【ライブレポート】ましのみ夏ワンマン、溢れ出る才能と情報量「面白がってついてきてくれたら嬉しいな」
現役女子大生シンガーソングライター・ましのみが9月8日、東京・代官山UNITにて、メジャー1stシングル「どうせ夏ならバテてみない?」発売を記念してワンマンライブ<ぺっとぼとリテラシー ほとばしるバテで夏を締めくくりまショータイム Vol.2>を開催。今年の猛暑を、集まった約500人のファンと締めくくった。今回のレポートではワンマンライブの模様を通して、ましのみのライブの多面性、そのさまざまな魅力を大分析する。
◆ましのみ ライブ画像
紙芝居などの奇抜な演出はなし。その分、サポートメンバー2人をかっちり入れて、初めて生のビートとコラボしながら、楽曲のパフォーマンスで勝負を挑んだ今回のワンマン。ましのみは鍵盤を弾きながら歌うだけじゃなかった。生音でエレクトリックポップも歌えば、鍵盤の弾き語りだけで感動させるバラードもあって、アコギの弾き語りもやれば、ダンサー2人引き連れてバテバテになるまでダンスも踊ったりする。こんなことできる女性シンガー・ソングライターは、この人しかいないんじゃないだろうか。今回、ましのみに痛感させられたのは、そのアーティストとしての才能、その規格外れなポテンシャルの高さだ。ましのみから溢れ出る才能と情報量の多さに、頭のなかまでバテバテになった夜だった。
ライブ前からましのみのライブの仕込みは溢れ出していた。ライブの1週間ぐらい前から、曲の振り付けやノリ方をとにかく事細かに自ら解説しまくるという「ライブの楽しみ方」動画を、ツイッターを通してデイリーでアップしまくっていたましのみ。この彼女の“トゥーマッチ感”は当日、会場となったUNITでもいたるところで炸裂した。
まずは入口の階段を降りると、壁に貼られたお手製のうちわ&水玉などの装飾がファンをお出迎え。フロアに入ると、ましのみが「どうせ夏ならバテてみない?」で着用していたパジャマを身につけたマネキン(←これがじつにシュール!)がいて、ビーチパラソルの下で一緒に写真を撮れるブースまであった。フロアでは、開演前から彼女がツイッターでアップしていた「ライブの楽しみ方」動画をバンバン上映。映像のなかのましのみはルックスもかわいい。だが、とにかく早口で、ちょこまかとせわしなく動く仕草は、まるでげっ歯類の小動物のよう(←歯は出てないけど、雰囲気が)。
ステージを覆っていた幕が落ちると、あのパジャマを着たましのみと2人の女性ダンサーがいて、ライブは「どうせ夏ならバテてみない?」で幕開け。踊りながら歌うましのみは思いのほか軽快にビートをとらえていて、ダンスの本気度に驚かされる。次に「ハッピーエンドが見えません」が始まると、ましのみはまるでアイドルのような早着替えを早速ブチかます(笑)。こんなこともやっちゃうのかと思う隙もあたえることなく曲の後半、矢継ぎ早にやってくる転調に追い立てられる。歌ってるときはかわいい、曲もカラフルでポップ。アッパーな曲をスタンディングで鍵盤を弾きまくるましのみは凛々しくてめちゃくちゃカッコいいのだけれど、サウンドはピコピコがあちこちに仕組まれていて……。もうこの序盤だけでアバンギャルド満載すぎて、ましのみっていったい何者? とその情報量の多さに頭のなかが半バテ状態になる。
だが、「こんなにも緊張するかっていうぐらい緊張したわ〜」とテンション高そうな声で挨拶を届けたましのみは、そんなことおかまいなしに「新曲だから自由に楽しんで」といって「ラッシュガード」を披露。ダンサーが大きなうちわをふるなか、ステージバックの画面には夏のアイテムが次々と映し出される。ましのみは、この日初挑戦となったサポートメンバーが繰り出す生の4つ打ちビートに合わせて小気味よく歌い、場内を常夏気分へ。
“せーの“といってペンギンポーズから始まった「名のないペンギン空を飛べ」では、鍵盤を離れて、ましのみはハンドマイクでフロントへと飛びだす! オーディエンスとコンタクトを交わすと、場内の温度はさらに上昇。アクティブにステージを動き出したと思ったら、次の「Q.E.D.」は弾き語りから始まり、緩急をつけたテンポ、歌詞の変化で溢れる気持ちを演奏と歌だけでエモーショナルに表現していった。
「あ〜楽しい!」といったあと、ましのみが「右手にタオル!」と叫んで始まったのは「四角2の文章題」。ここでは曲に合わせてクラップ、合いの手、タオルまわし、ジャンプとオーディエンスは大忙し。続けてキラーチューン「プチョヘンザしちゃだめ」を投入すると、ましのみラップにあわせてダンサーと観客みんなが振りマネをしてフロアは熱い一体感に包まれる。曲が終わると、自然と場内には拍手がわきおこった。そんなライブならではの一体感もましのみは作れちゃうのだ。
場内の照明が暗くなり、ここでやっと一息入れていると、蝉の声が聞こえてきた。「はぁ、ちょっと疲れた。部屋のなかで休もう」とましのみが囁く。照明がじょじょに明るくなると、ましのみがフロントで椅子に座り、未発表曲「お日様さまさまサマー」をアコギの弾き語りで歌い出した。「ギターも弾くんだ!」とその姿に客席から驚きの声があがる。
ここからは、こじらせ女子の陰キャラにはたまらない女ゴコロを歌ったバラードを3連発。ここはまるですっぴんのましのみを観ているようなパフォーマンスだった。バックに花火が上がるなか「どこから見ても綺麗。花火も、君も」と語りかけて突入した「コレクションof コネクション」からは鍵盤の弾き語りへ。夏の夜の花火大会、物語のなかの女の子の切ない気持ちが歌から溢れ出す。「リスクマネジメント失敗」では、その女の子が自分に喝を入れ、もうやめようと決意しながらもまた彼へと揺れる気持ちを転調、変拍子を織り交ぜたエッジーな曲にのせて、せつせつと歌いあげる。アッパーのカラフルなピコピコポップがあるからこそ、シンプルな弾き語りで届けられたバラード3連発は歌とピアノが際立ち、この日の名演となった。
こちらもましのみのたまらない魅力だなと、大感動にひたっていると、それを遮るかのように「自分の歌でしっとりしすぎちゃった」とおどけて、ダンサーとともに「【サポートされていない恋愛形式です】」から後半戦へ突入。ほんとうにせっかちな人だ(微笑)。この曲でグー、チョキをみんなでつき上げ、体をほぐした後は「海水掛け合いっこ」。メロと歌詞、アレンジが三位一体となったポップチューンが“絶対”のところでスパークするところは爽快! そうして「エゴサーチで幸あれエブリディ」では、曲中の“わたしの名前は”“ましのみっ!”のコール&レスポンスでフロアは大盛り上がり。最後は「私はこの先どうするかを決めることで可能性を狭めたくないので、そのときいいと思ったものを突き詰めてみなさんに届けていくので、これからもましのみを面白がってついてきてくれたら嬉しいな」とファンに伝えて、未発表曲バラード「ホタルの降る夜に」でライブを締めくくった。
アンコールに呼ばれ、登場したましのみは12月15日に東京・Shibuya duo MUSIC EXCHANGEにて企画色の強いワンマンライブ<MashinomiX Vol.1> を開催することをサプライズ発表。そうして、この日は未発表曲「フリーズドライplease」に続いて人気曲「ストイックにデトックス」のパフォーマンスでライブを終える予定だったのだが、その後もフロアから熱いアンコールがあがり、ダブルアンコールとして、夏の終わり、感傷的な気分になるようなバラード「それ以外」を鍵盤の弾き語りでプレゼント。「私も、みんなの“それ”であり続けたいです」とちょっぴり感動的な言葉を残して、ましのみはステージを後にした。
次のワンマンは冬。ウインターシーズンはどんなましのみでバテバテにしてくれるのか(微笑)。いまから楽しみで仕方ない。
取材・文◎東條祥恵
写真:木村智軌
■セットリスト<ぺっとぼとリテラシー ほとばしるバテで夏を締めくくりまショータイム Vol.2>
M-1 どうせ夏ならバテてみない? (1stSG「どうせ夏ならバテてみない」)
M-2 ハッピーエンドが見えません (インディーズ2ndAL 収録)
M-3 ラッシュガード (未収録楽曲)
M-4 名のないペンギン空を飛べ (1stAL「ぺっとぼとリテラシー」収録)
M-5 Q.E.D. (インディーズ2ndAL 収録)
M-6 四角2の文章題 (インディーズ2ndAL収録)
M-7 プチョヘンザしちゃだめ (1stAL「ぺっとぼとリテラシー」収録)
M-8 お日様さまさまサマー (未発表曲)
M-9 コレクションof コネクション (1stSG「どうせ夏ならバテてみない」 C/W)
M-10 リスクマネジメント失敗 (1stAL「ぺっとぼとリテラシー」収録)
M-11 【サポートされていない恋愛形式です】 (インディーズ2ndAL 収録)
M-12 海水掛け合いっこ (1stSG「どうせ夏ならバテてみない」 C/W)
M-13 エゴサーチで幸あれエブリディ (1stAL「ぺっとぼとリテラシー」収録)
M-14 ホタルの降る夜に (未発表曲)
EN-1 フリーズドライplease (未発表曲)
EN-2 ストイックにデトックス (1stAL「ぺっとぼとリテラシー」収録)
WEN-1 それ以外 (インディーズ2ndAL 収録)
<MashinomiX Vol.1>
【開場/開演】 16:00/17:00
【チケット料金】前売り¥3,500(税込:D別)
*学生は500円キャッシュバック
【チケット情報】
メールマガジン先行開始:http://emtg.jp/feature/mashinomi_duo1215_mail/
受付期間:9/24(月祝)23:59まで
この記事の関連情報
ましのみ、パンのみみとコラボした企画第2弾のリリースが決定
もしも、真空ホロウが女性SSWをプロデュースしたら
【インタビュー】“新生”ましのみ大捜査。ニューALで「面白いけど心地いい」の境地へ
ましのみ、賀来賢人&山本舞香のもとへ陣中見舞い「神々しくて素敵なお二人」
ましのみ、新たに東阪ワンマン決定。ドラマOP主題歌「7」も先行配信へ
ましのみ、音楽性の幅を広げたミニAL『つらなってODORIVA』ジャケット公開
ましのみ、賀来賢人主演ドラマ『死にたい夜にかぎって』主題歌に。ミニAL発売も決定
ましのみ、新型ショルキーでステージを自在に駆け回る。<OKIGARU>盛況
ましのみ、本人巡回もアリの「エスパーとスケルトン」拡散キャンペーン開催