【レポート】マキシマム ザ ホルモン、復活ツアー完遂「あの、何か変わったと思いません?」
マキシマム ザ ホルモン、全13本の<耳噛じる真打ちTOUR>の追加公演にしてファイナル、2年前のライブ活動休止ツアーのセミファイナル(2015年5月27日)と同じ新木場スタジオコースト。ナヲちゃんの妊活のための休止を終え、2年ぶりにホルモンがライブ活動を再開しますよ、というツアーであると同時に、タイトルどおり、2015年11月リリースの大問題(主に)映像作品『Deka Vs Deka ~デカ対デカ~』に封入された、ファースト・アルバムの再レコーディング作品『耳噛じる 真打』のリリース・ツアーという側面もあり。
◆マキシマム ザ ホルモン 画像
「ホルモンは2年前に休んで、俺たちは2年前に復活した。2年前の休止ライブをメンバーみんなでここに観に来た。2年間休んでたホルモンと、2年間走り続けて来た俺たちと、どっちがかっこいいか勝負しに来ました!」
というMCどおりの超高温なステージを見せた、ゲストのHEY-SMITH。そのおかげで既にあったまり放題あったまった、どれくらいあったまったかというと、最初のMCでナヲちゃんが思わず「新木場! やるやないかあー!!」と叫んだり、「何? もう仕上がってんの?」と問うたりするくらいあったまったオーディエンスの前で、転換中閉められていたステージの幕が開く。すると、ステージ中央にはでっかい炊飯ジャー(の書割)が。そしてアニメ『北斗の拳』のナレーションのあの声で、ホルモンは2年間この中に封印されていたことが語られ始め……。
という最初の演出や、途中でダイスケはんがキャノン砲でフロアにかまど(彼の地元香川の銘菓)を打ち込み、それを拾ったお客に「今すぐ食べなさい! ひと口やで! ノードリンクで!」と強要したり、というようなライブ中の具体的な出来事、及び公式ツイッターで告知されていた『腹ペココミュ障克服計画「騎馬OF DEATH」』が終演後に行われたことなどに関しては、ホルモンの公式サイトにアップされた「ツアー終了報告」や、音楽サイトなどですでに報じられているので、細かく追うのはやめます。で。2年前にここ新木場スタジオコーストの休止ライブを観た自分にとって、この<耳噛じる真打ちTOUR>ファイナルが、どう感じられたかについて書きます。
2年前よりすごくなってる。
休んでたのに。「衰えなし」とか「元のまま」とかならまだわかるが、「すごくなってる」ってどういうことだ!?
と、まず混乱した。ただし、観ているうちに、その「すごくなってる」が、精神的な変化とかバンドとしてのマインドとかいうような抽象的なものではなくて、もっと具体的なものであることがわかり始めた。耳と目に入って来る情報によって。2年休んで戻って来る時に、「健在」じゃあしょうがない。前とは違う、前よりもすごいものを見せなければいけない。そこで精神論に走るのではなくて、自分たちのライブのやりかたを細かく再検証して、改善の余地があるところを洗い出して、それらをひとつずつ修正していく──という、小さなレベルアップを物理的に積み重ねることで、それらの総量として「すごくなってる」を達成することを目指した。
のかどうかは、知らない。僕の推測でしかないし、曲のアレンジそのものから作り変えるというような大幅なモデルチェンジはされていなかった。いなかったが、たとえば「この曲のこの部分のギターの音、本当にこれでいいのか? エフェクターの目盛りやPA卓のEQ、本当にこれでベストなのか? もっとグッとくる音があるんじゃないか?」というようなことを、改めて行ったのではないか。という感触はあった。以前より心なしかクリーン・トーンを使うことが増えた気がするマキシマムザ亮君然り。スラップしてると思って手元を見たら普通に指弾きだったりする、そんなすさまじい音を出している上ちゃん然り。ローとハイのコントラストがいっそうくっきりした、よってソリッドになったナヲちゃんのプレイ然り。ダイスケはんはもっとわかりやすく、「爪爪爪」でパーカッション(フロアタム)を叩いたり、「平成ストロベリーバイブ」でシンセを弾いたりしている。
7曲目の「アバラ・ボブ〈アバラ・カプセル・マーケッボブ〉」は、AA=の上田剛士がプログラミングで加わったニュー・バージョンだが、これ以外にも同期を使っている曲があった。さらにわかりやすかったのが、演出の変化。フェスやイベントを除くと、オールスタンディングのライブハウスでしかスケジュール切らないし、セットを組んだりもしないので、ステージには楽器とアンプとモニターがあるだけ。というのは今回も同じだったが、ただし、照明の進化が目覚ましかった。具体的に言うと、ムーヴィングやスポットと色の使い方。前回までのツアーよりも、ライトを仕込んだ量、段違いに多いのではないかと思う。そういえば、最後のMCでスタッフやお客さんに感謝の言葉を伝える時に、ダイスケはんが、今回はこれまでにないくらい大人数のスタッフで回ったツアーだった、と言っていた。
と書いていくと、ひとつひとつは細かい変化だということがわかるが、その改善をいくつも同時に行うことで、はっきりと「すごくなった」ライブ。プレイ自体がすごいとか、パフォーマンスが超気合い入ってるとかいうのは、ただの前提。それをやった上で、さらに何をどう積み重ねてグレードアップするかを目指し、そして達成したツアーだった、ということだ。特に──くり返しになるが──各メンバーの音の進化に耳を奪われた。ギターもベースもドラムも声も……ピッチャーの球、同じ速球でも「重い球」と「軽い球」があるって言いますよね。ボクシングのパンチも、同じくらい速くても「重いパンチ」と「軽いパンチ」があると。というのでたとえると、どの音も「速くて重い」それに生まれ変わった気がした。
なお、亮君が痩せて健康になった(そうしないと本当にヤバいと医者に言われたらしい)のは1年以上前からだが、上ちゃんは金髪2ブロックオールバックにチェンジしていた。あと、このツアー初日から眉毛を剃ったそうです。誰にも気づかれなくて、2本目の時にメンバーに「あの、何か変わったと思いません?」と自ら申告したそうです、ダイスケはんのMCによると。そのダイスケはんは、ツイッターでも予告されていたように「津田製麺所」のうどん箱を積み重ねたお立ち台を導入。そしてナヲちゃんは……後半のMCで、自らおっしゃっていました。
「このツアー13本目ですが、見ていただけばわかるとおり、秒単位で太ってます!」
「弟が痩せた分、肉がこっちに!」
だそうです。ボクサーのパンチ、階級が上になればなるほど重くなるものですが、ドラムの音もそうなのかもしれません。いずれにせよ、自ら言うのがホルモン。さらに信頼が増しました、このバンドへの。
取材・文◎兵庫慎司
撮影◎Kazushi Hamano/Julen Photo
■『マキシマム ザ ホルモン ライブ復活記念旧譜キャンペーン』
▼ALBUM
ロッキンポ殺し (VPCC-81507)
ぶっ生き返す (VPCC-81558)
予襲復讐 (VPCC-81770)
▼DVD
Debu Vs Debu~デブ対デブ~ (VPBQ-19027)
Deco Vs Deco~デコ対デコ~ (VPBQ-19050)
Deka Vs Deka~デカ対デカ~ (VPBQ-19093)
【旧譜拡売特典:マキシマム ザ ホルモン オリジナル リフレクターバンド】
TOWER RECORDSオリジナルデザイン
TSUTAYAオリジナルデザイン
HMVオリジナルデザイン
上記以外のCDショップ用オリジナルデザイン
※特典は先着順でのプレゼントとなっております。なくなり次第終了となります。
※一部お取り扱いの無い店舗及びオンラインショップもございますので、詳細は各店舗へご確認下さいますようお願い致します。
※対象のオンラインショップは7月1日(土)正午12時より販売開始になります。
※実施店舗詳細等はバンドオフィシャルホームページまで。
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