【インタビュー】なぜ水曜日のカンパネラは絶対的オリジナリティーを放つのか？ コムアイ＆ケンモチヒデフミの思考回路を探る

■ 最初はね、「武道館、だっせー」とか思ってたんですよ

── さて、3月8日に行われる＜水曜日のカンパネラ　日本武道館公演〜八角宇宙〜＞について。

コムアイ：（取材時点では）まだ何も決まってないんですよねー。

ケンモチ：だいたいいつも、間に合わなくなるのが目に見えてるんです（笑）。

── 水カンの詞に習ってウンチクすると、武道館は法隆寺夢殿の八角形と富士山のスロープを合体させた建物なのだとか。

コムアイ：やっぱり武道館って不思議ですよね。だいたい皇居の内堀のさらに中をみんなが通ってライヴに行く、という立地自体が不思議。私、そういう場所のゆえんを大切にしたいんですよね。そこは気付かれなくてもいいんだけど、ゆえんをわかっていれば派手な演出をしてもなじんで見える気がするから。

── なるほどねー。

コムアイ：武道館はホームページで座席表を見たときも、方角の色分けがちゃんと方位の色になってたんすよ。北は玄武の黒、南は朱雀の赤、っていう風に。で、方位の考えた方って最終的には陰と陽になる。さらに陰陽がひとつになると宇宙の始まりになる。だから“八角の宇宙”というタイトルにしたんです。

── いま言ってくれたことをそのままショーとして見てみたいね。

コムアイ：そういうことが伝わる内容にしたいですね。そしたら観る人も次元を旅してる風になっておもしろいんじゃないか、と。VJの映像やオブジェとか使って。能舞台の松（＝神が降りるための場所）なんかもいいですねー。とにかく八角形にまつわるものをいっぱい入れたい。最初はね、「武道館、だっせー」とか思ってたんですよ。必ずみんな武道館を通るんだ、みたいのってカンパネラにとっては重要なことじゃないし。でも、自分にとっての別のやりがいが見つかったことで、いまはすごい楽しみなんです。人柱を鬼門に置くとかね。ケンモチさんで（笑）。

ケンモチ：ボク、ひきつけやすいから（笑）。

コムアイ：サウス・バイ・サウスウエストに出た時って（2016年3月）、人生でいちばん緊張してお腹がいたくなって熱も出たんですよ。「海外でライヴするのって合ってるからこれは本当にキメないとプライドが傷つく」とか思ってるうちに。その頃ケンモチさんがなぜか骨折して、私が良いライブできた（笑）。ゼップの時も、出たあとでケンモチさんに会ったらすごい汗かいてて「そんなに盛り上がったの？」って聞いたら調子悪くて寝てたって（笑）。

── 発汗するぐらい人柱になってたかもしれない、と。でもせっかくだから武道館は楽しく観戦できた方がいいよね。

ケンモチ：ですよね。

コムアイ：ですかね？

ケンモチ：ですかね、じゃないよ（笑）。

コムアイ：会場が大きくなるにつれ災いの規模が大きくなっていくと怖いよね。ウンコもらすぐらいだったらいいけど。

ケンモチ：ウンコぐらいなら（笑）。

コムアイ：タマネギの形したやつ、やって。

ケンモチ：形も指定が入るんですか？　できるようになったら連絡するわ。「なかなか形ととのわないんですよねー」とか（笑）。

── タマネギ型と言えば武道館の屋根のてっぺんについてる。

コムアイ：そう、それでそう思った。

── 擬宝珠ね。

コムアイ：あ、ギボシだ！　新作落語で「擬宝珠」っていうのがあるんですよ。主人公が金属を舐めるフェチで、最終的には浅草寺の五重塔のてっぺんにある擬宝珠を舐めたくなる。で、塔に登る直前に主人公のお父さんが「実はオレもズッとあれを舐めたかったんだ。あとで味を教えてくれ」って言う（笑）。

── お父さんもか。

ケンモチ：斬新すぎる話（笑）。

コムアイ：ライヴでも擬宝珠を舐める映像とか入れられたらいいなと（笑）。でも、分かるでしょ？　あれを舐めたくなる気持ちって。

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取材・文◎今津 甲
撮影◎大橋祐希