【インタビュー】DIR EN GREY、10thアルバム完成「今、行くべきところ」
■もっと感動させるアレンジにもできたけど
■そこまではいかない、いかせない
──ええ。DIR EN GREYの作品において、音楽的要素としては散見されていたとはいえ、ハードコアそのものが話題になることはあまりなかったですよね。図らずも薫くんの口からも「ハードコア」という言葉が出てきましたが、実はそこがこのアルバムの特色の一つにもなっている。
薫:一番ハードコアなのは、「Devote My Life」だと思うんですけど、要素で言えば、「Downfall」や「Celebrate Empty Howls」にもちょっとあると思うんですよ。前やったら、たとえば、「Different Sense」みたいに持っていきがちなのを、全部そっちのほうに落とし込んでる感覚ですよね。
▲Die(G) |
薫:うん。だからリフとかもちょっとダサめというか(笑)、そういうところは少し意識してる。普通にやっちゃうと、結構恥ずかしいかなぐらいのやつを、ちょっと散りばめるみたいな。
──そこが面白さですね。一触即発的な要素は特に前半に多いですが、一方では、7曲目の「赫」、10曲目の「Followers」、13曲目の「Ranunculus」などのように、音圧で攻めるのではない、一歩引いてグッと聴かせる曲が並んだ印象もあるんですよね。
薫:そうですね。ホントはもっとあったんですけど、その辺は散漫にならないようにしましたけどね。曲に関しても、たとえば、もうちょっとゴージャスにするとか、もっと感動させますよというアレンジにすることもできたんですけど、そこまではいかない、いかせない、みたいな。
──いや、充分に感動しますよ(笑)。
薫:だから、この形で感動させるってところにしてるんですよ。たとえば、「Ranunculus」はサビが終わったら、そこからもっと展開を作ってとか、やり方はいろいろあるわけですよ。そういうイメージじゃないんですよね。そういった意味で言うと、入っている曲もありますけど、ホントはギターソロも、極力弾きたくなかったんですね。普通にギターソロが入ってくると、あぁ、そうよね、みたいな感じにもなりがちじゃないですか。
──ただ、たとえば、「赫」のギターソロなどはかなり長いですし、これがなきゃ成り立たないと思わされますよ。
薫:尺が長いのはあっても、いっぱい入ってはいないじゃないですか。何かね、そこに自分のメロディ感が出てきちゃうんで、ちょっと面白くないんですよ。自分を飛び越えていかないんで。でも、最終的には違うメロディ感が出て、曲に広がりが感じられるようになって。そこはよかったかなと思ってます。「赫」のギターソロはDieが弾いてるんですけど、このバックで鳴ってるリズム感がすっごい難しいんですよ。そういうところも、聴いてみてもらえればと。
▲2018.08.24@東京国際フォーラム/Die(G) |
Toshiya:単純に歌ものって言われる部類に入る楽曲たちだと思うので、そこら辺は、歌の主旋を意識しながら考えはしましたが……ベーシストとしては、とっても楽しかったですけどね(笑)。歌もののベースって、好きなようにやれる部分も多かったりしますからね。歌えるベースっていうのかな。だからといって、ユニゾンが嫌いだとか、激しい曲が嫌いだということではないんですけど(笑)。
──そうですよね。何しろ「谿壑の欲」のようなフレーズもToshiyaくんの魅力かなと思いますから。
Toshiya:すごく好きですよね。歪み最高みたいな(笑)。これもホントに最後のほうに上がってきて採用した曲なんですけど、全体のパーツが見えそうで見えない、ギリギリのところで出てきた感じでしたね。ただ、当初は激しくなる部分とかは入っていない状態だったんですよ。もうちょっとアンビ的な雰囲気というか、浮遊する雰囲気が強かったかなぁ。
薫:最初は、前半の感じとちょっとヘヴィなリフがついてみたいなノリで、なかなかあと一歩、二歩、三歩、掴みきれへんなぁみたいな感じやったんですよ。だから、いろんなものを付け足したりとかやってたんです。でも……そこで付け足したいろんなパーツを、これは別に曲を作ってみようと、逆に取り出して作ったのが、「人間を被る」なんですよ。実は「人間を被る」の最初のアルペジオとか、あるリフのパターンは、もともとはこの曲についてたんです。だから、「人間を被る」になる部分を取り除いた状態で、改めて曲を見つめ直したんですね。そこで、どうせボツになるなら、1回グチャグチャにしてみるかと(笑)。そんな感じでやってみたんですけどね。
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