【インタビュー:後編】フルカワユタカ、the band apartを語る「どう考えても好きなんです」

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フルカワユタカ主催対バンライブ<「play with B」〜 with SEE YOU 〜>が7月22日、代官山UNITにて開催される。これはBase Ball Bearを迎えて行われた<「play with B」~with C2~>に続く対バン企画第二弾となるもので、今回のゲストはthe band apartだ。

◆フルカワユタカ/Base Ball Bear 画像

先ごろ公開したBARKS連載コラム特別編『フルカワユタカと原昌和はこう語った -net radio-』で明かされた通り、フルカワユタカとthe band apartのつながりはDOPING PANDAインディーズ時代にまで遡る。「オマエ?昔から知ってる友だちだろ」とは原の弁だが、同ネットラジオで旧友の2人が笑い交じりに語り合ったのは楽曲制作の組み立てや心持ちなど、制作者の精神的な深みの部分。互いの音楽性を認めながら、それぞれの方法論が浮き彫りにされたものだった。

BARKSでは、“ART-SCHOOL対バン”インタビュー、“Base Ball Bearサポート”インタビューに続き、第三弾として“the band apart対バン”インタビューを行なった。フルカワユタカがthe band apartというバンドに惹かれる理由、両者が疎遠になった過去など、コアファンも知らない真実が明かされたロングインタビューをお届けしたい。なお、代官山UNIT公演では、2002年の共同イベント<mellow fellow>から生まれたコラボ曲「SEE YOU」共演の可能性も高いほか、この日ならではのセットリストが用意される。お楽しみに。トークはまず、Base Ball Bear対バンライブ<フルカワユタカ presents「play with B」~with C2~>の感想から。

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■“こういう音楽を俺が先にやってたらな”
■って気持ちを抱えながら共同イベントをやってた

──5月12日に東京キネマ倶楽部で開催したART-SCHOOLとの対バンイベント<東京キネマ倶楽部プレゼンツ ~ヨカノスゴシカタ 3~>と、6月18日に下北沢Gardenで開催したBase Ball Bearの対バンライブ<フルカワユタカ presents「play with B」~with C2~>のセットリストには、どんな意図が?

フルカワ:ぶっちゃけて言うと、ART-SCHOOLとの公演とBase Ball Bearとの公演はセットリストに近いものがあったんです。これは対Base Ball Bear用のセットリストを組むというよりも、フルカワユタカの一番得意なものをBase Ball Bearファンに観せたかったからで。去年、DOPING PANDAの楽曲を解禁した僕がいるじゃないですか。Base Ball Bearと一緒にツアーを回った当時もファンはかぶってなかったですから。



──4つ打ちとはこういうものだ!というフルカワさん流ダンスロックなサウンドを観せたかったと?

フルカワ:はは。そこまでのものではないですけど、まあ、大ざっぱに言えばそういうことです。もちろん小出くんも十分凄いギター&ボーカルですし、全然比較することではないんですよ。ただ、“ここにも凄いのが居るんだよ”っていうところを小出くんを観てきたコたちに観せたいなと思って。だから僕の一番得意なことをやったという。Base Ball Bearがグルーヴィーなアルバムを作ったから、それに寄せるとかじゃなくて、僕の歴史というか十八番みたいなものを演りたいなと。

──実際客席にはBase Ball Bearファンも多かったようですし、そういうオーディエンスにとって3月から4月までBase Ball Bearのサポートを務めたフルカワさんは、“ギタリスト”という認識だったかもしれませんし。

フルカワ:そうですね。4月までは僕自身もギタリストという感覚が強くてね。今回の対バン企画<「play with B」~with C2~>ではもちろん歌を唄うわけですから、ギター&ボーカルとしての自分を出したかったし。まぁ、それ以前にやっぱり自分のライブを演りたいというのが先に立っていてね。3月から4月はそれなりにフラストレーションはありましたから(笑)、フロントマンとしてステージに立っていないから歌えないし、客を煽れないことに(笑)。もちろん以前お話したようにBase Ball Bearとのツアーは楽しかったんですけど、それを早くやりたかったんですよ、「いくぞ!」っていうね(笑)。

──では、7月22日にthe band apartを迎えて行われる対バンライブ第二弾<play with B 〜 with SEE YOU 〜>もフルカワさんの十八番で攻めるような?

フルカワ:今回のthe band apartとのライブはセットリストを変えようと思っています。これはBase Ball Bearとのライブとは全然ストーリーが違うので。

──先ごろ公開された【BARKS連載特別編動画】でも明かされてましたが、the band apartとの付き合いは長いですよね。

フルカワ:長いです、ものすごく。木下理樹と同じくらいかな。木下とはアイツのイベント<KINOSHITA NIGHT Vol.8>に呼ばれてから仲良くなったんですけど、当時ART-SCHOOLはEMIからメジャーデビューしていて、僕らより先にSMAに所属していたんです。the band apartとはまた違ったインディーシーンでの付き合いというか、当時のメロディックパンク界隈ですね。

──HAWAIIAN6とかもいたシーンですよね。

フルカワ:まさに、<AIR JAM>とかね。そのシーンで、“the band apartっていうすっげぇカッコいいバンドがいる”っていう話があって。僕らもメロディックパンクから脱却したいというかパンクミュージックじゃないものをやりたくて、4つ打ちとか、打ち込みを導入したロックとかに移行する時期だったんですよ。

──2000年代初頭のことでしょうか。

フルカワ:そう。the band apartはメロコアとかじゃなくて、その音楽自体がすごくカッコよく感じていたんですよ。“こんなバンドがいるんだ?”って。で、僕らから声を掛けて、2002年に下北沢シェルターで<mellow fellow>という共同イベントを隔月だったか季節ごとだったかでやったんです。共作曲「SEE YOU」を限定リリースしたのも、そのときのこと。最後に2バンドで東名阪をツアーしたんですけど、それが14年前になるんですよね。彼らもまだ一緒にやるバンドがいない時期でね。


──「その音楽自体がすごくカッコよく感じていた」とのことですが、当時のthe band apartの音楽についてはどのような評価を?

フルカワ:本当に彼らの音楽をリスペクトしていて。それは木下と逆で。

──はははは! ちょっとちょっと(笑)。

フルカワ:原ちゃんのベースとか凄いんですよ。当時からスキル的に4人は仕上がっていましたし、ミュージシャンとして本当に羨ましいと思うくらい。“こういう音楽を俺が先にやってたらな。クソッ、悔しい”って気持ちを抱えながら共同イベント<mellow fellow>をやっていたんです。

──では、当時あんまり他のバンドと仲良くなかったというDOPING PANDAも、ART-SCHOOLとthe band apartとだけは仲良かったんですか?

フルカワ:ところが、年間の共同イベントをやっていたにも関わらず、the band apartとはまったく仲良くなっていくことがなかったんですよね。

──はははは!

フルカワ:もちろん表面上は仲良くなるんですよ。アイツらは1コ下だけど同世代だし、酒も一緒に飲んだりしたんだけど。荒井とかとは仲良くなったかな……いや、むしろ<mellow fellow>の東名阪ツアーが終わった後、僕らとthe band apartは疎遠になったんです。ファンの間では都市伝説のように“本当に仲が悪いらしい”って囁かれるほど。

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