【インタビュー】東京女子流、これまでの自分たちに新しい色をプラスした「ラストロマンス」
東京女子流の24枚目となるシングル「ラストロマンス」は、作詞作曲にシンガーソングライターの春ねむり、編曲にシティポップバンドのLucky Kilimanjaroを迎えて新境地を開拓。まさに「新・東京女子流」と呼ぶにふさわしい、彼女たちの新たなポテンシャルを引き出している。これからも続いて行く彼女たちのストーリーがますます楽しみになる、最新作の誕生秘話をメンバー4人に聞いた。
◆東京女子流~画像~
■自分たち的に今まで活動してきたことを踏まえ
■さらにプラスしてパワーアップしたものを伝えたい
――資料には、東京女子流の前に「新」という言葉がついています。この「新」という言葉にはどういう意味があると解釈していますか?
庄司芽生(以下、庄司):今回、ビジュアルとしてイラストを使っているんです。イラストはmajoccoさんに書いていただいたんですけど、これも初めてのことですし、パッと見た目だけでも「今までとは違う」と思う方はたくさんいると思います。でも、自分たち的には今まで活動してきたことを踏まえ、さらにそこにプラスしてパワーアップしたものを伝えたいという気持ちで、レコーディングやMV撮影に挑みました。自分たち的には「新」というのは、今までの私たちに新しい色をプラスしたという感じで伝えていけたらなと思っています。
――新たに武器を手に入れたという感じですね。
庄司:はい。
新井ひとみ(以下、新井):「ラストロマンス」を作ってくれたのは、ポエトリーラッパーの春ねむりさんというアーティストなんです。女子流にはない雰囲気や歌詞、ありのままの感情を直接伝えるような、今まで挑戦してこなかった要素を入れていただきました。もちろん、ポエトリーラップに挑戦するのも初めてなので、最初は歌い方にも難しいところがあったんですけど、実際にレコーディングの時に春ねむりさんに指導していただいて。「こうした方がいいよ」とか、雰囲気の出し方などわかりやすいディレクションがあったので、春ねむりさんの思いを受け継いで女子流の表現ができたと思うので、たくさんの方に聴いて欲しいですね。
▲「ラストロマンス」[CD+DVD]
▲「ラストロマンス」[CD only]
――今回、東京女子流の新たなキャッチコピーとして「お姫様になれなかった私たちの続きの話」という言葉がついていますけど、このキャッチコピーを見て「ラストロマンス」を聴くと人魚姫的な感じがしますね。
一同:おおすごい!
中江友梨(以下、中江):それは結構当たっています。いろんな方に「お姫様になれなかった続きの話」ってどういうこと?って聞かれるんですよ。気になって引っかかる方が多いみたいで。女の子なら誰だって「お姫様になれるものならなりたい!」って思っていると思うんです。私たちは活動してきて8年なんですけど、いろんなステージに立たせていただいて、でもその中でいろいろ山あり谷ありの時期もあって、正直、まだお姫様にはなれていない。でも、お姫様って一回なってしまえばそこまでですよね? 私たちは、まだお姫様になれていなくても、今、ライブや、シングルで新しいジャンルに挑戦させていただいたりしています。一気にゴールに突き進むより、私たちの続きの話っていう「これからの活動」をもっと見せたいし、見て欲しいと思っています。たとえば、目標にしている武道館のような大きなステージに戻ることだったり。今、そこに向けて頑張っている途中なんです。きっと、「続きの話」というのは、普段の私達のライブに来ていただくと「こういう意味だったのか!」とわかっていただけるんじゃないかと思うんです。
▲中江友梨
――おとぎばなしだったらお姫様になってしまえばもうそこで物語は終了ですものね。女子流はまだお姫様になってないから続きがあるということですね。
中江: はい。今までの女子流は綺麗に歌うとか、決まり事もあったんです。でも、「ラストロマンス」は、それをぶち壊して、もっと感情的に、女子流の内面的なものを曲に込められたんじゃないかなと思うんです。お姫様みたいに飾られたものの中からでも、女子流としての感情をもっともっと出していければいいかなと思っています。この曲自体、恋愛だけにとらわれない曲だと思うので、「今回この曲はこういう人が主人公でこういう曲です」という基本的なことを私たちから提示していません。人によっていろんな捉え方を持ってほしいなと思っているんです。最初はどういう気持ちなのかなって、いろんな感情を想像して聴いていただく方が多いと思うんですけど、それが正解なんじゃないかなと思います。
――なるほど。恋だけに限らず、夢でもいいですよね。春ねむりさんから曲をいただいた時は、どんな感想を持ちました?
山邊未夢(以下、山邊):最初に何曲かデモがあったんですけど、その中でも特に印象に残った楽曲です。今までの女子流とはまったく違うジャンルだなと思ったので、個人的にはアルバムの1曲として温められて、これがいつか、アルバム曲になるのかなと思っていたんですよ。勝手にそういう感じで解釈していたので、これが次のシングルの表題曲だよって聞いた時は結構びっくりして。「これでいくんだ!」と思って。「今までの女子流とは違うなー」って思ったんですけど、春ねむりさんも一緒に制作してレコーディングしていくうちに、どんどん女子流の色に変わっていきました。ここからまた新たな女子流を見せるという意味でも、すごくいいなと思いました。この曲で2018年のスタートを切れたというのも嬉しい。MVももう解禁されているんですけど、「めっちゃいい!」っていうコメントをいただいて。新しいジャンルだから、ファンの人にはどういう感じで聴いてもらえるのか心配していたところもあったんです。でも、「いい」って言ってもらえると嬉しいですし、もっとたくさんの人に聴いてもらえるといいなと思います。
――今、MVの話が出ましたが、私も拝見させていただきました。青いペンキをかぶっていましたけど、あれ本当にかぶったんですか?
中江:はい(笑)。一発録りです。
――やり直ししようと思ったら、一度洗わないといけないから時間かかっちゃいますもんね。
中江:そうなんですよ。順番はじゃんけんで決めたんですけど、ひとみからだったんですよ。あそこまで真正面からペンキをかぶるなんて初めてのことだったので、どんな風に映ってるのか完成を楽しみにしていたんですけど、MVを見たらちゃんと綺麗にかぶっててよかったなって思いました。
――あれは特殊なペンキなの?
中江:水性で口に入っても大丈夫なモノなのですが、結構ドロッとしてるんです。
庄司:そう。顔にへばり付くような感じなんですよー。息ができない感じ。
新井:ペンキをかけられて、「OK!」って言われるまでは息もできない(笑)。
――じゃあずっと息を止めてるんだね。
中江:そうです。
新井:OKって言われたらようやく息を吐くみたいな。
中江:結構封じられてしまうので本当に息ができないんですよ。終わったあとはみんな笑顔でしたけど。
▲山邊未夢
――最初はどうなるかわからないから、一番手のひとみちゃんは大変でしたね。
新井:マネージャーさんがムービーを撮っていてくれたんですけど、終わったあとにそれを見せてもらったら、メンバーみんな大爆笑で(笑)。
中江:見たことない光景だったからね(笑)。あんなふうにペンキかぶってるなんてなかなか見ないから。
――映像と逆まわしだから、ものすごい現代アート風だけどね。
中江:確かに(笑)。MVを撮った日はすごく寒かったんですよ。外の撮影も寒かったけど、屋内での撮影も廃墟だったので、だいぶ冷え込んでいて、ずっと白い息が出てました。
――廃墟とか海とか場面が変わってもすごくいいですよね。
中江:富士山の近くなんですよ。一発目が外の撮影だったんですけど、外だからメンバーの表情もすごくきれいに映していただいていて。
庄司:前半戦の一人一人の苦しい顔から、ちょっとずつ微笑みになっていくところが個人的にはすごく好き。そこは見てくれる皆さんもぜひ要チェックでお願いします。見てもらいたいポイントでもあるので。今回は「破壊と再生」をテーマにMVを撮っているので、テーマに合わせた表情を感じてもらえるんじゃないかと思います。
――最後は再生の笑顔なんだね。
庄司:はい。「未来に向かってくぞー!」みたいな。
――清々しいですもんね。
中江:今度はライブで見ていただくのが楽しみです。MVを見ていただいた方はダンスも見ていると思うんですけど、また生で見ると違うと思うんですよ。振り付けにもこだわっています。メンバーが濃密に絡まり合っているところだったりとか、サビの部分の振り付けもこだわっていただいてるので。新・女子流の要素も振り付けには入っていますし。でもよく見ると今までの女子流の振り付けも入っているんです。ずっと長く応援してくださっている方は気付く方もいるんじゃないかな。
山邊:MVだと、ソロショットやリップシンクのシーンが入ってるので、全部のダンスを見ることができないんです。ライブで直接生で見てもらうと、映っていない部分がわかりますし、楽曲の捉え方にも変化があると思うんです。例えば「♪生まれ変わらない細胞がまだ 体温を忘れてはくれないの」というところでは、メンバーがみんなで重なり合って、体温を感じ合うような振り付けになっています。すごく特徴があるダンスになっているんですよ。
中江:そう、細胞がきゅっと4つ集まってる感じ。私は下の方で三人を支えてる感じなんですけど、三人はだいぶ絡んでいるので。
庄司:それこそアートみたいな(笑)。
中江:そうそう。そういうフォーメーションだよね。振り付けしていただいてるときも先生が、試行錯誤していて、こうかな?こうかな?っていろんなところに巻きついてて(笑)。MVを見てる人はあそこのシーンが好きっていう人もいるんですよ。
――それはステージでもやるの?
中江:やります。MVを見て「あのシーンはフォーメーションを考えた人が天才」って言ってる方もいらっしゃいましたね。4つの細胞を表したあのシーンは、注目な瞬間かもしれないですね。一瞬ですけど。
――モダンバレエみたいだもんね。ダンスでも曲の世界が感じられる。
庄司:女子流的には、いままでここまで生々しい歌詞を歌うことがなかったんですよ。逆にちょっと大人っぽい言葉遣いにしてオブラートに包んだり、遠回しに言っていたので、そういう面でも、今回の曲はより自分たちの感情をぶつけやすくなっています。ライブによっても歌い方や感情の込め方とかが、今まで以上に映えてくる曲なのかなと思います。だから、その日だけの「ラストロマンス 」っていうのを楽しみにライブに来てもらえたらと思います。
山邊:いつも難しい内容の歌詞が多いので、考え込んでからでなければ入り込めないという曲も何曲かあるんですよ。でも、「ラストロマンス 」は「どうしようもないよね」とか、気持ち的な面を歌っているから、その時の自分の気持ちで歌えるんです。だから、その時の自分の気持ちで見せ方が全然変わってくると思います。きっと、ライブで何回観ても、いろんな「ラストロマンス 」が観れるんじゃないかな。
――毎回、表現するのが楽しみですね。
一同:はい!
中江:きっと、2年後に歌ったとして、今とは表情も感情も違うんじゃないかなと思います。
――この曲は女子流にとってもターニングポイントの第一弾シングルだから、今後も大事な曲になりそうですね。
庄司:逆に、私たちとしては次はどうなるのか楽しみでもあるんです。きっとファンの皆さんも「これからどうなるのかな?」と妄想が広がるんじゃないかなって。
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