【インタビュー】TOSHIO MATSUURA GROUP「いかにフレッシュなアレンジを施せるか、それが今の2010年代にフィットするのか」

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■リスナーに刺激を与えて、受けた人たちがそれぞれ
■次にどうアクションを起こしてくれるか

──DJが作る生演奏ジャズアルバムというと、沖野修也さんのKYOTO JAZZ SEXTETがタイムリーで、ある意味、対局的な作品だと思いましたが……。

松浦 沖野さんも知り合って30年くらい経っていて、お互いにジャズってキーワードの中で活動はしているものの、違うものという共通の認識がある。そんな中で、それぞれが感じる“ジャズってなんだろう?”ってところで、それぞれの作品として世の中に出ていっている。最初の話に戻りますが、それがいろいろなアーティストやDJ、バンドがいて、シーンとして捉えられてくれればと思います。その玉がいかんせん少ない。僕と沖野さん、あとは(須永)辰緒さん、その3人に集約される。もちろんU.F.O.はあるし、若い人たち、例えばWONKやD.A.N.みたいなバンドが出てきたり……本当はもっとDJレベルでそういう人たちが出てこなきゃいけないと思う。以前よりもっとDJが細分化して、好きなものをかけているかもしれないけど、それがシーンの屋台骨になっているのかどうか、すごく疑問に感じている部分なんです。そういうことを踏まえて、“自分のジャズ”を求めてほしい。

90年代だったら竹村(延和)くんがいて、サイレント・ポエツがいて、MONDO GROSSOがいて、ボアダムスがいて、ジャンルは違えど、ひとつのシーンとして語ることができた。例えばECDさんもそうだけどレゲエのトラックでラップしてたり、その段階でかなりオルタナティヴというか。その横にジャズを志向する人間がいるのもおかしくなかったし、ロックの人もいたわけだし。そこで、シナジーが生まれていたんです。ジャズだけじゃなくて、日本のクラブシーンとして、ね。それを考えると、日本のクラブシーンは大きくなったんだけど、実はシュリンクしてるんじゃないかと思いがあります。

今回の作品はジャズを嗜好している人じゃない人にも引っかかってくる楽曲が何曲もある。そこでそういう風に感じてくれるか。U.F.O.のときも同様、リスナーに刺激を与えて、受けた人たちがそれぞれ、次にどうアクションを起こしてくれるかっていうことが重要なんです。20数年経っても同じことを言ってるんだなと感じますね。

──松浦さんがデビューから第一線で活躍できている理由ってなんだと思いますか?

松浦 第一線かどうかはさておいて、10代のときに自分がどうなるのか、夢も何もない状態で世の中に出ていたようなものなので、そこで音楽という思いがけないところで、思いがけないものに救われて、しかもそれが“ジャズで踊る”というキーワードだった。そこに対しての接し方は仕事じゃないから、という気がしています。使命として思い続けている。それがたとえジャズという形でないとしても、今自分が嗜好しているもの=オルタナティヴなところにアウトプットしようとしているのも、次のフェーズに移ってきてきてるのかなと感じてますし、その結果があの“異質な”曲(「L.M. II」)になっているのかもしれないな、と思います。

取材・文:BARKS編集部
撮影:鳥居洋介


『LOVEPLAYDANCE』

2018年3月7日(水)リリース
UCCJ-2153 3,000円+税
収録曲 1. CHANGE(Bugge Wesseltoft, 2001)
2. HIGH NOON(Kruder & Dorfmeister, 1993)
3. L.M. II(New Original, 2018)
4. I AM THE BLACK GOLD OF THE SUN(The New Rotary Connection, 1971 / Nuyorican Soul feat. Jocelyn Brown, 1997)
5. KITTY BEY(Byron Morris And Unity, 1974)
6. BROWN PAPER BAG(Roni Size Reprazent, 1997)
7. DO THE ASTRAL PLANE(Flying Lotus, 2010)
8. AT LES(Carl Craig Innerzone Orchestra, 1993/1997)

◆松浦俊夫 オフィシャルサイト
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