【インタビュー】DAM 11月度D-PUSH!アーティスト、あっこゴリラ「ヒップホップが苦手、怖いと思っている人に、こういうのもあるよと提示したい」

ポスト

■私は元々バンドマンでバンド・サウンドは大好きだから
■生のリズムとラップを融合させるということも超視野に入れています


――話を「ゲリラ × 向井太一[Track by PARKGOLF]」に戻しますが、この曲はちょっと“ジャングル感”がありませんか?

あっこゴリラ:全然意識していなかったけど、そうなんですよね。コラボした太一君に、後から「あっこさん、これジャングルっぽいですね」と言われて、そういえばそうだなと気づきました。だから、それは自然な結果です。3曲目の「電光石火 × 食品まつり a.k.a foodman」は、超ドープシットです。マジヤバい、この曲は(笑)。この曲でコラボした食品まつりというトラックメーカーさんは、かなり個性的な人なんですよ。作る音楽もちょっと現代音楽的なところがあったり、トリッキーだったりして、結構海外で活躍されていて。私の長年の友達でもあって、コラボレートしたら面白いんじゃないかなと思って、今回実現させました。

――「電光石火 × 食品まつり a.k.a foodman」は和風の音を使っていたりして、独自の世界観になっています。

あっこゴリラ:私のほうから日本の音色を使って欲しいとお願いしました。ベトナムのSuboiという女性ラッパーがいるんですけど、その人がベトナムの音色を使ってラップをしているのがあって、それがすごくカッコ良いんですよ。それに、私は去年アフリカに行って、いろんな国の人と関わった際に、自分が日本人であることとかもすごく再認識したというのがあって。日本人であることを誇りたいし、日本という国が好きだし、愛したいと思ったんです。その時から日本の音を使いたいという想いがあったけど、日本の音をトラックに入れると絶対にダサくなる。それを誰に頼むかとなったら、もう食品まつりさんしかいないなと思ったんです。クレイジーな人だからダサくならないと同時に、良い感じで攻めてくれるだろうというのがあって。それで、お願いしたら、もう最高にヤバいトラックを作ってくれました(笑)。


――ということは、トラックを作ってもらう時も丸投げではなくて、こうして欲しいというリクエストを出すんですね?

あっこゴリラ:もう絶対に出します。丸投げというのは基本的にないですね。私は何も分からない状態で自分でトラックを作るところから入っていて、元々あるものに乗っかるのが結構苦手で、それが得意になりたいなというところでコラボ企画を始めた部分もあったんです。でも、ここは嫌だとか、ここはこうしたいというのが、どうしても出てきちゃうんですよ。だから、もう最初から、こういう感じにして欲しいと言うようにしています。

――さすがです。「電光石火 × 食品まつり a.k.a foodman」の歌詞についても話していただけますか。

あっこゴリラ:この曲は、バスケットボールの曲です。私は小中高とバスケ部で、バスケが大好きなんですよ。だから、私の中では、男の人にはとりあえずバスパンを履いて欲しいというのがあって、もうその想いだけで書いた曲です(笑)。あとは、バスケ部の人なら分かる、バスケの応援というのがあって。そういうワードを散りばめた曲を作りたいとずっと思っていて、“電光石火”というタイトルもそこから来ています。「電光石火のオフェンス、オフェンス!」という応援があるんですよ。バスケ部なら誰でも知ってるけど、バスケ部じゃなければ誰も知らない応援(笑)。そういうリリックを、食品まつりさんが作ってくれたトラックに乗せました。ヤバいトラックに、バスケのリリックを乗せるという(笑)。もう全然チグハグみたいな感じですけど(笑)。

――いえ、そこも魅力になっています(笑)。『GREEN QUEEN』は曲調の幅広さも魅力で、先ほど話が出た「ウルトラジェンダー × 永原真夏[Track by ヒラサワンダ]」はファンク・チューンですし、「黄熱病-YELLOW FEVER- × STUTS」はブラックコンテンポラリーを思わせる洗練感を纏っています。

あっこゴリラ:私は元々ドラマーで、ドラマーというのはファンクが大好きなんですよ。だから、「ウルトラジェンダー × 永原真夏[Track by ヒラサワンダ]」みたいな曲は狙ったわけではなくて、私の中では自然です。自分の頭の中にああいうイメージが鮮明にあって、それをそのまま形にしました。

――ということは、今後は打ち込みのビートに限らず、「ウルトラジェンダー × 永原真夏[Track by ヒラサワンダ]」のように生のリズム・セクションを活かした曲などもやっていくと思って良いでしょうか?

あっこゴリラ:生のバンド形態もライブとかではしょっちゅうやっているんですけど、ちょっと難しいところがあって。ヒップホップを生のバンドでやると、ミクスチャーになってしまうんですよ。特に、ドラマーが難しい。ミクスチャーのドラムを叩けるドラマーはいっぱいいますけど、ヒップホップを叩けるドラマーは日本では少なくて。だから、そこは丁寧にやりたいなと思っています。最初は結構ノリ重視で演奏していたんですけど、気をつけないと、いなたいミクスチャーバンドに転んじゃうなというのがあったから。でも、私は元々バンドマンでバンド・サウンドは大好きだから、生のリズム・セクションとラップを融合させるということも超視野に入れています。


――独自のものが生まれそうで楽しみです。それに、幅広い曲調に合わせて表情豊かなラップや歌声を披露していることもポイントです。

あっこゴリラ:それは自然とそうなった部分が大きいけど、意識した部分もありました。ラップ歴2年とかの自分が言うのもナンですけど、ラップはすごく奥が深くて。難しいんですよ、やっぱり。今回のEPを作っていく中で、それを実感したというのはありますね。あとは、私はメロディーとかを作るのが大好きなんですけど、前作を作った時は敢えてその要素を出さなかったんです。泥の塊みたいな音源を出したかったので、メロ系は意識的にカットしたんです。今回はここぞとばかりにメロ系を入れたりしたので、それも表情の幅広さに繋がっている気はします。

――そういうスタンスも含めて、あっこゴリラさんはラップなどが苦手なリスナーとヒップホップを結ぶ存在になるような気がします。

あっこゴリラ:本当ですか? そう言ってもらえると、すごく嬉しいです。私自身も、そうなれると良いなと思っているんです。私の音楽を、ヒップホップの入り口に使って欲しい。もしくは、ヒップホップが苦手、怖いと思っている人に、こういうのもあるよと提示したい。昨日アイドルさんの現場でライブだったんですけど、“ラッパーさんだ”という感じで、お客さんに構えられたんですよ。そういう時はいつもそうですけど、「あっこゴリラが来たということは、ここはジャングルだから。ジャンルとかは一切関係ないから」と言いっています。ラッパーとか、アイドルとか関係なくて、音の鳴るままに楽しめば良いからと。私は本当に、そう思っているんですよ。ジャンルにこだわる美意識もカッコ良いですよ、もちろん。でも、脳ミソは一つだけじゃないほうがもっと豊かになれるし、楽しめるから、私はそれをやろうと思っています。

――そういう話を聞くと、すごくワクワクします。さて、『GREEN QUEEN』のリリースに合わせて、12月2日に渋谷WWWでワンマンライブも開催されますね。

あっこゴリラ:そのライブは、<ウルトラワンマン>というんです。今年は音源にしても、ライブにしても濃度を上げることにすごく集中していたんですよ。そんな2017年を総括するライブということで、メチャメチャ自信があります。ヒップホップのお堅い現場だと思わないで欲しいし、かといっておちゃらけたライブもなくて。私は“あっこゴリラ”という名前で、結構メディアにも出させていただいているので、“ああ、あのタレントの”みたいに思われることもあるんですよ。でも、ライブを観てもらえば、私が本当に音楽が好きで、楽しみつつ真剣に音楽をやっていることが分かってもらえると思います。それに、今年コラボした向井太一君とか食品まつりさん、永原真夏さん、PARKGOLFさんとかも来てくれるんですよ。とにかく、私のライブはスーパーエンターテイメントで必ず楽しんでもらえると思うので、ヒップホップやラップが好きな人に限らず、いろんな人に観て欲しいです。

――必見ですね。もう一つ、今回「GREEN QUEEN」がカラオケの第一興商が強力プッシュする11月度D-PUSH!アーティストに選ばれたということで、この曲をカラオケで歌われる方も多いと思います。

あっこゴリラ:本当に、あり難いことですよね。ラップは難しいと思われがちで、カラオケでもラップ・パートは歌わないという話をよく聞くんです。でも、実はメチャメチャ楽しいんですよ。なので、ラップに興味がある人は、まずはCDを買って、歌詞カードを見ながら一緒に歌ってみて欲しいです。そうすると楽しさが分かってもらえるだろうし、良い感じでラップができるようになると絶対病みつきになると思う。あと、私は“リズム中”なので、私のラップはヤバいです(笑)。「GREEN QUEEN」もリズム的にメチャメチャ楽しめるので、ぜひそれをカラオケで味わって欲しいです。

■『DAM CHANNEL TV』のMC Dream Amiと和やかにトーク収録


『DAM CHANNEL TV』のMCを務めるDream Amiとあっこゴリラのやり取りは、“あっこゴリラ”というアーティスト名の由来から始まった。あっこゴリラは今回のBARKSのインタビュー中にもあるように、ドラマー時代にゴリラは最強だと思って自分の名前の後ろにゴリラをつけたという話をした後、「去年、野生のゴリラに会いにアフリカに行ったんです。生のドラミングも見れて、感動しました」というエピソードも追加。話を聞いたDream Amiが発した、「それは、日本の動物園じゃダメだったんですか?」という言葉にスタジオ内に笑いが起こり、和やかな雰囲気の滑り出しとなった。

その後は、ラップをするようになったきっかけや最新音源『GREEN QUEEN』の内容、同作のレコーディングなどについてDream Amiが質問。あっこゴリラは緊張している様子もなく、普段のフランクさで話をしている。身振り、手振りを交えながら熱く音楽について話す彼女の姿を見て、“作ってる?”と思う人もいるかもしれないが、全くそんなことはない。インタビューをさせてもらった時のあっこゴリラもDream Amiと話をしている姿と何ら変わることはなかった。


『DAM CHANNEL TV』にふさわしく、カラオケにまつわる話題も出ていた。あっこゴリラは一人で練習する時はスタジオよりもカラオケに行くことが多く、練習の合間にはMISIAや美空ひばりなどの曲を歌うという話や、大勢でカラオケに行って酔った勢いに任せてみんなの前で告ったことがあるといった話を、くったくなく披露。彼女の素顔がうかがえるいろいろな話で明るく盛り上がったので、ぜひ『DAM CHANNEL TV』をチェックすることをお薦めしたい。

取材・文●村上孝之

あっこゴリラ、カラオケの第一興商が強力プッシュする11月度D-PUSH!アーティストに決定しており、「GREEN QUEEN×PARKGOLF」「ゲリラ × 向井太一」の2曲が11月1日より配信されている。また、「GREEN QUEEN×PARKGOLF」はカラオケ背景画像の本人出演映像(今だけクリップ)に11月7日から登場。さらに、カラオケ演奏の合間に放映される音楽情報コンテンツ「DAM CHANNEL」内のD-PUSH!コーナーにゲスト出演し、パーソナリティDream Amiと大爆笑のトークを楽しませてくれる。DAM express(目次本)でも、D-PUSH!ページにてインタビュー記事、アーティスト写真、ジャケット写真が掲載される。カラオケ店で、あっこゴリラと爆笑と感動の出会いをしてみよう。

リリース情報

2nd EP 「GREEN QUEEN」
発売日:2017/11/8(水)
価格:\1,500 +tax
品番:TDPCD012
レーベル:2.5D PRODUCTION
<収録曲>
1. 黄熱病 -YELLOW FEVER- × STUTS
2. ゲリラ × 向井太一[Track by PARKGOLF]
3. PETENSHI × ITSUKA (Charisma.com)[Track by OMSB]
4. 電光石火 × 食品まつり a.k.a foodman
5. ウルトラジェンダー × 永原真夏[Track by ヒラサワンダ]
6. GREEN QUEEN × PARKGOLF

ライブ・イベント情報

<ウルトラワンマン>
2017年12月2日(土)
渋谷WWW(http://www-shibuya.jp/)
東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル地下
<ゲスト>
永原真夏/向井太一/食品まつり a.k.a foodman/PARKGOLF

<鈴姫みさこ生誕イベント『はぴれぼ~みさこ生誕2017~』>
2017年11月6日(月)
代官山UNIT(http://www.unit-tokyo.com/)
東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 ザ・ハウスビル
<出演>
バンドじゃないもん!/あっこゴリラ/ちばものがかり(a.k.a神聖かまってちゃん) and more...

<R-Festa Next vol.2>
2017年11月17日(金)
SPACE ODD(http://www.spaceodd.jp/)
東京都渋谷区猿楽町2-11 氷川ビルB1,B2
<出演者>
サイプレス上野とロベルト吉野/JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB/あっこゴリラ/chelmico/HIYADAM/JP THE WAVY/MGF/SUSHI BOYS/シシオドシ/MACK JACK/DOS MONOS/ASOBO iSM and more...

<GEEKS AND FREAKS>
2017年11月19日(日)
心斎橋CONPASS(http://www.conpass.jp/)
大阪市中央区東心斎橋1-12-20 心斎橋ダイワビルB1F
<出演>
【LIVE】
AFRICA/プププランド/あっこゴリラ/imai(group_inou)
【DJ】
KiM/Banchan
【LivePaint】
透明回線

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報