【インタビュー】AIMI「どんなに遠回りをしても、いつもいちばんに考えているのは音楽」

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■こんな超ポジティブな表現をしちゃうなんて
■自分でもビックリ

──そのワンマンが2017年の4月にあって、そこからアルバム構想も出てきた思うんですが、そこで選択したのがクラウド・ファンディング。すごく重要なファクターだったと思うんですが。

AIMI:私もそう思います。投じる側として参加した経験もなく、まったく知らない世界だったので、まず、やるべきかやらないべきかすごく迷いました。

──そもそもクラウド・ファンディングという方法論が持ち上がった経緯は?

AIMI:まず、さっきお話した2016年のソロ初のライブで、自主制作の「demo Bootleg」をライブ会場限定で売ったということがありました。思った以上に反響が大きくて、リクエストに応えるカタチで、その後ネット販売を開始したんです。待っていてくれる人がこんなにもいるんだということをそこで実感しました。そうこうするうちに、スタッフさんから提案されていたクラウド・ファンディングを“やらない”という選択肢が私のなかでなくなったんです。もちろん自分なりにいろいろ調べて、その重みも感じながら、AIMIとしてどうプロジェクトを動かせるのかすごく考えました。やるんだったら絶対成功させたいし、逆に成功すると決めてかかってやるくらいじゃなきゃダメだと思って、覚悟を決めました。

──リターンの準備なども大変だったのでは?

AIMI:フルアルバムを作るためというのが大きな目標でしたけど、同時に、参加してくれる人が楽しめるプロジェクトにしたかったので、どうしたら喜んでくれるかなと毎日のように考えて提案して、スタッフさんといろんなコースを作っていきました。もちろん、どこかではプレッシャーも感じていました。それを跳ね除ける覚悟を示すためにも、リターンとして自分の大切にしている機材を届けようと思ったんです。

──クラウド・ファンディングでは、プロジェクトに期待して投資してくださる方が見えますよね。それは大きなレコード会社にいたら感じられなかったことじゃないかなと。

AIMI:その通りです。たぶん、遠回りしてなかったらやろうとは思わなかったでしょうね。働くことの意味とか、お金の大切さとか、時間の重みとかをあらためて見つめられたからこそチャレンジできたんだと思っています。10代でデビューした頃は、その辺りを全然わかってなかったんですよね。

──CD1枚、チケット1枚買うにもお財布が痛むのだと?

AIMI:頭ではわかっていても、リアルに肌では感じられてなかった。今は、「もし、私がこの金額と時間をかけるとしたら」とユーザーの立場で想像できます。だからこそ、もっともっと頑張って私にできることを考えなきゃと思いました。

──支えてくださる方の気持ちをより近くに感じるようになったんでしょうね。

AIMI:最初のワンマンの日に、目の前にいる人たちの愛情をすごく感じて、「あ、ひとりじゃないんだ」と思えた。だから強い気持ちで次への行動に出られたんだと思います。

──そして、最初のバースデーライブから1年後の昨年の誕生日に、クラウド・ファンディングがスタート。

AIMI:9月4日の00時00分になるときにはもちろんパソコンの画面を見てたんですけど、もう息ができなかったですね。

──わずか8分で目標の100%を達成したそうですね。

AIMI:その瞬間は、もう涙が止まらなかったです。悩んで時間もかけて、ここからスタートするんだという緊張感で本当にシビれきっていましたから。みんなからの愛情は数字で計れるものではないんですけど、「AIMIやったね。もっと行けるよ!」と言われてるような気がして、本当にうれしかったです。

──最終的に350%を達成し、さらに海外向けのクラウド・ファンディングにもたくさんの方が参加したそうですね。

AIMI:ソロ活動を始めてから、海外から応援の言葉を届けに来てくれる人も多くて、それもまた、「私が止まっててどうするんだ」と思えたひとつだったんです。どこの誰に対しても、一生懸命届けるということをやめちゃダメだなと思いました。

──気持ちひとつでプロジェクトが劇的に進んでいったんですね。

AIMI:本当にいろんな人たちから不思議な力をもらってます。


──アルバムのリード曲となっている「#Brand New Choice」は、まさにそんなスタート時の思いを歌ったものに思えました。

AIMI:作ったのは「達成」後でした。「よし、フルアルバムを作るぞ」となった本当のスタート地点で、リアルに感じたことを届けなきゃと思ったんです。

──つまりそれは?

AIMI:どんなことがあっても、どんなに遠回りしても、自分次第で道は切り開いていけるということ。みんながくれたパワーが光となってそれを導いてくれたから、今度は私がそれを返したかったんです。

──「本当の『スキ』だけ信じればいい」や「選んだ道それを本物にする」といった歌詞に、気持ちの勢いが出てますね。

AIMI:こんな超ポジティブな表現をしちゃうなんて、自分でもビックリでした。今までそういうタイプじゃなかったので(苦笑)。

──わかります(笑)。

AIMI:でも、「何言われてもへっちゃらさ」ってくらい本当に全力で届けたかった。ここまで感じてきたものをすべてエネルギーにする歌を歌いたくなった。これは大きなことでしたね。届いたときに広がる素敵な世界へのワクワク感しかなかったんです。だから、声もリリックも自然と明るくなっていきました。

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