【ライブレポート】SWANKY DANK、並外れた爆発力とエモーションでファンを圧倒したライブ@O-EAST

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2016年8月にミニ・アルバム『it is WHAT it is』をリリースし、9月からアルバム・タイトルを冠した47都道府県ツアーへと旅立ったSWANKY DANK。彼らにとって初の経験となった全国制覇ツアーのファイナル公演が、渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された。メンバー4人がガチで向き合い、自分達の音楽と対峙し、毎晩のようにステージに立ち、各地のファンと接するという、まさに“バンド漬け”の4ヶ月を経てSWANKY DANKがさらなる進化を遂げたことは想像に難くない。期待に胸を弾ませてTSUTAYA O-EASTに向かったところ、会場には今回のツアーでステージを共にしたバンドも多数集まり、賑やかな空気の中でのライブとなった。

◆SWANKY DANK~画像~

暗転した場内にミディアム・テンポのオープニングSEが流れ、客席から手拍子が起こる中、ステージにメンバー達が登場。オーディエンスがあげる歓声を圧するように、「渋谷ぁー! いこうぜ!」というKOJIの声が響き、ライブはパワフル&ドラマチックな「WIMP」から始まった。オープニングから激しいステージングを展開しつつキレの良さが心地よい爆音を轟かせるSWANKY DANKと、早くも熱いリアクションを見せるオーディエンス。場内のボルテージは一気に高まり、ライブは上々の滑り出しとなった。



その後は、「思い切り声を出して、思い切り飛んで、楽しんでいきましょう! お前達の好きなようにかかって来いよ! バカヤロー!!」というKOJIのアジテーションも交えながら「number」や「One sided」、ゲスト・ボーカルにCrystal LakeのRyoを迎えて演奏された「Monster」などを相次いでプレイ。ライブが進むに連れてどんどん熱気が高まっていく流れは観応えがあるし、キャッチーなメロディーと力強くドライブするサウンドを活かした楽曲は気持ちを駆り立てるパワーに溢れている。SWANKY DANKのライブ映えは抜群で、強くステージに惹きつけられた。



セカンド・ブロックに入ってもテンションが下がることはなく、メロディアスな「music」や導入部のコール&レスポンスで客席を大いに湧かせた「BELIEVE IN MYSELF」、アッパーな「In the end」などがアクセル全開状態で演奏された。勢いを保って突き進む彼らの突進力もさることながら、客席の熱さにも圧倒される。クラウドサーフやサークルピットを繰り返し、拳を振り上げ、大合唱を湧き起こすオーディエンスの姿からは、彼らのSWANKY DANKに対する深い愛情が感じられた。“客の熱さ”は、SWANKY DANKと、彼らのファン自身が誇れる大きな要素といえる。


9曲聴かせたところで、「4ヶ月前に始まった、47都道府県ツアー。いや、長かった。今日で50本目ですよ。今日がファイナルということで、今日ここで死んでも良いくらいのライブをします。よろしく」と、KOJIが改めて挨拶。続けて「ワンマンだから、普段やらないような曲もやっていいかな? 東京で初めてやります」という言葉と共に、翳りを帯びた世界観をフィーチュアした「FROM ME」を披露。さらに、エモーショナルなスロー・チューンの「一つになる心」が演奏された。アッパーなライブの中で、こういった楽曲をしっかり聴かせる辺りも実に見事。この2曲は本当に聴き応えがあって、この時ばかりはオーディエンスも静まり返って聴き入っていた。抒情的なSWANKY DANKは単なるライブのチェンジ・オブ・ペースなどではなく、彼らの大きな魅力であることを強く感じさせた中盤だった。


煌びやかな「BAD GIRL」で幕を開けたライブ後半では、洗練されたパンク感が光る「TIME」やオーディエンスが40秒間に亘って(つまり1曲通して)サークルピットを敢行した超高速チューンの「Promise」などが畳み掛けるように演奏された。再びアグレッシブ・モードにシフトしたメンバー達は激しいステージングを見せつつ、ソリッドなサウンドを紡いでいく。ライブ後半になってもパワーダウンすることなく、安定したピッチのボーカルとタイトなサウンドを聴かせるのはさすがの一言。笑顔を浮かべて演奏するメンバー達を見て、彼らの並外れた持久力にも圧倒された。


YUICHIが客席にダイブした「Listen to the Radio」や大合唱が湧き上がった「Sink Like a Stone」などを聴かせた後、本編の締め括りとして煌びやかな「MADE A MESS」をプレイ。バンドとオーディエンスが全力でいきあげる完全燃焼系のライブでいながら、荒れた雰囲気にならないこともSWANKY DANKのライブの特色といえる。メンバーがステージから去っていった後のTSUTAYA O-EASTの場内が、爽やかな余韻に包まれていることが印象的だった。


初の47都道府県ツアーを経験して、バンド感や各自のプレイ、サウンド・メイク、ステージ・パフォーマンス、ライブ運びといった、あらゆる面に一層の磨きが掛かったことを証明してみせたSWANKY DANK。ロング・ツアーのファイナルながら“終わってしまう…”というような雰囲気は微塵もなく、むしろ新章の幕開けを感じさせたことも注目といえる。今年結成10周年を迎えるバンドでいながら新鮮さを失わないバンドだけに、今後も彼らは強い輝きを発し続けるに違いない。それを、確信させられたライブだった。

取材・文●村上孝之
写真●Takashi“TAKA”Konuma


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