【ライブレポート】gibkiy gibkiy gibkiy、ツアーファイナルに開く「知覚の扉」

ポスト

gibkiy gibkiy gibkiyが12月11日、新宿Zircoにて<one-man live “avantgarde barbarian Ⅴ”>のファイナル公演を開催した。同ツアーは2ndアルバム『In incontinence』のリリースに伴うもの。12月にも関わらず、穏やかな陽気となった昼間とは打って変わり、寒風が吹きすさぶ夜の激変も、彼らのライブの鋭さを身を持って体験するような感覚であった。

◆gibkiy gibkiy gibkiy (ギブキー・ギブキー・ギブキー) 画像

場内が暗転し、幕が開くも無音かつ漆黒のステージ。その中を悠然とメンバーは演奏のスタンバイを整える。フロアを埋めるオーディエンスからは声も発せられない。と言うよりは、発することができないのだろう。それほどの緊張感をまとったオープニングに、この日のライブへの期待は高まるばかりである。


「無中無」でライブはスタート。テクニカルな循環フレーズを紡ぎ出すaie(G)とkazu(B)のコンビネーションは長年の彼らの関係性が成せる業、息が合うどころか鋭くもある。手数の多いsakura(Dr)のドラムも1曲目から全開だ。圧倒的な歌唱力を誇るkazuma(Vo)のスクリームは冒頭から激しくオーディエンスを挑発していく。

その圧倒的なパフォーマンスに飲み込まれたオーディエンスはただただ息をのむばかり。しかし、その空気を一変させたのは「suspend」だ。ステージ前方に躍り出たaieのパフォーマンスに刺激されたのかバンド全体が一気に一体となり、躍動感あふれる演奏でフロアを挑発していく。オーディエンスとの一体感、共有感を全く求めないとも思われるバンドのパフォーマンスであるが、その秘められた熱量でフロアの温度を上昇させていく姿は、流石の一語に尽きる。



「頭蓋、紛い」「形状において歪な、または不自然な」「spoiled me」までは、ほぼ赤い照明に支配されたステージの中で、自身の内面に眠る感情を叩きつけるような集中力の高い演奏が連続して披露されていく。このバンドは赤い照明の世界感が非常によく似合うのだ。以前のBARKSインタビューでは「傷で言えば、血だらけでべとべとな方が良い」と発言したバンドである。ライブの場が、シンプルかつ鮮やかな“赤い空間”では無く、生身の身体から滴り落ちる鮮血のように“痛みを伴う赤い空間”、それが彼らに相応しい表現であるだろう。

その演奏が醸し出す“赤い空間”がすなわちライブであり。そこでの空気感が、彼らならではの魅力なのでは?と思わせる中盤戦であった。

そして一瞬の空白と共に暗転すると流れ出したのは、様々な声色でのグロウルが重なるのみという強烈なSE。そのインパクトに圧倒されながらも、演奏が始まったのは「劇中劇」だ。一旦ステージから消えたkazumaが天井のトラスにマイクを吊るし、まるで首吊りを思わせるかのような刺激的なパフォーマンスを繰り広げる。その殺意にも似た感覚に煽られるかのように、バンドの演奏も一気に熱量を帯びていく。




「嫋嫋たる対象」「愛という、変態」では手足全てをフル稼働させて音数の多いsakuraのドラミングに圧倒される。彼がシーンに姿を現したのは1990年代中盤。多点ドラムセットを駆使し、音数の多いパーカッシブなドラミングで一世を風靡。その独特なドラミングは現在活躍する若手ドラマーに与えた影響も大きい。そんな彼の魅力が炸裂したこのパートで、バンド全体の熱量はさらに上がっていく。

そして、この日一番のハイライトが続く「告白」だった。「愛してる」という歌詞を多種多様な声色でアジテートするkazuma。「愛してる」という至極シンプルな言葉に、どれだけの意味を持たせられるかを実験し、聴く者にその答えを求め続ける様は圧巻であった。

「箍を外す場合、穴に群れる具合」ではフロアの温度も一気に上昇。激しいパフォーマンスに初めてオーディエンスから熱狂の歓声が自然と上がる。ライブの盛り上げ方としては理想的な展開であったが、ここからまたブレイクを取り、ラストパートに向けてまた沈み込むような楽曲の世界に没頭していく姿が何とも彼ららしい。



ラストの「脳内に」ではペットボトルにマイクをこすりつけ、言葉では表現し難い音像を叩きつけながら絶唱するkazumaに吸い寄せられ、バンド全体も何かに憑りつかれた様にひたすら演奏に集中していく。アウトロではaieがフロアにギターを差し出し、オーディエンスがかき鳴らす音に合わせてワウペダルを踏むという刺激的なパフォーマンスを披露。その鋭く突き刺さるような空気感の中、強烈なインパクトを残して彼らはステージを降りた。

2017年、充実した活動を繰り広げた彼らに相応しい、狂乱の一夜は幕を閉じた。そして2018年、彼らは<“poison excl.” ~gibkiy gibkiy gibkiy vs Merry Go Round Respects~>と題されたツアーを2月から展開する。そこでまた新たな“知覚の扉”が開くことは間違いない。

■<“poison excl.” ~gibkiy gibkiy gibkiy vs Merry Go Round Respects~>

2018年2月2日(金) 愛知・名古屋ell.FITS ALL
OPEN 18:30 START 19:00
ADV ¥4,500 DOOR ¥5,300 (税込/D別)
(問)ell.FITS ALL 052-201-5004

2018年2月3日(土) 大阪・アメリカ村 DROP
OPEN 17:30 START 18:00
ADV ¥4,500 DOOR ¥5,300 (税込/D別)
(問)DROP 06-6213-9101

2018年2月9日(金) 東京・下北沢 GARDEN
OPEN 18:30 START 19:00
ADV ¥4,500 DOOR ¥5,300 (税込/D別)
(問)GARDEN 03-3410-3431

2018年2月24日(土) 愛知・岡崎 CAM HALL
OPEN 17:30 START 18:00
ADV ¥4,500 DOOR ¥5,300 (税込/D別)
(問)CAM HALL 0564-23-8220

2018年3月15日(木) 北海道・札幌 COLONY
2018年3月16日(金) 北海道・札幌 COLONY
OPEN 18:30 START 19:00
ADV ¥4,500 DOOR ¥5,300(税込/D別)
(問)COLONY 011-532-3329

この記事をポスト

この記事の関連情報