【インタビュー】シンガーソングライターみきなつみと第一興商がコラボ、高らかに歌声を響かせる
■女の子らしい歌詞を書きたいなと思っているんですけど
■自分が書いた歌詞は“これ、男っぽいな”と思う(笑)
――『きみとわたしとメロンソーダ』のリード曲になっている「君へ送る唄」は、せつない味わいとエモーショナルな歌の取り合わせが心に染みるスロー・チューンです。
みき:この曲は実は2017年の夏くらいに一回完成していたんですけど、その時は歌詞が違っていたんです。前の歌詞はもっと内容がフワッとしていて、ボンヤリした感じだったんですけど、「もっと真っすぐに書いてみたら?」というアドバイスをいただいて。でも、歌詞を書き替えることには抵抗があって、すごく嫌だったんです。それで、「いえ、変えません」とギリギリまで言っていたけど、自分の中にはもっと沢山の人に聴いてもらいたいという気持ちもあって、そのためにはどうしたら良いかということを冷静に考えたんですね。それで、もっと真っすぐに伝わる歌詞にするべきだなと思って、歌詞を書き直してレコーディングして録ったのを聴いて、やっと“書き替えて良かった!”と思えました。前も自分にとってすごく大切な曲ではあったけど、もっと大切な曲になったし、これなら必ず届くという確信も持てたんです。
――何も考えずに意見を受け入れるのではなく、逡巡したうえで書き替えることを決めたことに意味があると思います。それに、「君へ送る唄」はせつない曲調に乗せて真っすぐな恋心を歌うことで、好き過ぎて、やるせなくなっているような情感が伝わってくる曲になっています。
みき:そうなんですよ。私も、そういう曲になって良かったなと思ったんです。だから、そう言ってもらえて嬉しいです(笑)。
――決断した甲斐がありましたね。「君へ送る唄」は、抑揚を効かせた歌も魅力的です。
みき:ありがとうございます。この曲はサビで盛り上がるのもそうですけど、気持ちが歌詞の情景と一緒に強くなったり、優しくなったりして、それがちゃんと歌に出るようにということを意識して歌いました。サビも盛り上がってはいるけど、ずっと声を張って歌っているわけではなくて。出だしの“I wanna be with you”というところは、“傍にいて”と語り掛けるように歌っています。
――やりますね。「君へ送る唄」に限らず、今作は全編にわたって表現力に富んだ歌が大きな聴きどころになっています。
みき:本当ですか? まだまだ修行中なので、もっとがんばります(笑)。
――真摯に音楽と向き合っているんですね。ところで、アルバムの前半はキラキラした曲が多くてアッパーな作品なのなかと思いきや、後半はせつない曲が並んでいます。
みき:結構暗いんですよね、歌詞が(笑)。暗い歌詞を書きがちなんですけど、その中にも“変わりたい”とか“がんばりたい”というような前向きな気持ちを必ず入れるようにしているんです。なので、“暗っ!”みたいなものにはなっていないと思いますけど……。
――暗くはなくて、しっとりした味わいで、それもエモさに繋がっています。せつないということでは、軽やかにドラマチックなサビを配した「your song」も聴き逃せない1曲です。
みき:この曲は恋愛の曲かなと思わせつつ、私自身はそういう気持ちでは書いていなくて。恋愛の曲として受け止めてもらっても全然良いですけど、私としては憧れの人に向けた想いを書きつつ、“目標だったり、目指す場所だったりに向かって、がんばれ!”という気持ちも同時に込めました。「your song」は、高校生の時に作ったんですよ。高校生の頃は、年上の人達がすごくキラキラして見えるんですよね。特に私は周りに年上の人が多かったから、そういう人達と比べると自分は子供だなと思うことが多くて。そういう気持ちが詰まった歌詞になっています。
――高校生の頃から良い曲を書かれていたんですね。それに、「your song」や「Dear」などのボーカルを聴くと、柔らかい声質でいながら、細かいリズムを出すことに長けていることが分かります。
みき:それは、自分では分からないです。私は自分が歌いやすいように作っているので。でも、たしかにカバーするのは難しいんじゃないかなとは思いますね。私はラップ調の歌が好きで、文字を“ギュッ”と詰めてしまいがちなんですよ。ラップに限らず、最近のJ-POPは言葉が詰まっているものも多いですし。そういうところから受けた影響が自然と出ている気がしますね。
――丸い声でリズムを刻むというアプローチも個性であり、魅力になっています。先ほどから話が出ていましたが、アルバムには「神様も知らない」や「本気を魅せてやれ」といったアッパーな曲も収録されています。
みき:私は阿部真央さんみたいにガンガンしていて、真っすぐに歌う曲も好きなので、そういう面も見せたいなと思って書いたのが「神様も知らない」と「本気を魅せてやれ」です。つまり、しっとりしている曲も私だし、アッパーな曲も私なんですよね。狙って両方をやっているわけではなくて、自分らしいアルバムを作ろうと思うと、自ずとこういう作品になるんです。
――どちらも魅力的です。それに、「神様も知らない」と「本気を魅せてやれ」は、ちょっと強いというか、やや男子っぽい語り口も印象的です。
みき:私、結構男っぽいんですよ、性格が。
――えっ、そうなんですか? ……ちょっと意外です。
みき:実は男っぽくて、歌詞とかを書く時も結構悩むことが多いんです。同性の女の子に共感して欲しいから女の子らしい歌詞を書きたいなと思っているんですけど、自分が書いた歌詞を見て“あれ? これ、男っぽいな”と思うという(笑)。これで良いのかなと思ったりもするけど、自分らしいから良いか…みたいな(笑)。それに、今回の「神様も知らない」と「本気を魅せてやれ」の歌詞は、元チャットモンチーの高橋久美子さんに見てもらったんです。そうしたら、高橋さんに良いんじゃないかと言っていただけたので、安心しました(笑)。
――強い言葉や男子っぽい口調でも声が柔らかいので、ガサツな印象にはなっていませんね。“心地好い尖り”というような印象になっています。
みき:そうだとしたら嬉しいです。私の中の目標として、“甘じょっぱい”というのがあるんですよ。チョコポテチみたいに、甘さとしょっぱさの両方があって癖になる…みたいなところを目指しているんです。「神様も知らない」とか「本気を魅せてやれ」を聴いた人が、しょっぱさだけを感じるようだと、それが全然できていないことになりますよね。だから、1曲の中で両方を感じてもらえたなら良かったです。
――感じました。それに、女性に向かって“みんな、がんばろう! 私もがんばる!”と歌っているように聴こえますので、同性からの支持も得られると思います。さて、『きみとわたしとメロンソーダ』は、みきさんの幅広い魅力がパッケージされた一作になりましたし、3月29日に渋谷O-crestで行なうレコ発ライブも楽しみです。
みき:レコ発ライブは『きみとわたしとメロンソーダ』を引っ提げたワンマンとうことで、本当に気合しか入っていないです。私は普段は一人で弾き語りをしているんですけど、東京公演は生のバンドと一緒にやるんです。バンド形態を基本にしつつ、弾き語りもあれば、アコースティック編成でもやろうと思っていて、その日来てもらえばみきなつみのことが分かるというライブになります。盛り沢山で楽しいライブになると思うので、ぜひ遊びに来て欲しいです。
――観応えのあるライブになる予感がします。さらに、渋谷O-crest公演は47都道府県ツアーの始まりを告げるライブでもあるんですよね。
みき:そうなんですよ。このタイミングで47都道府を廻るということで、もう笑うしかないという感じですけど(笑)。47都道府県ツアーは、弾き語りで廻るんです。だから、本当にギター1本を抱えた武者修行ですよね。もう毎日ライブみたいな日々になるし、いろんな意味で大変だろうなと思うけど、すごく楽しみでもあるんです。各地で待ってくれている人に会えるのが嬉しいし、得られるものがいっぱいあるだろうし、フィジカル的にもメンタル的にも鍛えられるだろうから。パワーアップして戻って来られることを目指して、武者修行に行って参ります(笑)。
取材・文●村上孝之
リリース情報
2018年3月14日発売
品番:EGGS-029
税込¥1,700(税抜¥1,574)
1.Dear
2.神様も知らない
3.your song
4.本気を魅せてやれ
5.君へ送る唄
6.朝よ、こないで
ライブ・イベント情報
3/29(木) 東京・渋谷TSUTAYA O-Crest
OPEN 18:00 / START 18:30
<会いにいくから会いにきて!47都道府県ツアー ~きみとわたしとメロンソーダ~前半>
4/2(月) 千葉県 タワーレコードアリオモール蘇我店店内イベントスペース 18:00
4/4(水) 神奈川県 タワーレコード横浜ビブレ店 18:00
4/9(月) 大阪JANUS
4/10(火) 鹿児島県 タワーレコードアミュプラザ鹿児島店店内イベントスペース 19:30
4/11(水) 宮崎県
4/12(木) 大分県
4/13(金) 熊本県
4/14(土) 福岡県 タワーレコード福岡パルコ店店内イベントスペース 15:00
4/23(月) 群馬県 タワーレコード高崎オーパ店店内イベントスペース 18:00
4/24(火) 新潟県 イオンモール新潟南 1Fマリンコート 18:00
5/4(金) 新潟RAINBOW ROCK
5/5(土) 静岡Umber
5/7(月) 愛知県 名古屋パルコ西館1Fイベントスペース 18:30
5/8(火) 岐阜県 タワーレコードモレラ岐阜店店内イベントスペース 18:00
5/11(金) 長野県上田市 長野県イオン上田ショッピングセンター 屋内イベントスペース 18:00
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事の関連情報
【インタビュー】「DAM CHANNEL」20代目MCに森 香澄、サポートMCにチャンカワイが就任「プライベートな部分も引き出せたら」
2024年3月のDAM HOT!アーティストはアーバンギャルド、フジタカコら4組
【イベントレポート】<ビッグエコー35周年記念カラオケグランプリ>決勝大会が大盛況。応募4,061件の頂点決定
2024年2月のDAM HOT!アーティストはOHTORA、我生ら4組
2024年1月のDAM HOT!アーティストRKID'z、EINSHTEINら3組
2023年12月のDAM HOT!アーティストは学芸大青春、the paddlesら4組
2023年11月のDAM HOT!アーティストはACE COLLECTION、3markets[ ]ら4組
T-BOLANのメンバーと一緒のステージで歌えるチャンス、大好評実施中
2023年10月のDAM HOT!アーティストはNORTH、グラビティら4組