三浦大知、「最高」へ向かって
「和製マイケル・ジャクソン」として注目を集め、「日本随一の歌って踊れるソロアーティスト」を目指していった結果、ボーカリスト/ダンスパフォーマーとして「日本屈指のエンターテイナー」レベルまで進化。そして「日本人でグラミー賞にもっとも近い男」といわれることもある男、それが三浦大知だ。
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これらは三浦大知を形容するときによく使われているフレーズ。こうやって改めて書いてみると、とにかくキャッチフレーズそれぞれがどれもパンチ力に溢れている。日本が世界に誇るアーティスト。そんな気持ちが、グイグイ伝わってくる。三浦大知はまさにいま「日本の音楽シーンの期待、未来を背負っている男」なのである。
そんな三浦大知にとって、2017年はその名を世間に知らしめた飛躍の年だった。それまで「三浦大知ヤバイ、すごすぎる!」というのは、彼のライブを観たファンや、彼をリスペクトする同業者、作品やステージで共演して彼のパフォーマンスや人柄(人柄もすごく重要)にふれたことがある人々のなかで、熱狂的に叫ばれていることだった。その共感が2017年、音楽ファン、さらにはその先にある世間へといっきに広がっていったのだ。
きっかけは三浦大知が21枚目のシングルとしてリリースした「EXCITE」。これが『仮面ライダーエグゼイド』の主題歌に抜擢されると、効果てきめん。いままで三浦大知を知らなかった子供たちからパパ、ママ世代までを巻き込んで、幅広い世代に支持を受け、キャリア初のチャート1位を獲得。Folderのメンバーとして歌手デビューしたのが1997年、ソロとして1stシングル「Keep It Goin’On」を出したのが2005年。とにかく長い長い年月をかけて、ようやくたどりついた1位だった。
先日の日本武道館のMCで本人もいっていたように、彼は積み重ねて積み重ねてここまでたどりついた“積み重ね系”アーティスト。それを見てきたからこそ、この1位獲得のニュースにはファンも音楽業界の熱狂的支持者もこぞって「三浦大知、本当によかった」と大喜び。そうして、この追い風を受けて、年末には『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)という国民的テレビ番組にも初登場。名実ともに文句なしの説得力で“トップアーティスト”としての座を手にいれていった。
2018年に入ってからも、その勢いはおとろえることなく、絢香とのコラボシングル「ハートアップ」をリリースしたり、ツアーの追加公演として初の大阪城ホールを征覇。日本武道館2daysは三浦大知しかできない豪華ゲスト陣(RYHMESTERの宇多丸、KREVA、千晴、絢香、菅原小春、満島ひかり)を集めて極上のエンタテインメントショーを開催してみせるなど、向かうところ目下敵なし状態なのである。
その三浦大知が3月7日に、30才、キャリア20年というダブルの節目に合わせて、自身初のベストアルバム『BEST』をリリース。デビューシングル「Keep It Goin’On」から最新シングル「U」までの全シングルをコレクトしたものに、CD初収録となるDREAMS COME TRUEが提供した「普通の今夜のことを - let tonight be forever remembered ―」、このアルバムのために制作した新曲「DIVE!」を加えた本作は、デビューしてから現在までに三浦大知が積み上げてきた軌跡が刻みこまれた作品といえる。歌って踊れるソロシンガーという自分が目指すアーティストヴィジョンに向かって、これまで歌とダンス、その相思相愛を極めようと、両方を進化させてきた三浦大知は、そこから“歌”だけ切り取ってもヴォーカリストとして恐ろしく身体能力が高い優れたシンガーだった。
ヒット曲「EXCITE」や、いまや彼の代名詞ともなった無音ダンスのパフォーマンスで有名な「Cry&Fight」、「(RE)PLAY」、「Right Now」といった高度なダンスパフォーマンスで人々を魅了するアップテンポのダンスチューンでは、歌詞をメロディやリズムにのせるときの間の取り方、1音1音をリズミカルに歌うだけではなく、ジャストでリズムをとらえたり、ためを入れたり、素早く滑らかに音程を変化させたり、細かい歌のテクニックを使って歌をグルーヴさせていることが分かる。
さらに卓越したヴォーカリストとしての“聴かせる三浦大知”が堪能できるのがバラード曲。静かでシンプルなトラックだからこそごまかしのきかない歌が浮かび上がり、彼がいろんな声を使い分けて曲を表現しているのが分かる。歌い出しだけで2人三浦大知がいるように感じられる表情の違うフェイクが印象的な「Two Hearts」(ドラマ『Answer〜警視庁検証捜査官』主題歌)、ささやくようなきめ細やかな声で語りかけ、声が耳元に寄り添って気持ちよく倍音を響かせていく「IT’S THE RIGHT TIME」(アニメ『寄生獣 セイの格率』のエンディング曲)、それに対して「ふれあうだけで〜Always with you〜」は力強い芯が奥にありながらも、抜け感のある綺麗な張りのある声で曲を表現している。
初めてダンスを封印したミュージックビデオを作成したこの曲は『ニベアブランド』のCMソングとして「これは誰が歌ってるの?」と世間から注目を集めたナンバーでもあったので、同じ時期、三浦大知が<908 FESTIVAL 2015>に出演したとき、三浦大知を呼び込んだKREVAが「手が荒れてる! 楽屋行ってニベアぬらなきゃ」とこの曲のプロモーションに一役かっていたことも伝えておこう(笑)。もちろんそんな盟友・KREVAとコラボした「Your Love feat.KREVA」も今作には収録されている。
R&BにEDM、ハウスにロックなど、幅広い楽曲を巧みに表現していく三浦大知の歌は、これからも努力を積み重ね、先にあるさらなる「最高」を目指す。
文◎東條祥恵
◆三浦大知 オフィシャルサイト
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