【インタビュー】KNOCK OUT MONKEY、2年半ぶりアルバムは「アッパー過ぎて"大丈夫？"みたいな（笑）」

■今まで以上にロック感が増している
■あまりに激しくて死ぬかと思いました（笑）

w-shun：『HELIX』のボーカルレコーディングに関しては、僕は毎回そうですけど、できるだけ早く録り終えたい派なんですよ。なので、いつも地元 神戸で仮歌を録って準備したり。今回のパワーコーラス部分は神戸の町スタにレコーディング環境を作って、そこで録ったものから使えるものは活かしました。そういうふうに、いかに歌録りの時間を短くするか、今回もそこを一番重視しました（笑）。

──実際、ボーカルレコーディングは早かったんですね。

w-shun：最近はレコーディング時、この曲の歌はこういうふうに、みたいなことを考えなくて。細かいことに気を遣って歌うといいテイクが録れなかったりするんですよ。ノッて歌わないとダメ。だから、それぞれの曲でモードだけしっかり作って、気持ちをそこへ持っていくようにしているんです。ボーカルレコーディングはストレスが全くなかったし、サクッと終わりましたよ。

──すごくパワフルでいながら、“泣き”や抒情性を表現している歌唱もさすがです。

w-shun：自分のクセが分かってきたこともあって。たとえば、こういう時はこういうフェイクで、みたいなことがすごく分かってきたんです。歌詞と歌い方がリンクしていないと気持ちよくないじゃないですか。だから、歌詞を書いた時点で歌のニュアンスが、わりとはっきり分かるんです。ボーカルレコーディングはそこにいけるかどうか。“泣き”に入れるかどうか。そういう意味でモードがすごく大事なんです。

▲ナオミチ（Dr）

──『HELIX』は、それぞれが意識したことの全てが良い結果を呼んだアルバムといえますね。レコーディング中に強く印象に残った出来事などはありましたか？

ナオミチ：僕は今回のレコーディング中、遊びまくりました。

w-shun：音楽的な意味じゃなくてね（笑）。

ナオミチ：そうそう、文字通り遊んだ（笑）。ドラムレコーディングのために東京に1週間滞在したんですけど、毎日朝まで飲みました。で、睡眠時間2時間くらいでレコーディングするという（笑）。ところが、それが全然しんどくなくてドラムレコーディングは結構早く終わったんですよ。録りをさっさと終わらせて毎夜飲みにいく、みたいな（笑）。

dEnkA：キテるなー、ロックンローラーやなー（笑）。

ナオミチ：地元に帰ってから疲れが一気に出ましたけど（笑）。

亜太：そりゃそうだろ（笑）。僕も今回のレコーディングは調子が良くて1日に6曲録ったんです。1日分のノルマを録り切ったところで、テクニシャンとかが「あと1曲いけるんじゃない？　それ録って地元に帰れよ」と言うので、もう1曲録ることにしたんですけど、ギリで終電に間に合わなかったという（笑）。さすがに最後のほうは腕をアイシングしながら弾きましたね。ただ、6曲を一気に録ることができたことも、この作品のライブ感に繋がったと思います。

ナオミチ：ドラムも同じやと思う。

w-shun：身を削って録ったという意味では、同じだよな（笑）。

dEnkA：「Dog」の最初のギターはw-shunが弾いたよね？

w-shun：そう。8年ぶりくらいにギターレコーディングをしました（笑）。頭のリフだけ弾いたんですけど、“こんなに緊張するんや”と（笑）。リフ自体は僕が家で鼻歌交じりに考えた手グセフレーズなので、デモ制作時は1テイクだったんですよ。にもかかわらず、レコーディングでは何テイクも弾いたという（笑）。

dEnkA：緊張して、手がプルプルしていました（笑）。

一同：ははは!!

▲＜KNOCK OUT MONEKY TOUR 2017 “HELIX”＞ @2017.6.4＠渋谷クラブクアトロ

──さて、現在のKNOCK OUT MONKEYは7月にアルバム『HELIX』のリリースがありつつ、それを挟むように5月から12月9日までツアーが続いています。ここまでの手応えはいかがですか？

w-shun：僕はさっき話したように、いい意味でフラットにライブへ臨めるようになっているんです。12月9日がツアーファイナルですけど、そもそもホンマにその時まで自分が音楽ができているかどうかなんて、保証がないじゃないですか。だから先のことを考えて演っていない。自分の身体があって、メンバーがいて、いつも通りブワッ！とライブして、終わったら次の土地に移動する。ただそれだけです。

──いつも全力でライブに臨むだけだと。

w-shun：リリース作品のセールスとか集客に頭がガチガチになって、よく分からないライブになってしまうのは絶対に嫌なんですよ。自分がやりたいことを精一杯やる、そういう瞬間を見せたい。それこそお客さんに一番伝わると思うし、1本1本のライブを全力でやっていけば、未来に繋がっていくだろうし、ファイナルでもいいライブができると思うんです。その頃にはいい感じの曲もできているだろうから、今は本当にバンドが楽しいです。

dEnkA：今日現在、ツアーの3本目までが終了したところですけど、1本1本、今まで以上にロック感が増しているという手応えがあります。一昨日もライブがあったんですけど、あまりにも激しくて死ぬかと思いました（笑）。

w-shun：dEnkAは、このツアーからアンプの上にジャックダニエル（テネシーウイスキー）を置いているんですよ（笑）。

dEnkA：今回のツアーから飲酒してます。ハードロックといえばジャックダニエル。10数年前は飲みながらライブしていたんですよ。KNOCK OUT MONKEY加入時の条件が“ライブ中に酒を飲まないこと”だったんですが、それがようやく解禁になりました（笑）。

──なぜお酒を？

dEnkA：今回のツアーから意識を変えたかったんです。去年辺りから“しっかりと間違えずに”という気持ちを越えたところでライブができるようになって、その上で今年はもっとロックしたい。ジャックダニエルを飲むというのは、その象徴的なことで、今のツアーは“すべての面においてロックする”ということを意識してステージに立っています。

ナオミチ：ツアーではフロントの3人が血走っていることが多々あって。その時の僕はニヤニヤしながらドラムを叩いているので、そこが見どころ（笑）。ドンと構えるようになったんですよね。この前の大阪でのライブではギターの音が鳴らなくなるトラブルもあったけど、“なんとかしなきゃ”って動じるようなことは一切なかったんです。それは、KNOCK OUT MONKEYというバンドに絶対的な自信を持てるようになったからで。今回のツアーではより強く、より大きくなったKNOCK OUT MONKEYを見てもらえると思います。

亜太：自分達が思うKNOCK OUT MONKEYらしさを表現し切れている。そのことが今回のツアーではより感じられています。今はバンドの空気感も昔より一層よくなっているんですよ。真摯に向き合っている部分と、肩の力が抜けている部分のバランスが取れている。だから、ぜひ今のKNOCK OUT MONKEYを見てほしいんです。いいバンドだなと思ってもらえる自信があります。

取材・文◎村上孝之
撮影◎岸田哲平（ライブ）








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