【ライブレポート】Initial'L「このまま止まることなく夢に向かって走っていきます」
Lycaonとしてヴィジュアルシーンで活躍するも、2015年11月6日の赤坂BLITZを最後に惜しまれながら解散した彼らが、当時と同じメンバーでピッタリ1年後にInitial'Lとして始動。11月6日に六本木のニコファーレでデビューライヴが開催された。会場は1年間の沈黙期間を経て、新たなバンドとして生まれ変わる彼らを期待と不安で待ちわびるオーディエンスであふれかえっていた。
◆Initial'L~画像~
SEが徐々に大きくなり、歓声の中、メンバーが登場。オープニングはヴォーカルの悠希にスポットライトが当てられたナンバー「THE END」だ。同期と歌だけで始まり、一朗のドラム、緋遊のベース、サトシとZEROのギターと楽器陣が徐々に加わっていく構成で奏でられる新曲と、新たな衣装で現れたメンバーの姿を全身で受け止めるかのように場内の空気が張り詰めた。
その静寂を打ち破るように鳴らされたアグレッシブなギターリフで始まる疾走感たっぷりのナンバー「Pathos」では、ニコファーレの壁面までが華やかなLEDの照明で覆われ、中性的なムードを醸し出す悠希の情感のある声が活かされた「毒女」では会場を匂いたつような妖しい空間に変えてしまった。
ニコニコ動画を見ている人たちからの“おかえりなさい”、“変わらない”、“安心の吐息”などのメッセージが壁面に映し出され、場内から笑いと歓声が上がる中、吐息混じりのセクシーボイスで悠希が話し始めた。
「初めまして。Initial'Lです。画面の向こうはどうかわからないけど、僕、“頭振れよ”とか、そういうこと何も言わないから自由に楽しんでいってください。普通はこういう始動ってあらかじめ曲を聴かせたりするじゃない? それがどうしてもイヤで初めて曲を聴くのは僕たちがステージに立っている時だという想いから、みんなが緊張してしまう事態に陥ってしまってるんですが、遠慮せずにバンギャやってください」
実際、このデビューライヴを迎えるまではInitial'Lの新曲はいっさい公開されることがなく、当日まで新曲だけで構成されるライヴになるのか、それともLycaon時代のナンバーをセルフカヴァーすることになるのか、それすらも謎のままだった。だからこそ、オーディエンスも固唾を飲んで見守っていたのだ。
楽曲が演奏されるたびに、場内の空気は徐々に解きほぐされていき、ヘヴィなサウンドと切ないメロディ、ワルツに移行するドラマティックな展開が印象的な「接吻~口づけ~」ではハンドクラップで盛り上がり、悠希が「声、聞かせろ!」と叫んだ「ノスタルジア」の後半ではヘドバンが続出。Lycaon時代のキャッチーな刹那系のメロディ、ミステリアスな世界観を引き継ぎつつ、さらに洗練されたドラマティックなロックバンド、Initial'Lとしてステージに立つ5人の姿がそこにはあった。
「誰にも見えない場所でずっと僕ら毎日、毎日、5人で過ごしていました。この1年間、いろんな景色を5人で見て、いろんな音楽を5人で作って、楽しくやってきたんだけど、その瞬間、その瞬間、切り取ったものを僕ら歌っています。僕らがその時に感じたものをそのまま何も考えずに曲にしています。そんな中の1曲を聴いてください」(悠希)
悠希の浮世離れしたファルセットで歌われる美しくも切ないバラード「おくり火」が届けられ、ライヴは後半戦へ。途中、Lycaon時代後半に声を発することのなかったギタリストZEROが3年ぶりにしゃべったことも場内を加熱させ、ダンスチューン「Stop My Heart」では盛り上がるオーディエンスにメンバーも笑顔に。「オマエらが好きな曲」と前置きして演奏された「Punishment」ではフロアーから拳が突き上げられ、横モッシュ。曲が終わるとニコファーレが揺れるような大歓声が上がった。
久しぶりにそういう声を聞いたと嬉しそうな表情を浮かべた悠希は、この日のために協力してくれたスタッフやオーディエンスに感謝の言葉を伝え、新たにレーベルRocklife Recordsを立ち上げたこと、11月30日にシングル「MOON LIGHT DOWN」をリリースすることを報告。
「この5人であらためてInitial'Lです。もう走り出しました。このまま止まることなく夢に向かって走っていくのでよろしくお願いします。まだやり足りないけど、あの日─1年前の夜に思ったことを歌います」
そう告げてInitial'L幕開けとなる鮮烈で躍動感のあるナンバー「MOON LIGHT DOWN」を届けた。
潔く新曲のみのセットリストで盛り上げ、「また会いましょう」という言葉を残してステージを去った5人。興奮さめやらない場内に「MOON LIGHT DOWN」のミュージックビデオがいち早く公開された。このミュージックビデオは、解散した時と同じ赤坂ブリッツで解散ライブと同じステージセットを再現したもの。「Initila'L」として生まれ変わる、始動するという彼らの決意の現れである。Initial'Lの新たな旅立ちを祝福するオーディエンスから拍手と歓声がわき起こった。
取材・文●山本弘子
1stシングル「MOON LIGHT DOWN」
■Type A【初回限定盤】
品番:BCRL-69001
「A5サイズ20Pブックレット+CD」
¥2,000+TAX
1.MOON LIGHT DOWN
2.Pathos
3.おくり火
■Type B【通常盤】
品番:BCRL-69002
「ジュエルケース」¥1,500+TAX
1.MOON LIGHT DOWN
2.毒女
3.ラビリンス
■Type C【通常盤】
品番:BCRL-69003
「ジュエルケース」¥1,500+TAX
1.MOON LIGHT DOWN
2.ノスタルジア
3.接吻~くちづけ~
この記事の関連情報
生熊耕治、東名阪対バンツアーでInitial'L、森翼、Dr.UNDYらと共演
【ライブレポート】Jin-Machine、Initial’L、Chantyが歩む、三者三様のスタイル
<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>、明日開催。生中継の実施も決定
【千歌繚乱インタビュー】Initial'L、嘘偽りのない自分たちの音楽を
Initial'L、Jin-Machine、Chanty出演。BARKS主催イベント<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>開催
期待のV系バンドが出演、<ZEAL LINK TOUR 2018>
Initial'L、独自の音楽的路線を確立したミニアルバム『FIREFLY』を遂にリリース&全国ワンマンライブツアーも敢行中
Initial'L、渾身のミニアルバムリリース&待望のワンマンツアーライブ開催を発表
【ライブレポート】Initial'L、解き放たれた5人の姿が印象的だった初のワンマンライヴ