自分にとって大切な人のことで悩むというのは、すごくポジティブなことだと思っていて。私は悩まなくていいことに、たくさん悩んだ時期があったんですよね。SNSでもらったコメントがすごく気になったり、ライブでお客さんの反応に気持ちが落ち込んだりとか。それを歌詞にしたいと思って、バンドを結成してから、今までの心境を書き出したんですね。そうしたら、ものすごくマイナスな言葉が並んでいて(笑)。私自身はマイナスな言葉が並んだ曲も嫌いじゃないんですけど、MINT mate boxで表現する音楽って考えたら、これは違うなと思って。それで、言葉を直しながら制作していって、今の歌詞が完成しました。なので実は、歌詞を書き直しながら自分の気持ちを整理した曲でもあるんですよね。この歌詞を書き終わって、よりクリアな心でMINT mate boxに没頭できるようになったんです。なので、「君のことで悩みたい」は、すごく思い入れがあります。
▲KJ(Gt.)
mahocato:歌詞を書いたよと言って渡されて、内容をよんだたときは、すごく感動したのを覚えています。ネガティブな感情ををポジティブに変換するというのは難しいことだと思うけど、彼女はうまく転換させていて。きっとこの“君”は私のことだなって思う箇所もあって(笑)。ちぃ(やすだ)がこんな風に思ってくれていたんだなって思ったらすごく嬉しくて。なので、私はその時の気持ちを、しっかり歌に込めたいと思ってレコーディングに挑みました。実際の自分たちのことを書いた歌詞だったからこそ、演じて歌う、というのではなく、等身大の自分として歌えたのですごく歌いやすかったです。
KJ:このバンドを始めてからしばらくの間は各々でもいろんな悩みがあって、それをメンバー三人で共有していたので、「君のことで悩みたい」の歌詞を見たときは当時のことがフラッシュバックしましたね。だから、他の曲以上に演奏に力が入ったというのはありますね。それに、出すタイミングを悩んだ曲でもあって。前作に入れようかという話もあったんですけど、今作にして良かったと思います。このタイミングだからこそ、より一層伝わるんじゃないかなと思ったので。
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