【インタビュー】フルカワユタカ、『And I’m a Rock Star』に「ドーパンがライバルじゃなくなった3年間」
■どうにか広がってほしいという類ではなく
■伝わってほしいし、伝わらないわけがない
──そして「lime light」と「can you feel」は後期ドーパンに数多く登場したファンクネス。
フルカワ:「lime light」はもう、ドーパンの『YELLOW FUNK』(※メジャー4thアルバム/2011年発表)くらいからの、自分がやりたい音楽の延長です。これくらいのテンポ感で跳ねて、実は休符が音楽をつくっているというところ。しかも洋楽じゃない、日本人的なファンクネス。それをまたひとつ前に進めることができたかな。しかも、“最後に転調してギターソロでフェイドアウトするんだ!? ”みたいなところも含めてね。
──ロックバンドがあまり多用しないフェイドアウトですが、そういえば今回のアルバムには多くないですか?
フルカワ:多いです、自分でも気づいてました。これはフルカワユタカ名義になってからのライブの影響だと思うんですけど、ステージではエクストラの部分が多いじゃないですか。たとえばエンディングを伸ばして、僕と新井くんとでギターソロを掛け合うみたいな。もともとそういう音楽が好きなのもあるし。どうなんですかね、年齢的な部分もあるのかな。ジャン!って終わらせるよりも、余韻の部分を楽しむという。
──ちなみに「can you feel」もフェイドアウトなんですが、この曲はFRONTIER BACKYARDのミニアルバム『Backyard Session #2』にフルカワさんが提供した楽曲のセルフカバーです。
フルカワ:「can you feel」は田上さんをイメージして、彼がつくりそうな曲を書いたんです。そうしたら思いっきり、「フルカワっぽいね」って田上さんに言われたという(笑)。実はこの3年間の中で、最も理想とするものが書けたと思ったのが、この曲。だからどうしても入れたかったんですよね。「サバク」が自分の手かせ足かせを外して書いたものだったり、「プラスティックレィディ」が求められるものに対して壁を乗り越えて書いたものだったり、他の曲にも挑戦とかも含めて何かしらそういうものがあるんです。それを全部取っ払うと、おそらく「can you feel」みたいな曲を揃えたアルバムになる。これはさっき言った“手クセじゃないものを書かなきゃいけない”っていうことと矛盾しちゃうんだけど、超手クセですごいものを書きたいんです。それでアルバムがつくれたら、とんでもない作品になると思っていて。そういう曲が、この3年の間に1曲でも書けた僕は、すごく幸運だったと思う。そういう曲を生み出せないままアルバムをつくってしまうアーティストも少なくないから。
──フルカワさんにとって今、最もベストな楽曲?
フルカワ:いや、複雑な話なんですけど、だからといって収録したこの曲が、この3年間のベストかというと違ったりもするんです。純粋に作曲だけの話で、メロディー、コード、フレーズ、アレンジだけでいえば、この3年でピカイチですけどね。ファレル・ウィリアムスとかスティングとか、ホワイトとブラックがクロスオーバーしたような通り一遍でないもの、カテゴライズされないものを書きたくて、それがカタチになった曲だという。
──なるほど。で、アルバムのタイトル曲「and I'm a rock star」はラテンのリズムで、レゲエテイストの「so lovely」共々、アルバムに心地よい温度感を加えてます。
フルカワ:おっしゃるとおり、「and I'm a rock star」は、“サンバ”とか“スティング”とかが仮タイトルでしたね。歌詞は一番最後に書いたんですけど。
──“過去と未来が全部一つになって泣きそうな僕に”という一節が今のフルカワさんを表していますよね。この歌詞を読むと、“ロックスター”を謳いつつも、自然体を画に描いたようなジャケット写真に合点がいきました。オープニングナンバーの「サバク」もジャケット写真の意味を物語ってますし。
フルカワ:僕は昔から、アルバムの1曲目とジャケット写真がリンクする人間なんです。それをセットとして捉えている。『And I’m a Rock Star』も「サバク」にちなんだロケーションで撮りたいっていうことが、まず頭にあって。伊豆大島に日本唯一の砂漠があるっていうことで、MVの監督と相談してアートワークを考えたんです。そのときすでに“もの悲しさ”と“スケール感の大きさ”を足そうというアイデアは出てましたから。「サバク」の歌詞もコードワークもそう。カラッとしているけどメランコリック。それがナチュラルな『And I’m a Rock Star』の姿で、今の自分自身とリンクしているんです。
──では最後に、フルカワさんの連載コラムを読み返したところ、『I don’t wanna dance』リリース直後のコラムに、“セールスやチャートを気にせず、ただ自分が思うカッコいいものをつくろうとしている今。それこそが色々な仕掛けにまさる、最強の武器だと信じている今”という言葉があったんですね。『And I’m a Rock Star』リリースを目前に控えた今、どんな心持ちですか?
フルカワ:不思議なもので、前回はまったく気にならなかったことが、今回は多少気になるようになっているんですね。というのは、この1年の間に予想外のこともいろいろあって……先ほど話したように、ベボベやLOW IQ 01に参加したこととか、バンアパとの対バンがあったり。そういうことを経て、僕に気づいてなかった人が気づいてくれているという実感もある。そういう人たちがどう受け取ってくれるかなという意味で、気になるんです。ただ、それって数字云々ではないんですね。どうにかして広がってほしいという類のものではなくて、伝わってほしい。赤裸々につくっているからか、伝わるだろうな、伝わらないわけないなっていう自信があるんです。
──そういう意味では今回、歌詞の変化も大きいですか?
フルカワ:そう。だから連載コラムの存在が大きいんですよ。本気で書いてますからね。遡ってコラムを読んでいただいて、“ああ、こういう活動をしてきたから、こういうアルバムができたんだな”って思ってもらってもいいし。当初、アルバムコンセプトはなかったんですけど、完成した結果、この3年の編纂集がコンセプトになっていたという。アルバムを聴いたときに、“こうだったんだ、だからこういうタイトルなんだ、だからこういう曲なんだ”っていうことが、誰に聴いてもらっても、届くような気がしているんです。
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
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■アルバム『And I’m a Rock Star』
NIW128 / 2,778円+税
01.サバク
02.I don't wanna dance
03.and I'm a rock star
04.真夜中のアイソレーション
※tvk「MUTOMA」1月度テーマソング
05.lime light
06.so lovely
07.walk around (feat. いつか [Charisma.com])
08.can you feel
※提供楽曲セルフカバー:FRONTIER BACKYARD mini Al「Backyard Session #2」収録
09.next to you
10.プラスティックレィディ
※提供楽曲セルフカバー:りぶ Al「singing Rib」収録
■インストアイベント情報
<ツタロックpresents『順不同vol.1』フルカワユタカ × ent supported by 新代田FEVER>
2017年3月8日(水)新代田FEVER
OPEN 18:00 / START 19:00
出演:フルカワユタカ、ent ※順不同
※当日は2組ともソロのアコースティックライブを予定しております。
http://tsutaya.jp/jyunfudo-vol1/
▼大阪
<「AND I'M A ROCK STAR」発売記念!インストアイベント(トークショー&サイン会)>
2017年1月25日(水)大阪 FLAKE RECORDS
OPEN / START 20:00
CHARGE / FREE ※優先入場券お持ちの方優先
http://dawaflake.exblog.jp/23517530/
▼名古屋
<「AND I'M A ROCK STAR」発売記念!インストアイベント(ミニライブ&サイン会)>
2017年1月27(金)タワーレコード名古屋パルコ店
OPEN / START 19:00
CHARGE / FREE ※優先入場券お持ちの方優先
■レコ発ツアープレイベント<フルカワユタカはこう弾き語った 第1回>
※アコースティックワンマンイベント
OPEN 19:00/ START 19:30
(問)SOLE CAFE 075-493-7011
■東名阪ツアー<And I'm a Rock Star TOUR>
OPEN 18:15 / START 19:00
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888
2017年2月25日(土) 愛知 名古屋 JAMMIN'
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)ジェイルハウス 052-936-6041
2017年2月26日(日) 大阪 梅田シャングリラ
OPEN 16:30 / START 17:00
(問)YUMEBANCHI 06-6341-3525
▼チケット
前売¥3,990(税込、D別) オールスタンディング
※3歳以上、チケット必要
※各公演ごとに、ドリンク代別途必要
■<And I'm a Rock Star TOUR extra>(acoustic live)
2017年2月16日(木) 札幌 KRAPS HALL w/須藤寿
2017年2月19日(日) 仙台 PARK SQUARE w/須藤寿
2017年2月28日(火) 吉祥寺 STAR PINE'S CAFÉ w/須藤寿
◆【連載】フルカワユタカはこう語った
◆フルカワユタカ オフィシャルサイト
◆フルカワユタカ オフィシャルTwitter
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