【インタビュー】NoGoD「ガキっぽいのも良いと思うけど、もうそれだけでは楽しめないんですよね(笑)」
2015年に結成10周年を迎えた後、次の10年に向けて新たな歩みを刻み始めたNoGoD。4月21日に発売される彼らの新曲「Missing」は、力強さと抒情性を兼ね備えたドラマチックな味わいのバラード・チューンとなった。「Missing」は楽曲的に新境地であることに加えて、彼らにしてはストレートなアプローチが採られていることが興味深い。カップリングも含めてNoGoDが変わりつつあることを感じさせる新作についてメンバーに話を聞いたところ、現在の彼らのあり方が如実に見えてきた。
◆NoGoD~画像~
■何か違うものがやりたくなってラヴソングを書きたいなと思ったんです
■激しい曲で力強い言葉や言い放つような言葉を乗せる作業に疲れてしまって(笑)
――新しいシングルの制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?
団長:制作を始めるにあたって、テーマやコンセプトなどはなくて。今回は、とにかくシングル用の曲を作ろうというところから始まりました。
Kyrie:本当に、そういう感じでしたね。NoGoDは、ここ最近シングルのリリースということをずっとしていなくて。シングルを出さないことに特に理由があるわけじゃないけど、僕らはアルバムありきで作品を作っていて、その中からシングルカットするケースが多いんですね。そうじゃなくて、シングル単体でリリースする時……前作の「神髄-FRONTIER-」と「神髄-THE POWER-」がまさにそうでしたが、そういう時はアルバムとは全くの別の作品として展開することが多いんです。僕らはアルバムを軸に考えているので、そういうあり方ならシングルのリリースはなくても構わないという気持ちでいたんですけど、いろんな人にNoGoDを目にしていただく一つのフォーマットとしてシングルというものがあって。そこに、もう一度NoGoDとしてアプローチしてみようということで、今回の制作は始まりました。だから、曲を作るにあたって意識したのは、NoGoDというものを分かりやすく伝えられるものを作ろうということでした。
――そういうことを考えて何曲か作ったんですか? それとも表題曲の「Missing」を決め打ちで?
Kyrie:何曲か作りました。今回のカップリングに入っている「不完全肯定論」みたいに、リフ物でわりと激しくて、そういう中で歌メロがしっかりしているものを、わりと多めに書いたんです。それに、今回は曲を作ってストックしていくと同時に、より曲のイメージをみんなに伝えやすいように、自分で歌詞も書いていったんです。そうすると、1曲に対して使うエネルギーも大きくなるし、結構お腹いっぱいになってしまって。そうやって激しいものは自分の中で出し切ったから、何か違うものがやりたくなって。その時に、ラヴソングを書きたいなと思ったんです。激しい曲を作って、そこに力強い言葉だったり、言い放つような言葉とかを乗せる作業に疲れてしまって(笑)。もうちょっと自分の内側に向いているようなものが書きたくなって、最後にポッと書いたのが表題の「Missing」です。
K:「Missing」は、また新しいNoGoDを感じてもらえる曲になったと思いますね。あとは、この曲は多分初めてじゃないかなというくらい、自分が思っていたグルーヴと違っていたというか。6/8拍子のバラード感のある曲ということで、すごく後ろのほうにギュウーッと引っ張るようなタイム感が合う気がしていたけど、それは違っていて。かといってアッサリいくわけでもなくて、その中間の一番良いところを見つけるのに苦労しました。それに、この曲は遅い2バスも出てくるんですよ。一番いやらしい速さの2バス(笑)。でも、それが頭の中で鳴ってしまったので、やることにしました。そういうことも含めて、「Missing」のドラムはいろいろ我慢した印象がありますね。この曲はKyrieさんから、あまりうるさくないようにしようというオーダーがあって。何も言われずに叩いていたら、もっといろんなことをしたうるさいドラムになっていた気がする。そこを我慢したことで、すごく良いところに落とし込めたかなと思います。
華凛:最近の僕は、シンプル・イズ・ベストだなと考えるようになっていて。昔だったら、やれテクニカルだとか、やれ細かいフレージングだとかといったことをやりたがる自分がいたけど、ベースはどっしり行くべきなんじゃないかなと思って。それに、去年くらいからルート弾きの大切さやカッコ良さ、奥の深さといったことも感じるようになって、最近はすごくその探究をしているんです。そこに、ちょうど「Missing」というテクニックというよりは、いかにどっしり弾くかということが課題になる曲が出てきて。この曲は、どれだけ1音1音に魂を込められるかということをテーマにして取り組みました。それに、たまたま他のバンドさんのデモを聴く機会があったんですけど、みんなMIDIでベースをスライドさせているんですよね。それを聴いて、ベースはスライドが求められているのかなと思ったし、Kyrieが作った「Missing」のデモもサビにいく直前にスライドが入っていたんです。なので、そのスライドにこだわって、何フレット分動かすのかとか、スライドさせる速さとかを細かく決め込みました。そういう風に、シンプルなものをどこまでカッコ良く見せられるかということに、こだわったベースになっています。
Shinno:「Missing」のデモを聴いた時に、僕の中では女性シンガーが歌うJ-POPというようなイメージだったんです。それで、そういう方向性のギターが合うかなという印象を勝手に受けて。Kyrieが作ったデモにはちゃんと構築されたギターが入っていて、その中では僕のパートはコード・バッキングになっていたんですよ。それで、デモを聴いた時に普通にコード・バッキングをするだけじゃ面白くないけど手を加える感じでもなかったから、どうしようかなと思って。それで、今までやっていないことをやろうと考えて、カポを付けて弾くことにしました。1、2弦の開放音を混ぜたコード・ストロークをすると良い感じの響きになるけど、そのためには1フレットにカポを付ける必要があったんです。開放音が混ざったコードをジャラジャラ弾くことでJ-POPっぽさを醸し出せたんじゃないかなと思うし、そういうアプローチを採ることで楽曲に自分のテイストを加えられて満足しています。
Kyrie:ギターのアプローチや音色についてShinnoと二人でいろいろ話をして、結果的にほぼほぼデモのままでいくことになったんですよ。なので、Shinnoは自分らしさを出しつつ、すごく良い形で楽曲を色づけてくれたなと思いますね。そういう流れだったので、自分のパートは曲を作った時にイメージしたものが、そのまま活かされています。
――エモーショナルなギター・ソロも聴きどころです。
Kyrie:ギター・ソロは、ここまでリズムを緩くしたのは初めてかもしれない。NoGoDというバンドは歌も含めてリズムの縦のラインを揃えることを意識していて、基本的に前後しないんです。でも、「Missing」のソロはタメを効かせたり、敢えてリズムに乗っからないように弾いたりしました。それで、エモーショナルだと言ってもらえるソロになったんだと思います。
団長:この曲のギター・ソロは、すごく歌っているよね。歌に関しては、シングルで僕が歌詞を書かない曲というのは、実は今回が初めてなんです。それに、こういうバラードは今まで歌ったこともなかったんですよね。なので、歌に関しては、噛み砕く作業から入りました。フル尺のデモにKyrieが歌った仮歌が入っていて、歌詞も全部付いている状態だったんです。でも、Kyrieの歌う歌は歌詞の内容を表現し切れていないことを感じて、それは何だろうと考えて、自分の中でサルベージしていきました。そこで、Kyrieにどういうメッセージなのかは、敢えて聞かなかったんです。聞いたとしてもKyrieがイメージしているものと全く同じにはならなくて、自分ががんばって汲み取ったものを自分の中でブーストして出すしかないから。だから、歌詞の解釈はKyrieの本当のピュアなものとは違っていると思う。冒頭でKyrieはラヴソングと言ったけど、僕はラヴソングとは捉えていなくて。どっちかというと自分に対する無力感……“内なる叫び”を描いていて、そこをどうやってブーストするかということを考えて歌録りに臨みました。あとは、キーがそれほど高くないので、いつもほど歌が“スコーン!”と抜けないんですよ。声がわりとバンドに馴染むキーで歌っているので、そこでどうやって輪郭を出すか、どういうニュアンスで歌うかといったことも意識しました。
――Kさんが話した通り、「Missing」はNoGoDの新しい魅力を味わえる1曲に仕上がっています。
団長:そう、メチャクチャ新しいんです。楽曲的にもそうだし、それぞれのプレイも今までのNoGoDとは違っていて。ストレートなものをニュアンスで聴かせるというアプローチになっていて、これはバンドが10周年を超えたからこそ出来るようになったものという気がしますね。
Kyrie:大人になっちゃいました(笑)。ガキっぽいのも良いなと思うけど、もうそれだけでは楽しめないんですよね。
――バンドがまた一つ上のステージに入って来たことを感じます。「Missing」の歌詞についても話していただけますか。
Kyrie:「Missing」は、実は僕の中でもラヴソングにはならなくて。もっと幅広く捉えられるようなものになっています。歌詞の解釈の幅が広ければ広いほど、より多くの人に受け入れてもらえると思うから。春という季節柄いろんな出会いや別れがあるでしょうし、聴いてくれた人がそれぞれの想いを重ね合わせて聴いていただければと思います。
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