【レポート】<Red Bull Music Festival Tokyo 2017>、<音楽摩天楼ーONGAKU MATENRO>でタワレコ渋谷店が丸ごとライブハウスに
<Red Bull Music Festival Tokyo 2017>が10月22日から開催されている。東京のユース・カルチャーの発信地=渋谷を中心に、週末/平日を問わずさまざまなイベントが用意されており、レッドブルが手掛ける日本の音楽の祭典として注目を集めている。ここでは10月28日に開催された<音楽摩天楼ーONGAKU MATENRO 渋谷音楽円盤摩天楼>(以下、音楽摩天楼)の模様をお伝えしていこう。
◆<音楽摩天楼ーONGAKU MATENRO 渋谷音楽円盤摩天楼> 関連画像
(左上から下に)▲新しい学校のリーダーズ/FEMM/FAKY/SoooGood!/加治ひとみ(以上、Keisuke Kato/Red Bull Music Festival 2017)/Michael Kaneko(Yasuharu Sasaki/Red Bull Music Festival)
<音楽摩天楼>の開催地は渋谷の音楽発信基地、タワーレコード渋谷店。B1にあるCUTUP STUDIO、4Fのイベントスペース、1Fの屋外エリア、そして屋上のSKYGARDENにて、ライブやトークショウが同時開催された。CUTUP STUDIOに出演したのはメタルコアやヘヴィロック系でも勢いのある若手バンド。なかでもメガデスやアンスラックスとも共演経験のあるHER NAME IN BLOODはタフでヘヴィなメタリック・グルーヴでフロアを圧倒したほか、日米の混合バンドJOY OPPOSITESはエモコア、スクリーモ的なストリート感覚のあるサウンドを披露。アグレッシブなサウンドから歌で聞かせるパワーバラードまで多彩なバンド・サウンドでオーディエンスを魅了してくれた。同会場にて、ヘヴィ系のラストを飾ったのは札幌出身のNOISE MAKER。タイトなバンド・アンサンブルに加えて、ヴォーカルAGのキャラクターの良さも相まって、オーディエンスの心をガッチリと掴んでいた様子が伺えた。
(左上から下に)▲NOTHING TO DECLARE/HER NAME ILOOD/Joy Opposites/Survive Said The Prophet/NOISEMAKER/HAIOKA ft YU ISHIGAKI from YANAWARABA(以上、Yasuharu Sasaki/Red Bull Music Festival)
4Fのイベントスペースでは一癖も二癖もある気鋭のアイドル・グループからトラックメイカー、シンガーソングライターなどが登場。昭和なルックスとエキゾチックなサウンドでフロアを魅了したYANAKIKU、マネキンがラップして踊るという独自ワールドを展開したFEMMに加え、インターナショナルなメンバーが集まったFAKYは、90'S J-POPからEDM〜トロピカル・ハウスといった旬のサウンドを積極的に取り入れ、ストリートや最新のトレンドといったカルチャーの目線を盛り込んだ新しいアイドル像を打ち出していた。
(左上から下に)▲夢みるアドレセンス/東京女子流/Aisha/RIRI(以上、Keisuke Kato/Red Bull Music Festival 2017)
屋上のSKYGARDENでは、モデル出身の夢見るアドレセンス、東京女子流といったアイドル勢に加えて、AISHAやRIRIといったR&Bシンガーも参戦。AISHAはバックダンサーを引きつれたゴージャスなパフォーマンスを披露。ハスキーな声と巧みの歌い回しによる存在感も抜群で、それに加えて人懐っこいキャラクターで、雨天の野外会場を盛り上げていた。現役女子高生シンガーのRIRIは有名海外のオーディションに残った実力の持ち主だけあり、まだあどけなさが残るものの、歌唱力はさすが。多くの人を引き込めるポテンシャルを感じさせるパフォーマンスを見せてくれた。同ステージのトリを飾るHAIOKAは激しくなる雨天のため、急遽CUTUP STUDIOへと移動した。Red Bull Music Academy Tokyoの卒業生でもあるHAIOKAは、映画『ZAN -ジュゴンが姿を見せるとき』のサントラで共演したYU Ishigakiをフィーチャーし、琉球歌唱と三針の音色、それにエレクトロニクスの融合を見せる。その独特な世界観に日本人だけでなく、インターナショナルなオーディエンスたちも引き込まれていた。
かけ足で紹介してきたが、全員ではないものの、音楽摩天楼に出演したアーティストのCDを購入すると、その特典でサイン会に加えて1F野外でのトークショウに参加できるというイベントもあり、ライブを見たあとにそのアーティストのCDを手にとってレジに並ぶリスナーの姿が印象に残った。アーティストのパフォーマンスを見て、作品を購入して理解を深める……というのは、ある種、アーティストとリスナーにとっての理想の関係性とも言える。音楽摩天楼は、音楽メディアが衰退する現在において、タワーレコード渋谷店を筆頭とした、日本の音楽文化の豊かさを象徴するイベントのようにも感じた。音楽やそれに付随する文化に対する思いは、このイベントに参加したアーティストやタワーレコード渋谷店が残してくれた「10年後も100年後も伝えていきたいカルチャー」に関するコメントからも見てとれる。
アーティスト&タワーレコード渋谷店店長「10年後も100年後も伝えていきたいカルチャー」
テクノロジーの進化により、現在の音楽はものすごく変わってきていると思います。その変化によって新しいジャンルが生まれたり、パソコンを使って音楽作ったり、とても便利な世の中になっています。でも、僕はこれから10年後、100年後伝えて行きたいのは“楽器を弾くカルチャー”です。これは音楽の最もルーツの部分だと思います。パソコンでライブをするのもいいけど、生でギターを弾くこと、ドラムを叩くこと、歌うこと、これが音楽のファウンデーションで、死んで行って欲しくないです。打ち込みでビートを作るのもいいけど、それによってドラム叩く人がいなくなる世の中にはなって欲しくないなと願っています。──Michael Kaneko
その時代をせいいっぱい生きる人々の想いの愛を表現者たちが切り取り、形作ろうと努力することで、『カルチャー』は生まれてきたのだと思います。そういった純粋さがいつまでも尊いものであり、あり続けることを願ってます。──HAIOKA
“手紙カルチャー”携帯やPCで簡単にいつでもやり取りできる現代社会。だからこそ日本人がずっと大切にしてきた相手に想いを伝える“手紙”を十年後も百年後も伝えていきたいと思いま鶴。──YANAKIKU
音楽が人の人生に寄り添うことのできる、パートナー的存在であり続けることを私は願います。──RIRI
◆ ◆ ◆
<音楽摩天楼>はタワーレコード渋谷店内の4カ所での開催だったが、これが普段の渋谷店内の全階の音楽ジャンルに付随したアーティストがライブをするという風に成長していったら、リスナーにとってもより貴重な経験となるだろう。いずれにせよ、音楽摩天楼自体、CUTUP STUDIO以外は入場無料であったのは大きく評価すべきポイントだ。あてもなくフラっと訪れたレコード店で、自分の知らないアーティストのライブに触れられ、気に入って音源を買う……音楽が好きな人たちにとって、こんなに素晴らしい体験はそうそうあるものではない。音楽とそのカルチャーを愛し、その価値を共有できるリスナーとアーティストが直に接せられる、それこそが<音楽摩天楼>というイベントの魅力であったと言えるだろう。
文・伊藤大輔
<レッドブル・ミュージック・フェスティバル東京2017>
会場:都内各所(渋谷・恵比寿・六本木など)
チケット:https://eplus.jp/ath/word/114863
オフィシャルサイト:http://tokyo.redbullmusicfestival.com #redbullmusic
主催:レッドブル・ミュージック・フェスティバル実行委員会
後援:一般財団法人渋谷区観光協会
*未就学児は入場不可。一部イベントは20歳未満入場不可
*実施内容は予告なく変更となる場合がございます
*会場内での出演者及びライブの撮影・録音・録画等は禁止いたします
*客席を含む、会場内のオフィシャル映像及び写真は公開されることがあります
◆<レッドブル・ミュージック・フェスティバル東京2017> オフィシャルサイト
◆<レッドブル・ミュージック・フェスティバル東京2017> BARKS内特設サイト
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