【ライブレポート】D’ERLANGER、「あんまり言わないけど、すげぇ嬉しいんだよ」
再結成10周年を祝して『D’ERLANGER REUNION 10th ANNIVERSARY 2017-2018』の名のもとに、2017年春から多彩かつアクティブな活動を展開してきたD’ERLANGER。その終盤戦、アルバム『J'aime La Vie』を携えた“二巡目”の全国ツアー<J'aime La Vie deux TOUR 2017>のファイナルが11月23日、マイナビBLITZ赤坂にて開催された。
◆D’ERLANGER 画像
バンドのパフォーマンス自体は変わらずタフだ。しかし時間軸に沿ってレポートすると、まずはライブ冒頭のアクシデントについて触れないわけにはいかないだろう。おなじみPRIMUSのナンバーを導入に続くSEと共にメンバーが入場。定位置につき、まさに演奏に入ろうとした瞬間……なんと、Tetsu(Dr)のキックペダルのトラブルによりライブをスタートできないという事態に陥ったのだ(スプリング部分の異常だった模様)。どよめくオーディエンスを前に、「ハハッ、神様は意地悪だな。ファイナルにサプライズだ」と、kyo(Vo)。さらに「俺たちの音を聴く前にさ、みんなの声を聞かせてもらおうか!」と続けて、場内の熱を冷まさない手腕はさすがである。
しかし、時間にして約1分程度のブランクとはいえ、大事な出鼻をくじかれたその心中は察するに余りある。だが……いや、だからこそと言うべきか。そこからTetsuによるスリリングなハイハットのカウントで始まった「the end of eden」の鬼気迫るテンションはあまりに凄まじかった。ビートもシンバルワークも“しばき倒す”とでも形容したくなる猛烈さで、フラストレーションも乗ったであろうアグレッシブなドラミングに共鳴するかのように、メンバー全員の熱を帯びたプレイと歌が塊となり観る者に襲いかかってくる。「Harlem Queen Complex」「Harlem Queen Romance」の流れでもそれは変わらず、渾身の3曲を終えると、熱く大きな歓声がフロアから湧き起こった。
ただ、その後もトラブルが重なったようで、すぐさまスムーズに駆け抜けていけなかったものの、そんな序盤を乗り越えてからのD’ERLANGERは、掛け値なしに強靭だった。抜群の扇情力を持つ「Je t’aime」や、重心を低くしたリテイクバージョンの「Candy in the shape of you」といったナンバーは、一層の情念を宿して説得力十分に鳴り響く。次の「BABY」まで黒のストラトを手にしたCIPHER(G)も、随所で生々しく粘りのあるプレイで魅せてくれた。じっくり聴かせるミッドチューンも据えたこの中間ブロックに漂う哀愁と色気は、並のバンドに出せるものではない。
「今年は再結成10周年という年で、D’ERLANGERは愛されてるなと強く感じた2017年です。あんまり言わないけど、すげぇ嬉しいんだよ。俺たちのことを愛してくれているみんなが集まってくれて大騒ぎできる。こんなに幸せなことはないなと思います」
中盤、kyoがオーディエンスに想いを伝えたあとは、本編ラストまで一気呵成に攻める展開へ。手始めに「Divina Commedia」を繰り出し、アップテンポのリズムの中を鮮やかに駆けるSEELA(B)のランニングベースも耳を捉える。また、「Vanilla」での突き抜けるメロディには、どこか懐かしい時代を呼び覚ます匂いがあり、本能的に彼らに備わる不変の要素なのだろうとも改めて思わされた。
そして、次曲へとつなぐマーチングドラムから突如ダイナミックなドラムソロに至り、その後CIPHERとSEELAもアドリブで合流。お約束は不要のD’ERLANGERゆえ、一体どう展開していくんだ!?と片時も目が離せない。瞬時に呼吸を合わせて「Singe et Insecte」になだれ込めば、ジャストのタイミングでkyoが歌い始めるという、これぞD’ERLANGER!という場面に自然と頬が緩む。
また、「dummy blue」がスタートした瞬間の覇王のごときその存在感は、やはり神々しい。大げさでなく大鉈で切り刻むかのような圧殺8ビート、前のめりかつ押し出しが強いリフの応酬、鋭く切り込んでくる職人的ベースフレーズ、そして妖艶な歌声……10年前にD’ERLANGER復活の狼煙となった同曲は、今なお揺るぎなき必殺チューンとして君臨していた。
「いろんな意味で、特別なファイナルになったんじゃないかなと思います。このツアーで出会ったすべての人たちに感謝します。そして、今夜この場所を選んでくれたみんなのことを愛おしく思います。また、たくさん遊ぼうぜ!」
アンコールではこうしたkyoの言葉を挟み、ラスト3曲を立て続けに披露。せつなくもキャッチー、けれど出音はラウドな最新のアンセム「バライロノセカイ -Le monde de la rose-」を放ち、レゲエやジャズのエッセンスも飲み込んだ「Everlasting Rose」で一旦クールダウン。そして『J’aime La Vie』同様に、「沈む」で締め括る。大ラスのナンバーにして、kyoのボーカリゼイションは実に野太く野性的な迫力に満ち溢れ、一丸となる演奏をバックに感情をほとばしらせるクライマックスは圧巻。最後の一音まで、まさに4人の“呼吸”で楽曲を織り成すライブは、D’ERLANGERの生き様を映し出しているかのようだった。
ファイナルということもあり、たとえばアンコールに初期ナンバーをフィーチャーしてスペシャル感を演出することも可能だったかもしれないが、あくまで『J’aime La Vie』収録曲のみで固めていたのは自信の表れだろう(ライブ全体で見ても、再結成以前のナンバーは「LULLABY」のみであった)。実際、それでも物足りなさを感じさせなかったところに、今を生きるバンドとしての誇りがある。
ちなみにD’ERLANGERのトリビュートアルバムに参加し、彼らとセッションも経験済みのHYDEは、ライブにおけるD’ERLANGERを“有機物”と喩えていた。まさに言い得て妙であり、D’ERLANGERのパフォーマンスにお定まりの形はない。今宵、言わばアクシデントを機に、より研ぎ澄まされ獰猛な生命体へと変容していったその姿は、間違いなくこの夜だけの貴重なものだったと思う。
なお、同ライブでは再結成10周年を締めくくるファイナル公演が東京および大阪で開催されることが発表となった。<D'ERLANGER REUNION 10TH ANNIVERSARY FINAL in OSAKA>と題した大阪公演は4月15日と翌16日に大阪Banana Hallにて2days開催、そして<D'ERLANGER REUNION 10TH ANNIVERSARY FINAL>と題した東京公演が4月22日に豊洲PITで行われる。これに先がけて、2018年2月22日に新宿LOFTで開催される<「master+mind」 presents 【Rock is Culture 2018】>出演が2018年一発目のライブとなるとのことだ。再結成10周年イヤーはまだまだ続く。
取材・文◎早川洋介
■<J'aime La Vie deux TOUR 2017>11月23日@マイナビBLITZ赤坂セットリスト
02.Harlem Queen Complex
03.Harlem Queen Romance
04.LOVE is GHOST
05.Mona Lisa
06.Parfum de l'avidité
07.Je t’aime
08.Candy in the shape of you
09.BABY
10.Divina Commedia
11.Vanilla
12.Singe et Insecte
13.dummy blue
14.LULLABY
15.CRAZY4YOU
encore
16.バライロノセカイ -Le monde de la rose-
17.Everlasting Rose
18.沈む
■<Shinjuku Loft「master+mind」 presents 【Rock is Culture 2018】>
open18:00 start19:00
出演:D’ERLANGER ※ワンマン公演
▼チケット
前売/¥6,000 ※オールスタンディング/ドリンク代別¥500
般発売日: 2018/1/13(土)
【チケット先行受付】
e+プレオーダー 12月15日(金)12:00〜12月25日(月)23:59
http://mastermind.seesaa.net/
■<D'ERLANGER REUNION 10TH ANNIVERSARY FINAL in OSAKA>
open17:30 start18:00
2018年4月15日(日) 大阪Banana Hall
open16:30 start17:00
▼チケット
スタンディング:前売¥6,500- 当日¥7,000- (税込・GOODS付・ドリンク代別)
※未就学児童入場不可/小学生は要保護者同伴・有料
一般発売日:2018/3/3(土)
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
■<D'ERLANGER REUNION 10TH ANNIVERSARY FINAL>
open16:15 start17:00
▼チケット
スタンディング:前売¥6,500- 当日¥7,000- (税込・GOODS付・ドリンク代別)
指定席:前売¥9,000- 当日¥9,500- (税込・GOODS付・ドリンク代別)
一般発売日:2018/3/3(土)
(問)HOT STUFF PROMOTION TEL:03-5720-9999
■<D’ERLANGER FC限定LIVE「KIDS BLUE STANDING SPECIAL 2017」>
▼チケット
・1Fスタンディング:¥6,000(税込) ※ドリンク代別
・2Fプレミアムシート:¥10,000(税込) ※プレミアムグッズ付 ※ドリンク代別
※未就学児童入場不可/小学生は要保護者同伴・有料
【KIDS BLUEチケット受付(抽選受付)】
受付期間:11/24(金)12:00~11/28(火)16:00
※制限枚数:1人2枚まで
(問)KIDS BLUE 03-6300-5349 (月・火・木・金 14:00〜18:00)
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