【インタビュー】B'z、『DINOSAUR』完成「君が今聴いているバンドとは違うと思うよ」
■今回はハモも少なくなったり
■楽しんで手法を変えたりしています
──そんな2人による『DINOSAUR』ですが、これをソーシャル時代の中高生に伝えるとしたら、どんな作品だと説明しますか?
松本:中高生? そうだね……「君が今聴いているバンドとは違うと思うよ」って。
稲葉:ははは(笑)。
松本:それを「いい」と決めるのも「悪い」ときめるのも、それはあなた次第だけど(笑)。
──どんなところが違うんでしょう。
松本:そうだね、音楽形態とか……きっと音圧とかも違うよね。
稲葉:音は太いなと思いますね、やっぱり。シンプルで太い音。
──今回はギターのサウンドメイクもいろんな機材を引っ張り出してきていますよね。
松本:すごいやりました。いつも曲ごとにギターは何本も試しますけど、今回はアンプもいっぱい並べてベストなマッチングを探してやりました。ここのところギターサウンドも安定してきていて、アンプもここのところ毎回同じだったから。
──いわば完成したんだと思います。
松本:それもつまんないなと思いまして。
──それはアーティストの悪い癖です。求めたくせに到達すると違うところに行こうとする。
松本:そうですか(笑)。昔の作品……『ELEVEN』とかを聴いていると「すごく太くて良いサウンドだな」と思って、その頃を調べたらPEAVEY 5150を使っていたから、まずはそれを引っ張り出してね。あと稲葉くんからもらったアンプとか。フェンダーのShowmanなんて僕のテイストに全くないアンプだったしね。
稲葉:色んな形のアンプがスタジオに並んでいるとカッコいいんですよ。完全に素人目線ですけど(笑)。
──中学生のような発言だ。
稲葉:ギターもいっぱい並んでいてね、あれ、ファンの人が見たら鼻血出ますよ。
──それはその通り。
松本:なんかね、また変わりたいなと思っていたんだよね。ギターもね、ヴィンテージだけがすごくいいわけではなくてね、もちろんすごく良いんだけど、それも使いながら今のものも使いながらやっていきたいよね。
──その点、ボーカルはつらいですね。機材を変えればサウンドニュアンスも変わるギターのようにいかないわけで。
稲葉:歌は経年変化しかないですね(笑)。
──ヴィンテージ化……それは素晴らしいことかも。
稲葉:B'zの歴史の中で、レコーディングの手法としては、ハーモニーも全部自分の声で重ねていたからボーカルのダビングもすごく多かったんです。でも今回はハモも少なくなったり、そのかわりメインボーカルをダブルで録ったり、楽しんで手法を変えたりしています。
──30年間で発表された旧曲を今歌うことで、難しさを感じることはありますか?
稲葉:ツアーのたびに、今まで1回も演奏してこなかった曲を引っ張り出してきてやったりすることもあるので、アレンジは今のバンドで変えたりしますけど、当時の歌詞に気恥ずかしさを感じたりすることはありますよ。でも、それも楽しんでやっています。歌い方も違うので、その違いを楽しめたりもしますし。
──「キーが高くて昔の曲が歌えない」ってこと、稲葉さんにはなさそうですね。
稲葉:どうだろ、1曲ずつ歌ってみれば出てくるかもしれないですけどね……いまのところそんなにないかな。もちろんきついのはありますよ。
松本:新作でもそんなことは考えて創っていないしね。
──きちんとケアしてきている証でもありますね。
稲葉:ケアは必要です。昔は関係なく、朝起きてすぐ歌えちゃうみたいな瞬発力はありましたけど、今はわりとゆっくり温めてます。
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