【ライブレポート】The BONEZ、ツアーファイナルで見せつけた“人間力”
The BONEZの最新アルバムにして最高傑作『To a person that may save someone』を引っ提げ、5月6日の大阪・UMEDA CLUB QUATTRO公演より始まった、<The BONEZ TOUR 2016「TO A PERSON THAT MAY SAVE SOMEONE」>。この約2ヶ月に渡る全11公演のツアーファイナルが、7月15日東京・TSUTAYA O-EASTで開催された。
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先の台湾・Legacy公演では、止むことのないBONER(The BONEZファン)の声援に応え、本ツアー初となるアンコール楽曲の解禁。既に伝説とも言える<京都大作戦2016>では、不慮のトラブルに見舞われながらも、最高のライブに変えたパフォーマンス。僅かな期間ながらも、The BONEZ自身のバンド力は、1つ1つのライブを通して着実に上がっていることが伺える。
こうして迎えたツアーファイナルはソールドアウトとなり、会場いっぱいのBONERで埋め尽くされる。S.E.のボリュームが上がると同時に、幕で覆われたステージ前面に映し出されたのは、宇宙、地上から見る星、幾つもの街に降り注ぐ星たち、そしてThe BONEZのロゴと共に、悠然としたJESSE、T$UYO$HI、ZAX、NAKAのシルエット。次に幕が降りると、会場中を埋め尽くすBONERのシンガロングが、4人のメンバーを迎えいれた。
「Revolution」「Breath」を続け様にドロップし、ヒートアップしていく会場と共に、順調にステージが進んでいくかと思った矢先、ZAXのドラムペダルが破損し、演奏中断に見舞われる。しかし、ここからがThe BONEZの真骨頂とも呼べる“人間力”が繰り広げられることとなる。フリースタイルでラップを始めるJESSE、それに続き自然と反応するT$UYO$HI、ZAX、NAKA。慌てる素振りなど一切見せず、その時間さえもエンターテインしてみせるのがThe BONEZなのだ。
「GIMCRACK」で演奏を再開してフロアを乱舞させると、JESSEが「目に見えない大切な“何か”を見させる時間をエンターテインする、We Are The BONEZ!」と高らかに宣誓し、NAKAのソリッドなギターで始まりを告げる「Hello Monster」へ突入する。サイケデリックな映像と共に送られた「1905」、コールアンドレスポンスが起こる「Remember」と、ステージとフロアが一体となった白熱のライブを繰り広げてゆく。その間にも、またいくつものトラブルが発生していたのだが、全ての事象に難なく対応し、二度とない今日という日のライブを最高のものに変えていく姿勢は、頼もしさと美しさを兼ね備えた、4人のバンドマンそのものだった。
掛け替えのない時間を愛でるように奏でられた、壮大なバラード「Waking Up」では、フロアに立ち込めた熱を包み込むような温かさに変えていき、普遍的な日常への愛を力強く放った。アッパーチューンの「Adam & Eve」に突入すると、JESSEがサークルモッシュが起こるフロアへなだれ込み、会場をまた沸点のピークへ向かわせる。
そして、The BONEZのメンバー同士、The BONEZとBONERの関係そのものを見事に表現した「Friends」、間髪入れず演奏された「Ray」と、会場全体が絶頂を迎え、今日最大のシンガロングに包まれた「Thread & Needle」まで見事に完走しきり、本編が終了した。鳴り止まない会場からの歓声に、再度メンバーがステージに呼び込まれ、本ツアーを締めくくるに相応しい、巨大なサークルを作り上げた「Zenith」で、その全てを出し尽くし、大盛況の中で「TO A PERSON THAT MAY SAVE SOMEONE」の幕が降りた。
「To a person that may save someone」は、直訳をすると“誰かを救えるであろうあなたへ”。彼らがこのアルバムとツアーを通して伝えてくれたものは、The BONEZというロックバンドの生き様や在り方≒人間力だったと思う。
それを受け取った“あなた”が“誰か”に伝播させ、数多くの人が彼らの音楽に触れたいと集まった今日の様に、全国各地で揺るぎない相思相愛の時間を作り上げたのだと。それだけ、このツアーはThe BONEZにとって濃密なものだったろうし、今日がツアーファイナルだとしても「To a person that may save someone」のストーリーはまだ始まったばかりで、これからも続いていくことに、微塵も疑う余地がない。
既に各イベント・対バンライブへの出演も発表されており、The BONEZの“目に見えない何か”を確実に体感して欲しい。併せて、本公演を収めたDVDがリリースされることも告知されており、この熱を帯びた映像が届けられる日を心待ちにしたい。
Text by Atsushi Tsuji
Photo by cazrow Aoki
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