【インタビュー】<SANCTUARY 2018>、DJ Dragonが語る去年、そして今年
7月8日(日)、お台場で行われる<SANCTUARY>は、日本人DJたちによる日本人のためのダンスミュージックフェスである。昨年BARKSでもレポートした通り、とにかく子供だらけという異例のフェスでもあり、ジャンルは、ずばりダンスミュージック=テクノもトランスもヒップホップもR&BもJポップも(今回はなんとレゲエも!)ありな、言葉通りのオールジャンルなイベントだ。昨年の<SANCTUARY>を振り返ってみても“実にピースなフェス”としか言いようがない、不思議なフェスでもある。目前に迫った<SANCTUARY>を前に、フェスを立ち上げた張本人、DJ Dragonに話を聞いた。
◆ ◆ ◆
■昨年弱かった部分は
■今年は改善してお届けできる
── 昨年初めて<SANCTUARY>が行われたわけですが、まずはなぜ昨年、成功したのか? またその上での反省点をお伺いしたいと思います。
Dragon 人が来た、と考えると成功かもしれませんけど(笑)……ほんとにいろいろな人の協力があったおかげだと思ってます。それに子供が無料で入場できるフェスは増えてきたましたが、まだまだ少ないという点。昨年の<SANCTUARY>は、子連れの方が想像以上に多かったですから。クラブ系のイベントごとはたくさん関わって来ましたけど、前回は子供や普段あまりクラブに来ないような人たち……そういうところに向けてアプローチかけたりアピールしたんです。それが響いたのが大きな要因だと思っています。あとは小室(哲哉)さんをはじめ、出演する人たちの“なんなのこれ感”は絶対にあったと思う(笑)。ありそうでなかった、誰もやらなかったこと、なんじゃないでしょうか。
── DJの面々、キッズスペース、フードコート……各々を見るとあたり前のことですが、それらの組み合わせが、ある意味“おかしな空間になった”といいますか……Dragonさんの編集能力、おそらくご自身では好き勝手に集めたものが、うまく噛み合ったのでは?
Dragon 結局、知り合いにしか声をかけてないですからね(笑)。
── それを側から見たときに生まれたのが“ナニコレ感”。
Dragon そうですね(笑)。いろいろなモノがぴったりマッチしたのかもしれない。宣伝時期も短かったけど、BARKSをはじめ<SANCTUARY>に興味を持ってくれた人の協力も大きいと思ってます。
僕も“SANCTUARY=成功”というのはまだ漠然としてるんです。怪我や大きなトラブルもなく、DJの皆さんからの不満もなく── みんな言ってこないだけかもしれないけど(笑)── そういうのも含めて、概ね良好だったわけだけど。
── そういう意味で、反省点はどういうところでしょうか?
Dragon 準備期間が足りなかったという点。それに初めてで手が届かなかったところ、細かいところは、掃除も含めてできてなかったと思います。ただ運営スタッフは慣れた人たちだったし、そういう点ではほとんど問題はなかった……実は大きな反省点はなくて、給水やトイレなど細かな問題点はお客さんの声としてありましたね。もちろんそういう声はおっしゃる通りで、それは今年に生かしたいと思ってますね。それに逃げ場が少ない、会場への自由な出入りができない、そういう、なるほど!というご意見は今年改善できていると思います。
── 昨年の<SANCTUARY>は100点満点で何点でしょう?
Dragon 僕的には70点くらい。もちろん内容は素晴らしかったし、出演者のみなさんのプレイ、盛り上げ方は100点以上です。
── どのフロアもおかしなくらい盛り上がってましたからね(笑)。
Dragon そうなんです。びっくりしましたよね、まったく偏らずにどこも盛り上がってた(笑)。昨年はタイムテーブルを検討しているときに、「このフロアのこの時間帯は弱いかな」なんて思ったこともありますが、想像以上だった。まあ力があって熟練したDJたちが集まってましたし、その各々が本気で盛り上げてくれたわけですからね。昨年弱いと思った部分は今年改善してお届けできると思います。
■参加している人たちが
■ワクワクしてくれるような会場演出を
── 昨年の<SANCTUARY>を踏まえて、今年はどんな形にしようと思ってましたか?
Dragon まず最初に思ったのが、昨年は想像以上に年齢層が高かった。で、おそらくそこの年齢層のフェスがないんだなと思ったんです。例えば<BODY & SOUL>や、この前行った<GREENROOM FESTIVAL>は、少し近いのかなと感じました。そういう諸々を踏まえると、今回は年齢層をさらに上げたいと思ってます。そういう理由で、若手〜ミドル級のDJは今回ほぼブッキングしていません。
── それは年齢層を上げた方が、集客や雰囲気もいいと考えてのことですか?
Dragon 2回目とはいえ、今回はヒップホップ系の人を強めに入れてみたり、僕の実験でもあるんです。時代の流れとしてロービートとか、ヒップホップが強くなっているから意識した部分でもありますが、その年齢層を上げたステージがグッと盛り上がる可能性もあるし、人が集まらない可能性もあります。本来は若い子たちが立てるステージをたくさん作って、新旧交流があるっていうのも<SANCTUARY>の醍醐味ではあったんですが、今回はあえて振り切ってみようかなと。
── 今回の<SANCTUARY>は音楽以外のところではどういう楽しみがあるでしょうか?
Dragon 船「DISCO SHIP」が出ることは、まずトライなことですね。あとは、やっぱりキッズのスペースには去年以上に力を入れてます。著名な先生が参加してくれることになったんですが、ダンスミュージックでキッズヨガをやったら面白いかな、とか……また昨年同様小学生のDJも出ますし、JOYSOUNDさんと組んで野外カラオケを設置したりもします。それに大道芸や移動式のバンジージャンプなど、よりアクティブに楽しめると思います。
作りは去年同様アットホームな感じで……自分たちが参加してる感をどう出すかテーマで、僕の中では“運動会”な感じなのかな。参加している人たちがワクワクするような会場演出をしたいと思ってるんです。
── 今年の<SANCTUARY>は大枠が見えていると思いますが、5年後、10年後に関してはどう捉えていますか?
Dragon 規模感は……欲を言えば、2日間で10個くらいのステージを作りたい。ジャンルをそこそこ分けて、それそれの個性を生かした、小ぶりな中小規模のステージをいくつか作って、“万博感”を出したい(笑)。例えば<フジロック>ってアーティストを目指していくよりは、みんな<フジロック>だから行きますよね?
今は日本人DJに限定していますが、将来的には海外DJの招聘も視野に入れていきたい。そしてどんなDJが出るか分からないけど<SANCTUARY>だから行きたいって言われたいですね。例えば今回の“レゲエタイム”みたいにちょっとづつみなさんの期待を裏切りながら(笑)。
取材・文:BARKS編集部
撮影・千葉顕弥
(※写真は昨年のSANCTUARYのものです)
<SANCTUARY 2018>
PM12:00〜PM21:00
会場:お台場J地区特設会場
住所:〒135-0064 東京都江東区青海2丁目1
料金:大人前売り5,000円 当日6,000円 チケット1枚で中学生以下無料
保護者同伴(入場時ドリンク代別500円)
【出演アーティスト一覧】 2018年6月13日現在
DJ KOO、HAN-KUN(湘南乃風)、Bro.KORN(バブルガム・ブラザーズ)、RED SPIDER、MUNEHIRO、KEN ISHII、田中知之(FPM)、Q'HEY、DJ OSSHY、DJ KAORI、BLACK JAXX(武田真治+DJ DRAGON)、53+84、REMO-CON、DJ MASTERKEY、PARTY ANIMAL、JOHN ROBINSON他
◆<SANCTUARY 2018>オフィシャルサイト
◆BARKS内<SANCTUARY 2018>特設ページ
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