【インタビュー】ホワイル・シー・スリープス「これまでで最も成熟した作品」
イギリス・シェフィールドを拠点とする気鋭のメタルコア・バンド:ホワイル・シー・スリープスが、前作『ブレインウォッシュト』よりおよそ2年ぶりとなる3rdフルレンス『ユー・アー・ウィ』を発表した。
◆ホワイル・シー・スリープス映像、画像
CROSSFAITHが主宰したイベント<ACROSS THE FUTURE>に参加し2014年に初来日公演を行なった彼らだが、何のてらいもなくファンを“何より大切な存在”と呼ぶ彼ららしく、今回もアルバムにはライブの現場で大合唱を巻き起こしそうな、エモーショナルでダイナミックでメランコリックな楽曲がたっぷり並べられている。レコーディングの最中に例のブレグジット(欧州連合からのイギリス脱退)が決定したそうで、取材に応じてくれたアラン・マッケンジー(B)とローレンス・テイラー(Vo)のふたりは、そのあたりの影響も認めながらニュー・アルバムについて語ってくれた。
――新作『ユー・アー・ウィ』は、ホワイル・シー・スリープスがバンドとしてさらに成熟したこと、そして音楽的にさらに洗練されたことをはっきりと窺わせる充実の仕上がりですね。あなた達自身、今回はどのようなアルバムになったと感じていますか?
アラン・マッケンジー:一言で言うのは難しいけど、これまでで最も成熟したアルバムということにはなるだろうね。仕上がりには俺達もとても満足しているよ。
――バンドとして事前に考えていたことや具体的なビジョンなどはありましたか?
アラン・マッケンジー:スタジオに入った時は、特にビジョンみたいなものは持っていなかった。ただ曲を書いて、出てきたものをやったという感じだった。でも、世界情勢の影響はあったよ。俺達の国の政治情勢やなんかの影響はね。例えばブレグジットとかさ。ちょうどレコーディングをしていた時にイギリスがEUから離脱するというのが決まったから、歌詞にはかなり影響があった。もちろん前のアルバムを超えるという目標はあったし、それはまあいつも同じだけど、俺達自身、バンドにとって最もビッグなアルバムを作る必要がまだあるというのはわかっていたと思うし、それは達成できたんじゃないかと俺自身は感じている。今回は俺達が作ってきたレコードの中でも最も話題になっているようだしね。素晴らしいことだよ。
――歌詞と言えば、このアルバムのいくつかの歌詞の中、あるいは「エンパイア・オブ・サイレンス」や「サイレンス・スピークス」といった曲名などにも“サイレンス(沈黙、静寂)”という言葉が使われています。この言葉には何か象徴的な意味が与えられていたりするのでしょうか? あるいは歌詞の面で重要なテーマになっているとか?
ローレンス・テイラー:例えば、ブレグジットを決めた投票システムでは、自分が正しいと信じている方に印を付けるわけだけど、そういうのは自分に直接関係があるかどうかでかなり意味が変わってくる。もしそれが自分達の目の前にある問題だったとしたら、はたして同じ選択をしただろうか? 「サイレンス・スピークス」というのはつまり、沈黙している多くの人達はブレグジットに賛成票を投じたわけではない、ということなんだよ。特に俺達のようなバンドにとっては、EUを離れる利点なんかまったくない。俺達はツアーをするバンドだからね。ヨーロッパのあちこちへ行くし、人々の間に壁を作るよりみんなで団結する方が遥かに意味があるんだ。だからここでは俺達なりに、自分達ではコントロールできない状況を描写してみた。大勢が沈黙しているけど、沈黙というのは弱さしか示していないんじゃないか、というようなね。
――過去のアルバムや楽曲のタイトル、歌詞なども、あなた達の言葉遣いはかなり比喩的だったり示唆的だったりします。そのあたりは意識的なのでしょうか?
ローレンス・テイラー:常に意識しているわけではないけど、詩的な書き方になっていることは間違いないよ。俺達の歌詞が、聴いた人それぞれの解釈を生み出すための刺激になってくれることを期待して、直接的な表現をしないようにすることはある。歌詞をどう受け止めるか、それについてどう考えるか、人によって異なるのは当然のことだ。このバンドの中でだって、マット(ウェルシュ/G,Vo)やショーン(ロング/G、Vo)やアランが、俺自身が考えてもいなかったような歌詞の解釈を話してくれることがある。そういうことができるように、これからも詩的な書き方を続けて、さまざまな解釈ができるようにしておきたいね。
――なるほど、よくわかります。新作に伴うツアーの予定はありますか?
ローレンス・テイラー:もちろんできるだけたくさんの人達にこのアルバムを聴いてもらいたいと思っているから、今度のツアーは俺達にとっても大規模なものになると思う。でも、何より大切なのは俺達のことを大切に思ってくれている人達さ。ファンがいなければ、このバンドの存在なんか意味がない。だから俺達のことを気に掛けてくれている人達がいるところには必ず行って、ファンのみんなによろこんでもらえるようにすることが重要なんだ。俺達がファンのことを気に掛けていないとか、誰にもそんな風には感じてもらいたくない。そのために俺達はベストを尽くすよ。俺達自身のためにも、ファンのためにもね。
――最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか?
ローレンス・テイラー:これまでずっと俺達をサポートしてくれていることを、とてもありがたく思っているよ。新しいアルバムも、これまでに出した2枚のアルバムと同じようにチェックしてくれたらうれしいな。日本にもファンがいてくれるなんてすごいことだよ。本当にどうもありがとう。俺自身にとっても、バンドにとっても、すごく意味のあることだからね。
取材・文:山口勝正
ホワイル・シー・スリープス『ユー・アー・ウィ』
【通販限定 直筆サインカード付きCD+Tシャツ】¥6,000+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.ユー・アー・ウィ
2.スティール・ザ・サン
3.フィール
4.エンパイア・オブ・サイレンス
5.ワイド・アウェイク
6.サイレンス・スピークス feat.オリヴァー・サイクス [ブリング・ミー・ザ・ホライズン]
7.セトル・ダウン・ソサイエティ
8.ハリケーン
9.リヴォルト
10.シヴィル・アイソレイション
11.イン・アナザー・ナウ
◆ホワイル・シー・スリープス『ユー・アー・ウィ』オフィシャル・ページ