【インタビュー<前編>】フルカワユタカ、2017年を振り返る「意味が後からついてくるんです」

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■新木場がお祭り的イベントなのに対して
■SHELTER 3DAYSはじっくりとワンマン

──さらに活動や交流の輪を広げたのが、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSへギタリストとして参加したことですか?

フルカワ:今年に関してはもう、それが一番大きいことに間違いないですね。僕もこんなカタチになるなんて夢にも思ってなかったですから。っていうのは、市川さんとはそんなに繋がりがなかったんですよ。ドーパンのインディーズ時代にTGMXさんにプロデュースしてもらってたじゃないですか。そのまた先輩として打ち上げとかでご一緒する程度で。僕はSUPER STUPIDが大好きだったから、普通に憧れのミュージシャンというかファンとして見てたんです。

──AIR JAM世代の大先輩ですもんね。

フルカワ:ドーパン時代って誤解もあったんですけど、実際に僕が発する言葉にも生意気なところがいっぱいあったじゃないですか。例にもれず、市川さんにも怒られてましたから(笑)。後輩なのでフェスの楽屋とかに挨拶に行くと、「お前、調子に乗ってるんじゃねえぞ。ちゃんとしないとダメだからな」みたいなことは毎回言われてました。今だってオーラありますけど、昔は本当におっかなかったんですよ(笑)。だからまさかですよ、市川さんとこうやって一緒にフェスを廻ったり酒呑んだりするようになるとは。

▲LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS@<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017>9月23日(土)

──それが、フルカワさんにお声が掛かったのは?

フルカワ:ちょうどベボベでツアーを廻ってる時だったかな。市川さんが「ツアー会場販売用のデモCDを録ってくれよ」って声を掛けてくれたんです。その話自体がまず意外だったんですけど、そこで2日間ぐらい一緒に作業したことをきっかけに、「北海道の<JOIN ALIVE>に出るんだけど、お前ギター弾かない?」って。

──2016年7月の夏フェス<JOIN ALIVE>ですね。

フルカワ:そうです。音源を録っただけだったらそれで終わったかもしれないですけど、<JOIN ALIVE>に行ったことで少し深い話もできて。そこから、市川さんのアコースティックライブのゲストに誘われたり、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSとしてMOBSTYLESのイベントに出たり。だけど、去年誘われた時はここまでガッツリやるとは思ってなかったです。ギターもそんなに褒められなかったし(笑)。

──あははは。

フルカワ:いや、これはほんと(笑)。なんだったらここ最近ですよ、市川さんが「この3人のTHE RHYTHM MAKERSがイケてる」って言ってくれるようになったのは。やっぱり6本ぐらい廻った今年のツアーからグッとバンドっぽくなったんですよ。逆にこれから先、呼ばれないと“あれ?”って気持ちになるかもしれないです(笑)。

──前回のコラムでは細美さんとの“誤解が解けた話”が記されてますし、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSとしての活動は、各方面のアーティストと再びつながるきっかけにもなっているようで。

フルカワ:そういうところが今年はあるかもしれないですね。それに、現場に行って、サウンドメイクして、人前でギターを弾くっていうステージ1本1本の大切さもそう。今年は21本以上のライブをやってるんで、やっぱり当たり前に上手くなるんですよ。僕、ギターは上手いと思うんですけど(笑)、技巧だけじゃなくて、サウンドメイクとかプレイはやっぱり客前にいなきゃダメなんだなって。現場感っていうんですかね、まだまだ大事な経験させてもらってます。

──昨年から収穫の多い年が続いてます。

フルカワ:ホントに。実り多いです。

──そんな中で11月に行われるSHELTER 3DAYSは、それぞれまったくテーマの異なる3日間のワンマンになることが、タイトルからも発表されているサポートメンバーからも伝わってきますが、これもソロ5周年と活動20周年のアニバーサリー的意味合いが強い?

フルカワ:新木場STUDIO COASTと同時に思いついたところもあって、2つを並び立つ感じにしたかったというか。新木場STUDIO COASTがたくさんのアーティストが出演するお祭り的な一大イベントなのに対して、SHELTER 3DAYSはじっくりとワンマンで、20周年と5周年っていう自分のアニバーサリーを総括する場所も作らないといけないなと。つまり、コアファンに向けて、自分が書いてきた曲をできるだけ数多く発表する場を設けようっていうテーマが念頭にあるんですね。少なく見積もっても1日20曲ぐらいやるんだったら、延べ60曲になるわけです。

──それも各日のテーマに沿った選曲で。

フルカワ:定番曲はかぶるかもしれないけど、基本的には3日間トータルで50曲ぐらいかぶりなしでやるんじゃないですか?

──その初日は“バック・トゥ・ザ・インディーズ”っていう、そのものズバリなタイトルがついてます。

フルカワ:読んで字のごとくで、初日はそれこそディスクユニオン時代のコアファンに喜んでいただける内容に。まぁ、今も“インディーズ”だから“バック・トゥ”じゃないけど、最近の楽曲も多少織り交ぜるぜ!っていう。

──テーマはインディーズ?

フルカワ:裏の意味はBPMの速いパンク。僕の作曲には、16ビートの4つ打ちやファンキーなものと、8ビートのパンクという2本柱があって。その両方をコード進行や旋律っていうメロディアスなところで繋いでいるんです。初日は、そのパンキッシュな部分を詰め込んだライブをしたい。サポート陣のセレクトも、村田シゲ(口ロロ)と福田忠章 (FRONTIER BACKYARD / SCAFULL KING)さんっていう、いわゆるそのシーンの手練れで、しかも僕の歴史を知ってる人。

──コアファンにはたまらないメンツです。

フルカワ:シゲはドーパン解散後からの付き合いなんですけど、僕が抜けたCUBISMO GRAFICOに入ったり、今の僕のサポートベースでもあるでしょ。実はCUBISMO GRAFICO FIVEがSHELTERでやった時に、シゲがベースで忠章さんがドラムを叩いて、僕と3人で2曲ぐらいやったんですよね。過去その1回だけですけど、その時もすげえよかった。僕が育ったインディーズ界隈のベストなドラマーとベストなベーシストだと思ってるので、それはもうずっとやりたかったんですよ。


▲acoustic live<And I'm a Rock Star TOUR extra>2017年2月14日〜28日

──2日目の“フルカワユタカはこう弾き語った”は、やはりアコギによる弾き語りですか?

フルカワ: BARKSの連載コラムタイトルをもじったものですが、このタイトルで弾き語りを何度かやってるんです。それに初の試みとしてパーカッションと鍵盤を入れます。パーカッションは最近手伝ってもらってる若いドラマーで、鍵盤はfox capture planっていうジャズフュージョン3人組のピアニスト。バカテクですよ。全曲じゃないですけど、そういうアコースティックセットみたいなものもやってみようと。

──フルカワさんの曲はメロディーのしっかりしたものが多いから、アレンジをシンプルにすることで、その骨格がより明確になりますよね。アコースティックならではの選曲ですか?

フルカワ:最近の曲がメインになると思うんですけど、ドーパン時代の曲もやりますよ。レア曲もカバーもやろうと思ってます。選曲自体は3日間で一番万遍なくなるかな。で、おっしゃるとおり、僕の作曲っていうのは“アコギ1本で説得力あるものでなければ良い曲じゃない”みたいなところが基本テーマなので。ただね、ドーパン時代はアコースティックはやらないって決めてたんですよ。

──それがアコースティックに魅力を感じるようになったのは?

フルカワ:まだないです(笑)。今年須藤くんとやった弾き語りツアーあたりから、“語れる/歌えるポイントがあるな”というのを掴んできて……ひとつ欠点があるとすると、MCで内面的なことを語りすぎちゃうんですよ、コラムに負けず劣らず(笑)。女々しさだったり本心の部分って、あのコラムにあるじゃないですか。推敲してるからそれを世の中にテキストとして出せるんだけど、もっとエグいやつがフィルターを通さず出ちゃう(笑)。

──アコースティックの空気感にはエキセントリックなトークも必須だと(笑)。

フルカワ:そうそう。ロックバンド形式のライブで内面的なことはしゃべれないですからね。きっとニューアルバムの話とか、新木場STUDIO COASTをどうしたいとか、この先どうしようと思ってるとかも話すだろうから、3日間のうちで現在と未来の部分を担うのが2日目です。3日目の“無限大ダンスタイム’17”は逆にMCが入ってこないから、対照的なものになるかもしれませんね。

──最終日の<無限大ダンスタイム’17”>は、盤石メンツのフルカワユタカバンドで、通常通りのノンストップなダンスフロアを作る?

フルカワ:そうですね。そこで使う声はMCではなく煽りだから。

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