【インタビュー】Xmas Eileen、4作連続リリースの第3弾を放つスタイリッシュ&アッパーでミステリアスな集団

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スタイリッシュ&アッパーな音楽性とライブではメンバー全員がマスクを被ったミステリアスなヴィジュアルのマッチングが生む独自の世界観が多くのリスナーを魅了しているXmas Eileen。2018年に入ってから4作連続配信というリリース形態の第3弾「Wake up My friend」が8月8日に発表された。楽曲クオリティーの高さに加えて、ここにきてライブバンドとしての評価もさらに高まっていることを受けて、BARKSはXmas Eileenのリーダーを務めるVocal-Rのインタビューを行うことにした。取材当日は予定外だったCho/Performanceも加わって、和やかな空気の中でのインタビューとなった。

■テンプレートに則って音楽を創るのは簡単だけど
■僕はそういうことには魅力を感じない


――まずはバンド・プロフィールから聞かせてもらえますか。

Vocal-R:Xmas Eileenを結成した経緯をめちゃくちゃ簡単に話すと、もともとは昔からの先輩、後輩、友達といった顔ぶれのグループができていたんです。その中でバンドをやったり、ヒップホップのユニットをやったりしていたんですけど、全部僕がリーダーだったんですよ。僕がリーダーのバンド、僕がリーダーのラップ・ユニットみたいな感じで。それが全部同時期に解散してしまって、残ったヤツらでまた新しいことをやりたいと思って。そのときに、今まで自分がやってきたことを合体させてみようと思ってXmas Eileenを結成しました。ただ、その時点で音楽性が明確に見えていたわけではなくて。それまでやっていたバンドが結構ヘヴィだったので、サウンドはその延長線上になるしかないだろう、ラッパーもいるからヒップホップの要素も取り入れるしかないだろう…みたいなところから入っていきました。

――それは少し意外です。Xmas Eileenは楽曲のクオリティーが高いので、初めから明確なヴィジョンがあって、それに沿ってプロデュースする形で音楽性を創っていったかなと思っていたんです。

Vocal-R:僕がバンドをプロデュースしていることは間違いないですけど、このバンドで一番初めに決めたことはバンド名だったんです(笑)。みんなでテーブルを囲んで、さぁどうしようかという話をしたんですけど、本当に何も決まっていないから、とりあえずバンド名だけ決めようということになって。で、その場で思いついた名前を紙に書いて、それをみんなに見せたら「それ、めっちゃオシャレですね!」となって。じゃあ、このバンド名でどういう音楽をやるかという話になったけど、「俺、知らんわ」といって突き放す…みたいな(笑)。

――(笑)。ということは、音楽性は徐々に確立されていったんですね。では、メンバー全員がマスクを被ったミステリアスなヴィジュアルというアイディアは、どんなふうに出てきたのでしょう?

Vocal-R:うちのメンバーは結構派手なお兄さんも多くて、別にマスクなしでも全然よかったんですよ。ただ、それまでの経歴とかもあったので、そういうものを一度消すというか、フラットな目でバンドを見てほしいなと思ったんです。本当に、それだけなんですよ。だから、すごく神経質に素性や顔を隠しているというわけではない。だって、このバンドを組んでから何回目かのライブで、マスクがなかったことがあるよな?

Cho/Performance:うん。マスクを持ってくる係が忘れたんです(笑)。

Vocal-R:それで、ドン・キホーテにいって強盗マスクをみんなで買ってきて、それを被ってライブをしました(笑)。

Cho/Performance:でも、強盗マスクは三つしかなかったから、残りのメンバーはバンダナで顔を半分隠す…みたいな(笑)。

Vocal-R:そうだった(笑)。強盗マスクを被っているわ、バンダナ付けてるわ、もうなんのジャンルかわからんかった(笑)。

――そんなこともあったんですね(笑)。素顔を隠す手法はいくつかありますが、仮面舞踏会を思わせるシャレたマスクというのは魅力的です。

Vocal-R:素顔を隠すにしても、やり過ぎると後で収集がつかなくなるような気がしたんですよ。凝り過ぎると世界観をどんどんデフォルメしていかないと気が済まなくなって、とっ散らかってしまったり、修復できなくなるんじゃないかなと。だから、適度な感じでいきたかったんです。活動を重ねてきて、その選択は間違っていなかったなと思いますね。


――では、新音源「Wake up My friend」の話をしましょう。本作の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

Vocal-R:Xmas Eileenは2018年の春から4作連続リリースというのをやっていて、今回の「Wake up My friend」はその第3弾です。今の僕らはライブがすごく多いんですけど、今年は自分たちのツアーはやっていないんですよ。ワンマンもほとんどやっていなくて、ほぼほぼフェスとかの30分前後のライブという状態になっている。だから、その短い時間でケリをつけられる楽曲を揃えていきたいというのがあって。それも、3年前の曲とかを持ってくるんじゃなくて、最新のもので勝負したいなと思って。なので、「Wake up My friend」の制作に入る前は、初見の人でも一気に身体が動くようなサウンドの曲を作りたいと思っていました。

――「Wake up My friend」はパワフルなバンド・サウンドに適度なEDMテイストをプラスしたアレンジや21世紀の音楽にふさわしいスピード感、洋楽っぽいキャッチーさを活かしたサビ・パートなどが相まって、独自の魅力を放っています。

Vocal-R:ありがとうございます。当初の狙いどおり、そういうものになりました。

――「Wake up My friend」に限らず、Xmas Eileenは1曲の中にいろいろな要素を採り入れていますが、そういうアイディアはバンドでセッションしながら入れていくのでしょうか?

Vocal-R:いや、うちのバンドは曲を作るときにスタジオで音を合わせることは絶対にしないです。曲作りに関しては、この人(Cho/Performance)とか、ほぼ何もしていないですね(笑)。

Cho/Performance:はい、ありがとうございます(笑)。

Vocal-R:ハハハッ! この人のポジショニングは“パフォーマー”ですけど、“僕の友達”に変えてもいいんじゃないかという(笑)。そういうメンバーもいつつ、Xmas Eileenのチームには昔からの付き合いコンポーザーが二人いて、僕とその二人で作っています。作り方に決まりはなくて、いろいろですね。メロディーから入ったり、ギター・リフから入ったり、リズムから入ったりという感じです。コンポーザーが緻密なデモを作って、それをメンバーで形にする。もちろんそれぞれの色は入れるけど、デモから大きく変わるということはないですね。「Wake up My friend」も原曲の段階で、ほぼ今の形でした。

――作曲能力の高さと、それに応えるメンバー皆さんのスキルの高さを感じます。

Vocal-R:たしかに、うちはいいメンバーが揃っていると思いますね。いろんなジャンルの要素を採り入れていることに関しては、うちのバンド陣はメタルが好きなヤツとかもいて、前はそういう音楽をやっていたけど、じゃあ今自分たちがメタルをやってパンテラとかメタリカに勝てるかといったら、それは無理だと思うんですよ。そうじゃなくて、僕はああいう人たちから受けた影響の中に自分たちらしさを入れた音楽をやりたいんです。メタル・アーティストをリスペクトしているけど、すべてを真似する必要はないなと。自分たちは日本という国で生まれ育ったし、この国の音楽にも素晴らしいものはたくさんあるから、そういう要素も活かしたいなという気持ちがある。そもそもね、Cho/Performanceがヒップホップとか洋楽を聴いているのを見たことがないですから(笑)。

Cho/Performance:……聴かない。洋楽は聴かないですね。J-POPが好きなので。

Vocal-R:そういう人がいるわけだから、洋楽っぽさを全面に押し出した音楽をやるのは違うと思うんですよ。それで、いろいろな要素を活かすようになりました。

――そういうアプローチを採ると、いわゆるミクスチャーのようになってしまうことが多い気がしますが、Xmas Eileenは違っていますね。

Vocal-R:そこには、なりたくないなという気持ちがあるんです。それは、ミクスチャーをバカにしているわけではなくて、すでにあるものの焼き直しをするのは違うと思うから。テンプレートに則って音楽を創るのは簡単だし、ある意味安全パイともいえるけど、僕はそういうことには魅力を感じない。このバンドでは自分たちなりのスタイルみたいなものを確立したいなと思っています。

――それを、実践されていますね。

Vocal-R:どうなんでしょうね。今になって、シティポップみたいな音楽をやっていればよかったなという話も出たりするんですよ(笑)。


――シティポップ、いいじゃないですか。そういう系統も似合う気がします。

Vocal-R:実際、シティポップをやろうと思えばできるメンバーが揃っているんですよ。でも、自分たちが集まってやった音楽としては、今やっていることが正解だったと思っています。あまり音楽性の幅を広げてしまうと、バンドの本質が見えにくくなってしまうというのもあるし。

Cho/Performance:シティポップみたいな曲をされたら、ホンマに僕のやることがなくなってしまうし(笑)。

Vocal-R:だよな(笑)。っていうか、ちょっと待ってくださいね。(Cho/Performanceに向かって)、なんでお前インタビューに答えてるん? 黙って横にいるだけにしますからといって付いてきたのに(笑)。

Cho/Performance:いや、いい機会だから存在感を出しておこうと思って(笑)。

――せっかくですので、Cho/Performanceさんも参加してください(笑)。話を「Wake up My friend」に戻しますが、歌詞は“自分らしく生きろ”というリスナーに向けたメッセージになっています。

Vocal-R:この曲は、最初は“Wake up People”と歌っていたんです。でも、僕の中で“People”は違うなと感じて、“friend”に変えました。こういう激しい曲調で「Wake up My friend」というタイトルのほうがエモーショナルになるなと思ったんです。“friend”のほうがリスナーとの距離も近くなるし。この曲を作るにあたってタイトルを変えたというエピソードは、自分の中に強く残っていますね。

――歌詞は全編Vocal-Rさんが書かれたのでしょうか?

Vocal-R:書きました。僕とVocal-LとCho/Performanceの三人で歌詞を書いているという体にはしていますけど、今となっては僕以外の二人は何もしないです(笑)。

Cho/Performance:僕は、たまに英語の綴りをネットで調べるくらいです(笑)。

Vocal-R:そう(笑)。僕が歌詞を書いていて、「この単語の綴り合ってる?」と聞いたり「こういう意味で、この言葉と韻を踏んでる言葉なにかない?」とか聞くと、Cho/Performanceがネットで調べるんですよ。助かるけど、お前らも歌詞書けよ!…という(笑)。

――Vocal-Rさん……いろいろ背負われているんですね(笑)。それに、ホットなラップとエモーショナルなメロディー・パートのコントラストを活かしたツイン・ボーカルも聴きどころです。

Vocal-R:歌うパートの振り分けも全部僕が決めています。振り分け方の法則みたいなものは特になくて、そのときの勘やバランスで決めますね。変にバランス良くし過ぎても気持ち悪いときがあるんですよ。キッチリ半々とかにすると。だから、振り分け方がかなり変則的になっても、それで収まりがいいと感じればそのままいきます。

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